【支援の現場から】気候変動の危機を止めるのは私たち一人ひとり

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8 January 2020
WaterAid/ Nyani Quarmyne/ Panos

2019年、世界的に最も注目されたテーマの一つが、気候変動でした。それは先のことではなく、すでに多くの影響が指摘されています。気候変動が水・衛生をめぐる状況にどのような影響を与え、私たちはこの問題にどのように向き合うのか、ウォーターエイドのグローバルキャンペーン責任者、サビオ・カルバルホのメッセージを紹介します。

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地球にとって1年とは、どのくらいの長さなのでしょうか。気候変動を語る上でこれまで数年間の活動は一歩一歩という小さな進歩でした。しかしこの1年ほどは、(プラスチックストローの使用取りやめにおける)アッテンボロー効果(*)や、(スウェーデンの環境活動家)グレタ・サンバーグさんによって世界中に広まった学校ストライキ、(環境活動家らによる)「絶滅への反逆(XR, Extinction Rebellion)」運動など、緊急の対策を求める非暴力非服従の運動が生まれました。

その一方で、生物多様性の喪失や人間の活動の結果、取り返しのつかない環境破壊が起きているという報告も多くなされました。

「気候変動は人類最大のリスク」と国連事務総長

気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は、人類の活動によって、(地球の平均気温が)産業革命以前よりも少なくとも1度、上昇し、今後15年から30年の間にそれが1.5度にまで上昇する可能性がある、と指摘しています。 

河床のくぼ地から水をすくう、アフリカ・エスワティニ(旧スワジランド)のツワレロ君
WaterAid/ Nyani Quarmyne/ Panos
河床のくぼ地から水をすくう、アフリカ・エスワティニ(旧スワジランド)のツワレロ君

世界のリーダーの多くは気候変動への対策が喫緊のものであると指摘しています。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は2019年のダボス会議で、「気候変動はここ数年の間にわれわれが共有した最も大きなリスクであり、そこに人種は関係ない」と話し、出席した世界のビジネスリーダーたちに気候変動のリスクが現実のものになりつつあると警鐘を鳴らしました。

気候変動はすでに人々の生活を破壊している

マクロレベルでさまざまな異論、反論が起こっている間に、気候変動は確実に個々人やコミュニティに影響をもたらしています。洪水や森林火災、ハリケーン、熱波、海面上昇は世界中の人々にとって大きな問題です。とくに開発途上国でこれらの影響を受けている多くの人々は家や家畜などの生活のすべを失い、生活を初めからやり直さなければなりません。気候変動は、家族の生活を何年も引き戻してしまうのです。

水が稀少になるにつれて、人々、特に女性や少女たちは、水を手に入れるため、より長い道のりを歩かなければなりません。洪水やサイクロンの直接的な影響だけではなく、清潔な水や衛生環境の欠如という日々の困難のために子供たちは学校へ通う貴重な機会を失っています。こうした現実が国と国との格差をさらに広げています。最低限の生活水準すら満たせない人々がいるなかで、余裕のある側がますます富んでいくという歪んだ状況が生まれてしまっています。

水の入ったバケツを持って家に帰るエスワティニのンチカ君
WaterAid/ Nyani Quarmyne/ Panos
水の入ったバケツを持って家に帰るエスワティニのンチカ君

現状を変えようとする多くの人々がいる

悲観的なことばかりではありません。私たちは、現状を変えようとしている多くの人々やコミュニティ、イノベーター、起業家の存在を目の当たりにしています。世界中で多くの人々が気候変動の重要性に気づきつつあります。化石燃料や温室効果ガスによる地球温暖化による地球環境の悪化を防ぐため、また環境保護に積極的な企業が新しい高付加価値をもたらす雇用創出のための地球規模の緑の運動が広まりつつあります。しかしながら、その一方で気候変動によって影響を被っているコミュニティは経済的、技術的サポートはほとんど受けられずどのように対策を打てば良いか途方に暮れています。

時間は我々に味方してくれません。地球を救うために自分には何ができるのか、ぜひ考えてみてください。このメッセージを読んでいる人なら、間違いなく現状を変えられます。

(*) 2017年秋にイギリスBBC制作の海洋ドキュメンタリー番組『Blue Planet 2』で、プラスティックが海の生物に影響を与えていることを紹介。その衝撃がプラスチックストローの取りやめの運動につながったとされる。動物学者で環境問題にも積極的なデイビッド・アッテンボロー卿がこの番組のナレーターを務めていたことから、「アッテンボロー効果」と呼ばれる。

このレポートは、ウォーターエイド・グローバルキャンペーン責任者、サビオ・カルバルホの投稿を、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。オリジナルはこちら(英文)