【支援の現場から】 タンザニア:発展する町の都市計画に、し尿処理など水・衛生改善を盛り込む

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17 October 2019
WaterAid/ Eliza Deacon

世界では、20億の人々が基本的なトイレさえ使えない生活を送っています。一方、世界的に都市化が進行しており、トイレなどの衛生設備の整備や衛生習慣の普及を都市計画の中に組み込むことが重要となっています。こうしたなか、ウォーターエイドはタンザニアで、トイレや衛生の課題を都市計画に反映させるため、住民の生活の観察を含めた2年間の調査プロジェクトを実施し、し尿処理などを柱とする改善計画づくりを支援しました。

現在、タンザニアでは人口の70%が郊外に、30%が都市部に住んでいますが、都市部に住む住民の割合が急速に高まっています。このため、すでに限界に近づいている都市部の水・衛生サービスは、さらに圧迫されています。このままでは、多くの住民が清潔な水や適切なトイレを利用できなかったり、トイレがあっても排せつ物が適切に処理されず、不衛生な環境が残されたりすることが懸念されます。そしてそれは病気のまん延などにもつながります。

(上の写真:タンザニア・ババティの町の小学校で使われていた古いトイレ。現在は使われていない)

人口9万人のババティ町で水・衛生の実態や生活ぶりを調査

こうした状況に対処するため、ウォーターエイドは2016年、タンザニア北部のババティ町(人口約9万人、約2万世帯)でプロジェクトを開始しました。まずは、ウォーターエイド・タンザニアと、マニュアラ州政府、ババティ町議会、ババティ水道・衛生局、ネルソン・マンデラアフリカ科学技術大学院大学と共同で、水・衛生の実態や生活の様子などの調査を進めました。

調査の結果、ババティ町では90%の家庭にトイレがあることがわかりました。その約3分の1は水で流す方式で、3分2はピット式(便槽式、あるものは踏板付き)でした。排気口(臭突)付きピット式トイレはわずか4%あまりでした。

下水道はなく、トイレの汚水は、浄化槽かトイレ下のピットに貯められていました。31%の家庭は汚水を安全に管理していましたが、健康や環境への不安が残っていました。各戸のトイレの大半は、長期間、くみ取りが行われていないか、そもそもくみ取りができないものでした。

衛生環境をみると、約94%の家庭は、トイレや台所の近くに石けんと水を備えた手洗い場がありませんでした。97%の人が、トイレの後で手洗いをすると回答しましたが、調査によれば、手洗いを実践している人は46%にとどまりました。約70%が「子供の排せつ物の取り扱いを理解して適切に処分している」とした回答しましたが、調査の結果、適切に扱っている人は50%にすぎませんでした。

ババティ町で使われていたさまざまな種類のトイレ
WaterAid
ババティ町で使われていたさまざまな種類のトイレ

課題のし尿処理などを柱に改善計画づくり        

今回の調査結果を受けて、国、州、地区、コミュニティから関係者が集まり、ババティ町の衛生改善に向けた計画について討議しました。焦点となったのはトイレの汚水の処理でした。し尿汚泥処理、下水設備、下水に代わる方法のそれぞれについて長所、短所を検討し、協議した結果、ババティにはし尿汚泥処理が最適との結論になりました。実現すれば、各世帯のし尿は、ひんぱんにくみ取りがされることになり、処理工場に運ばれて副産物を生み出します。タンザニアにはすでに、ウォーターエイドが導入に関わった、し尿汚泥処理工場が首都ダルエスサラームにあり、ここではし尿の水分と固形分からバイオガスと堆肥を作っています。

調査ではまた、人々がどのような動機でトイレを改善するかや、石けんで手を洗うようになる動機なども確認し、病気の不安や育児などの理由も浮かび上がってきました。こうした結果も生かし、衛生習慣の改善も図っていることになりました。

町の計画に反映、ノウハウは他地域・他国にも

ババティ町の都市計画担当者は、今後の都市計画に衛生設備と衛生習慣の項目を組み入れることに合意し、町の「基本都市計画」の衛生環境の章には、すでに今回の調査結果が反映されています。これに基づき、発展を続けるこの町の計画策定の際、適切な衛生サービスが検討されていきます。

ウォーターエイドは、ババティ町の行動計画の進展に向けて、今後も支援を継続していくとともに、タンザニアの他の都市や他国での取り組みにも、今回の調査結果や経験を生かしていきます。

※このレポートは、ウォーターエイド・タンザニアのジョセフ・バンジとプリヤ・シッピィによるレポートを、ウォーターエイドジャパンが翻訳・編集したものです。オリジナルはこちら(英文)