【活動レポート・ブログ】インド:新型コロナウイルス感染症対応緊急支援を実施中

Komal drinks from the public water dispenser in a community health centre in Uttar Pradesh, India. 7 June 2021
Image: WaterAid/ Anindito Mukherjee

ウォーターエイドは、2021年3月~4月、インドにおいて、新型コロナウイルスの感染者数が急増したことを受けて、現地での活動を一時的に停止しました。新規感染者数の減少に伴い、活動を再開する際、この新型コロナウイルス第二波が、第一波とは異なり、都市部だけでなく、保健医療サービスが十分に整っていない農村部でも感染が広がったこと、また、農村部では検査することが容易ではなく、感染の実態を把握することが困難な状況にあったことなどをふまえ、水・衛生専門の団体としてどのような活動を実施してこの状況の改善に貢献するのか、慎重に検討しました。その結果、①保健医療施設の給水・手洗い設備の設置・修復、②水不足の地域への緊急的な水の供給、③衛生作業員の支援の3分野で緊急支援を実施することに決定。多くの皆様のご協力によって、2021年9月までに、下記の活動を実施しました。

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①保健医療施設の給水・手洗い設備の設置・修復

インドの農村部では、保健医療施設が新型コロナウイルス感染症に対して十分な備えができていなかったこと、そして保健医療施設の水・衛生インフラが十分に整備されていなかったこともあって、新型コロナウイルスの感染者数急増に対応することが困難な状況にありました。

ウォーターエイドは、保健医療施設の給水・衛生設備の状況を把握して必要な改善策を実施するために、活動する地域の保健医療施設の調査を迅速に実施。その結果をふまえて、59か所の保健医療施設で、給水設備と手洗い場の設置、トイレの改修、そして新型コロナウイルス感染症の患者の治療に使用した廃棄物を安全に処理するための廃棄物処理施設の整備を実施しました。

インド緊急支援_支援実施前の水道
支援実施前の水道
インド緊急支援_支援実施前のトイレ
支援実施前のトイレ

②水不足の地域への緊急的な水の供給

十分な量の清潔な水を確保することができなければ、人々は限られた量の水を飲用や調理用に使うことを優先し、手洗いに水を使うことを断念せざるを得ません。近年、ウォーターエイドが活動している多くの居住区(インドの開発計画上の行政区分の1つ)は、夏になると深刻な水不足に陥ります。ウォーターエイドが調査した地域だけでも、故障しておらず、きちんと水を供給する公共の給水設備が1つもない居住区が142カ所もあることが判明しました。

ウォーターエイドは、皆様のご支援によって、パンデミック以前より、こういったコミュニティが安定して水を得られるよう、プロジェクトを実施してきましたが、今回、コロナ対応という緊急事態であることを鑑み、給水車を利用した緊急給水を実施しました。また、継続的・持続的な水の供給が可能になるよう、水道管網の延長、代替水源(複数種類の給水設備から水を得られるようにすること)の確保、設備や電気系統等の修理、貯水システムの設置など、既存の給水設備の修復事業を実施しました。

ウォーターエイドは、5つの州の13県142村でこの活動を実施し、7万4,533人の人々が清潔な水を得られるようになりました。

repairs
給水設備の修理
tanker-supply
給水車による緊急給水
pipeline extension
給水パイプの延長

③衛生作業員の支援

新型コロナウイルス感染症パンデミック第2波のロックダウンによって、ウォーターエイドが活動している地域の多くの衛生作業員-マニュアルスカベンジング(手作業によるトイレのくみ取り作業)やインフォーマルなごみの回収に従事する人々-は生活の糧を失いました。こうした人々は、政府の支援から取り残されることが多く、また、住んでいる地域の水・衛生の状況が悪かったり、収入が得られなかったりすることで、さらに深刻な困窮状態に陥っています。

ウォーターエイドは、新型コロナウイルス感染症が拡大する前より、衛生作業員の支援を行ってきましたが、パンデミックによって衛生作業に従事する人々が、マスクや石けんなどの生活必需品も購入できないほど困窮している状況をふまえ、3か月間支援金を給付することに決定しました。この支援金によって、衛生作業員たちがパンデミック時の必需品を購入することが可能になります。

ウォーターエイドは、バンガロール1,750世帯、デリー361世帯の計2,111世帯を対象に、6,000インドルピー(約9,000円)を2,000インドルピーずつ3回に分けて給付しました。給付後、新型コロナウイルス感染症がインフォーマルなごみ回収従事者に与える影響、特に収入と健康状態を把握するために、外部機関「Change Scape」に依頼して調査を実施。その結果、この給付金が、衛生用品の購入などコロナ禍に優先すべきニーズを満たすために効果的に使われていることが確認できました。

インド緊急支援_給付金を受け取った人の状況調査
ウォーターエイドの給付金を受け取った人の状況調査