【活動レポート・ブログ】マラウイにおけるウォーターエイドの新型コロナウイルス感染症対応
2020年3月20日、マラウイ国外での新型コロナウイルス感染症拡大を受けて、マラウイ政府は「国家災害宣言」を発表。学校の休校や集会の人数制限などの予防措置がとられました。宣言から2週間後の4月2日、国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が確認されました。
それから約1年経った現在、世界保健機関（WHO）によると、累計33,458人（2021年3月28日現在）の感染が報告されています。新型コロナウイルス感染症の拡大によって、保健医療サービスが危機に直面し続けていることに加え、経済活動も停滞。多くの人が職と収入を失い、前例のない経済的・社会的困窮を引き起こしています。
ウォーターエイドは、2020年3月から、政府等と連携し、新型コロナウイルス感染症対応の活動に取り組んできました。
マラウイの水・衛生
マラウイ政府は2000年代初めから、すべての人が清潔な水と適切なトイレを利用できること、そして正しい衛生習慣を実践できることを目指して、水・衛生の課題に優先的に取り組んできました。その進展はめざましいものの、現在も水や手洗い設備が備わっていない家庭や保健医療施設が数多くあります。
- マラウイでは、およそ3人に1人が家庭で清潔な水を使うことができません。（WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) 2017）
- 自宅に基本的な手洗い設備がない人は、人口の91％にのぼります。（WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) 2017）
- 保健医療施設の24％には、基本的な給水サービスがありません。（Global Progress Report on WASH in Health Care Facilities, WHO, 2020）
- 保健医療施設で、診療や治療にあたる場所とトイレに、水と石けんが使える手洗い設備を備えているは、全体の27％です。（Global Progress Report on WASH in Health Care Facilities, WHO, 2020）
新型コロナウイルス感染症の拡大を防ぐウォーターエイドの取り組み
ウォーターエイドは2020年3月、政府などと連携し、新型コロナウイルス感染症対応の活動を開始しました。主に保健省や、首都リロングウェの市議会、ドーワ県など５県にある保健局やそれらのパートナーと連携しながら、新型コロナウイルス感染症の急速な拡大を抑えるための予防策に焦点をおき、次のような取り組みに注力してきました。
手洗い設備・物資の提供
公共の場や病院等で、手洗いなどの正しい衛生習慣を実践できるよう、非接触型の手洗い設備や、石けん、消毒剤、殺菌剤、個人用防護具などを提供しました。
ポスターやリーフレットの制作
新型コロナウイルス感染症や正しい衛生習慣に関する情報の発信を強化。保健省と協力し、マラウイの公用語である英語とチェワ語でポスターやリーフレットを制作しました。これらの啓発素材は、保健医療施設や市場に設置されています。
公共放送
新型コロナウイルス感染症に関するラジオソングやアナウンスをチェワ語で制作し、公共・民間のラジオ局を通して、感染拡大初期の1か月間、全国的に放送しました。
メディアを使った啓発
地元メディアやソーシャルメディア、公共放送システム、ポスター、リーフレット等を使って、新型コロナウイルス感染症やその予防のための衛生行動について発信しました。
国家対応計画
国レベルの水・衛生分野準備・対応計画の策定に協力しました。この計画は、政府やNGO等さまざまな組織が、水・衛生の側面で、新型コロナウイルス感染症に対応する際の運用指針として活用されます。
病院スタッフのトレーニング
ドイツ国際協力公社（GIZ）による新型コロナウイルス感染症対応プロジェクトの一環として、ウォーターエイドは、ブライワ病院の医療スタッフ30人を含む合計60人を対象にとした感染予防や水・衛生に関するトレーニングを実施しました。
新型コロナウイルス感染症経験者からのビデオメッセージ
ウォーターエイドは、2020年8月、新型コロナウイルスの感染を経験したマラウイの政治家が新型コロナウイルス感染症の感染予防を呼びかける映像を制作。FacebookやTwitter等のソーシャルメディアを通じて発信しました。
