【活動レポート・ブログ】バングラデシュにおけるウォーターエイドの新型コロナウイルス感染症への対応
バングラデシュでは、2020年3月8日に初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されました。アメリカのジョンズ・ホプキンス大学によると、2021年2月24日現在、544,116人の感染者数が報告されています。ウォーターエイドは、新型コロナウイルス感染症の拡大が始まった直後から、バングラデシュ政府や地方自治体、現地パートナーと連携し、手洗いなどの正しい衛生習慣の普及促進と感染症の拡大防止に取り組んできました。
バングラデシュの水・衛生
バングラデシュでは、家庭や保健医療施設に水や衛生設備が十分に備わっておらず、新型コロナウイルスの感染拡大に対して脆弱な国25か国のうちの1つとも言われています。
- バングラデシュでは400万人以上が家庭で清潔な水を使えません。(WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) 2017)
- 自宅に基本的な手洗い設備がない人は、人口の65%にのぼります。(WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) 2017)
- 保健医療施設の36%には、基本的な給水サービスがありません。(Global Progress Report on WASH in Health Care Facilities 2019)
- 保健医療施設の23%には、診療や治療にあたる場所に手洗い設備がありません。(Global Progress Report on WASH in Health Care Facilities 2019)
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐウォーターエイドの取り組み
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手洗い設備の設置・マニュアル策定による普及
ウォーターエイドは、19県を対象に活動。家庭や学校、保健医療施設、スラム、低所得者層のコミュニティ、衣料品工場、ジュート工場、市場や鉄道駅などに、それぞれの状況に合った手洗い設備を設置しました。一例として、ウォーターエイドは、2020年10月26日から11月25日までの1か月間に、家庭用6,140基、コミュニティで16基、保健医療施設で234基の手洗い設備を設置。その後もニーズに応じて手洗い設備の設置を進めています。
また、ウォーターエイドは、パートナーNGO、ソーシャルワーカー、地元の起業家の支援を受けて、公共スペース用、家庭用など、さまざまなタイプの手洗い設備を設計しました。それらをまとめたマニュアル(都市部用・農村部用)を作成し、公開しています。
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公共施設や市場、居住地域における消毒作業
ウォーターエイドは、南北ダッカ市やクルナ市、チッタゴン市と連携し、コミュニティボランティアによる消毒作業をサポートしました。ウォーターエイドは、ボランティアが安全に作業できるよう、事前にトレーニングを行い、マスクや手袋、洗剤、スプレー機などの用具を提供。ボランティアメンバーが、トイレや水くみ場の清掃や消毒作業、石けんの補充などを行いました。
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様々な方法で衛生習慣と感染予防を啓発
ウォーターエイドは、バングラデシュで新型コロナウイルス感染症が初めて確認された2020年3月、#FightCoronaUnitedキャンペーンを開始しました。正しい衛生習慣を伝えるポスターや看板を市場やバス停、警察署、地方官庁、モスクや寺院の付近などに設置。また、コミュニティ内を拡声器の付いたバイクで巡回し、注意喚起と衛生習慣の啓発を行いました。
また啓発素材として、歌や映像も制作し、テレビ、ラジオ、ソーシャルメディアなどを通してより多くの人々に向けた情報発信に注力しました。
7月には、南ダッカ市および北ダッカ市の公衆トイレ25か所において、新型コロナウイルスの感染拡大を防止するためのキャンペーンを実施。50,000人の通行人に対して衛生習慣の啓発を実施。キャンペーンのパートナーであるユニリーバ・バングラデシュが提供する石けんを配布しました。
さらに同キャンペーンの一環として、バングラデシュで活躍する映画作家ヌハシ・フマユンと、ミュージシャンのプリトム・ハサンと共同で、ウェブ動画シリーズ「Bichhuz」を制作しました。
若い世代などを対象に、手洗いが感染拡大を抑える第一の防御策であるということや、手洗いを「あたりまえの習慣」として今後も続けていくことの重要性を意識してもらうことをねらいとした、全4話の動画シリーズです。ウォーターエイド・バングラデシュの公式Facebook、Youtube、Instagram、Twitterで公開され、2020年7月時点で550万回視聴されました。
また、10月15日の世界手洗いの日に、ウォーターエイド・バングラデシュは#Art4WASHキャンペーンを展開し、マスクの着用や正しい手洗いの習慣などを奨励するアート作品を募集しました。106件の創造力にあふれたユニークな応募作品の中から、映画部門、アニメーション部門、写真部門で、それぞれ3位まで入賞作品が選ばれました。
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誰もが手洗いを実践できるように
2020年12月12日には、在バングラデシュ・スウェーデン大使館およびダッカ上下水道公社と協力して、移動式の手洗い設備「Handwashing on Wheels」を始動しました。この移動式手洗い設備は、3輪自転車を利用したもので、後部の屋根付きの荷台に複数のシンクと液体石けん、水の入ったタンクが装備されています。同月、国内に367台が導入されました。リキシャや公共交通機関の運転手や水上生活者、露店商人など、移動することが多い人々が安心して手洗いを実践し、感染予防に取り組むことを目指しています。
このレポートは、ウォーターエイド・バングラデシュのウェブサイトや状況レポートを、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。オリジナルはこちら(英文)