【活動レポート・ブログ】新型コロナウイルス感染症(COVID-19)対応で注意すべきこと、避けるべきこと
ウォーターエイドは、各活動国において、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対応した取り組みを行っています。ロックダウン状態にある国をはじめ、移動が制限されている国も多いこともあり、マスメディアやソーシャルメディア、写真や映像を使った情報発信・啓発活動に注力してきました。これには、ウォーターエイドのスタッフや現地パートナーの感染を予防する意味もあります。
情報やメッセージの発信にあたって、ウォーターエイドは、発信されるメッセージがすべての人々に対して敬意を払っていること、人々を傷つけないように配慮されていることが重要だと考え、どのようなことに注意すべきか、どのようなメッセージを避けるべきかについて、以下のように整理しました。ウォーターエイドはこの指針に沿って活動を進めています。
Do(行うこと)
世帯やコミュニティのすべてのメンバーが衛生的な行動をとる責任があること表す写真・映像・メッセージを使用し、広く伝える
- ジェンダーのバランスが取れているように配慮する。
- 同様の責任を負っていることを表すために、世帯およびコミュニティの衛生習慣を表す写真・映像に男性を入れる。
Don’t(避けること)
- ジェンダーや固定概念を強調しない。例えば、女性だけが洗濯や掃除、子供の世話をしているような写真・映像を使用しない。
Do(行うこと)
コミュニティとしての意識や連帯、助け合いを強化するメッセージを作成する
- 「私たち」「コミュニティ一体で」「一つになって」などの用語を用いる。
- 人々が互いに協力し合う写真・映像を使用する
- 個人の責任だけではなく、その分野の取り組みや政府の対応と義務を実証する
Don’t(避けること)
- 個人主義的な対応や行動を助長するメッセージだけに焦点を当てない。
- 感情的な引き金となる、恥、罪悪感、恐れなどの用語を使用しない。ヒステリー状態や非難の応酬を助長させない。
- 感情的、または否定的な用語を避ける。
Do(行うこと)
人々の多様性を描く
- コミュニティが、女性、男性、子供、障害を持つ人、多様な民族、多様な宗教の信者などで構成されている現実をコミュニケーションに反映し、理解を深める。
Don’t (避けること)
- ジェンダー、民族、宗教、年齢、障害、健康状態、貧困状態などの個々の要因を、感染の理由に関連づけたり、非難したりしない。
- 特定の人に対して、非難や排除、嫌がらせを引き起こす可能性があるメッセージや写真・映像の使用、アプローチを避ける。意図せずとも、こうしたことが起きる可能性があることを理解し、注意する。
Do(行うこと)
コミュニティの多様なニーズを認識し、応える
- 身体的な障害を補助する機器(車いす、装具、補聴器、コンピューター用のソフトウェアなど)の使用方法を紹介する。
- 低所得者層の居住地や農村部、水の危機に見舞われている場所に関する解決策を示す。
- 水・衛生に関するアクセシビリティを確保するための方法についての図や説明を利用する。ウォーターエイドのCompendium of accessible WASH technologiesはこちら
Don’t(避けること)
- すべての人が同じように(衛生習慣に関する)行動変容が可能だと感じさせるような多様性のないアプローチは避ける。人それぞれの状況や背景を踏まえた適応策が必要。
- 特定のグループに対してのみ、行動変容の責任を負わせるようなメッセージや指示を避ける。例えば、「母親」という言葉を使わず、保護者について話す。
- 清潔な水の供給を受けている人の数や石けんを利用できる人の数を不正確に伝えない。
Do(行うこと)
多様な対象に合わせたコミュニケーションを行う
- 視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者を含む、すべての人のコミュニケーションについて考慮する。
- すべての人に情報を届けるための手段を考える。特に、介助や衛生に関する仕事をしている人などのことを考える。
- 持ち帰り用の資料は、高齢者や障害のある人がメッセージを思い出すきっかけになる。
- これらは読みやすく、大きな文字で書かれ、文章と紙のコントラストが高く、光の反射を抑え(もしくは光沢紙)を使用し、現地の言語(方言)で、視覚的で分かりやすい必要がある。
Don’t(避けること)
- 誰かを排除するようなことをしない。すべての人を対象にしないことは、懸念を引き起こしたり、不名誉や非難につながったりする可能性がある。
- 非公認の居住地やスラムを「疾患の媒介場所」として描写したり、都市の貧困地域を清潔を保つことができない場所として描写したりしない。これは、誤解と否定的な対応を生む可能性がある。実際に、「消毒」を名目に非公認の居住地の住宅が排除された事例も存在する。解決策は、特定の人に対する偏見を強めることではなく、すべての人に適切で安全なサービスを保証することである。
Do(行うこと)
「人を傷つけないアプローチ」の一環として、キャンペーン実施前・実施中を通してリスクの特定や分析を行う
- 人種差別的なコメントなどソーシャルメディアの反応や「炎上」を監視し、必要に応じて直ちに削除する。
- 特定のグループが非難や責任を負うことがないよう確認する。そのように解釈されて伝わっていないかも確認する。
- 言語、能力、文化、ジェンダーによって発信したメッセージを見逃す可能性が高いグループを想定し、それらのグループにどのようにメッセージを伝えられるか、戦略を考える。
Don’t(避けること)
- 排斥や、動員をしない。これは私的制裁の戦術や反感を助長する恐れがある。
- 「victim(犠牲者)」「infecting(感染させる、病気をうつす)」「spreading to others(他人にうつす)」などの用語は避ける。
- どのような人種差別的、偏見的、非難的なコメントもソーシャルメディアで許容しない。また、これらをモニタリングするための戦略を立てる。
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このレポートは、ウォーターエイド・イギリスの平等・社会的一体化・権利のアドバイザーであるプリヤ・ナースと、水・衛生のシニアマネージャーであるルイーザ・ゴズリングによるレポートの一部を、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。オリジナルのレポートには、上記の関連レポートと本レポートの内容が含まれています。オリジナルはこちら
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