【支援の現場から】新型コロナ 現地の声:衛生習慣の変化を持続するために~バングラデシュ

on
25 July 2020
Handwashing at the contactless portable device at the community entry point. Contactless (with paddle) handwashing device- a low cost yet highly effective solution for low income communities. Covid-19 response. Bangladesh. April 2020
WaterAid

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が広がる中、ウォーターエイドはスタッフ・関係者の安全確保に最大限の注意を払いながら、手洗いをはじめとする正しい衛生習慣の呼びかけや水・衛生環境改善などの支援を続けています。ウォーターエイドスタッフの視点や思いを、現地の状況とともにお伝えしていきます。今回はウォーターエイド・バングラデシュの現地代表、ハシン・ジャハンからのメッセージです。

※このレポートは、2020年4月に行われたインタビューをもとに、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。

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大切なのは、社会通念を変えること

ウォーターエイド・バングラデシュは、各国のウォーターエイドの中でも最も長い活動歴があり、その規模も最大です。バングラデシュがコロナウイルス対策を強化する中で、ウォーターエイドが強く訴えている衛生に関するメッセージが最優先の政治的課題として注目を集めることになりました。しかし、現地代表のハシン・ジャハンは、これを冷静に見つめていました。

「30年間、努力を続けてきましたが、人々の行動様式が根本的に変わることはなく、今になって急に変わりました。しかし、これは持続するでしょうか? 今、人々は恐怖心から手を洗っているのであって、普段の習慣が変わったわけではありません」とハシンは言います。

ウォーターエイド・バングラデシュの現地代表、ハシン・ジャハン
WaterAid Bangladesh
ウォーターエイド・バングラデシュの現地代表、ハシン・ジャハン

「習慣を変えるには社会通念を変える必要があります。社会通念が変われば、環境や資源も変えることができます。変化を持続するために、何ができるでしょうか?」

「それには、水・衛生の分野への適切で継続的な予算の支出が必要です。それが政府からでも、開発パートナーからでも、研究機関や、あるいは個人からであっても構いません。政府による全国的な衛生促進戦略は2012年以降、改訂されていません。これを改訂することと、実現のための適切な予算が必要です」

ハシンはバングラデシュについて、国内でのコロナウイルス感染者数、死者数が増えている危機的状況に最大限対処しており、レジリエンス(強じんさ、回復力)があると話していました。その一方で、課題も認識しています。

「人口に対して検査能力が足りないことも問題ですし、手に入る検査キットの品質や信頼性についても議論があります。実際の状況は数字が示すよりずっと悪いのです」とハシンは言います。

「特に、地方の人々はその危険を理解していません。お茶を飲みにみんなで集まって世間話をしても大丈夫だと、いまだに思っています。事態の深刻さが理解されていないのです」

トイレの消毒や石けんの補充を行う地域の女性ボランティア。バングラデシュでは、このようなボランティアが衛生環境を支えている
WaterAid Bangladesh
トイレの消毒や石けんの補充を行う地域の女性ボランティア。バングラデシュでは、このようなボランティアが衛生環境を支えている

密集を避けられない都市のスラム

ウォーターエイド・バングラデシュはロックダウン(都市封鎖)が実施される前に、都市の中心部にある鉄道の駅やバス停、公衆トイレなどに手洗い設備を設置しました。都市中心部への手洗い設備の設置に続いては、都市部のスラムと農村部の支援に焦点を当てました。スラムや農村部は、社会から取り残されがちで、通常の保健医療サービスも届きにくいからです。スタッフらの安全を確保しつつ、スラムの入り口への手洗い設備の設置を検討しました。想定したスラムの数は17、それらのスラムで暮らす人は合計で50万人にもなります。

コミュニティをこまめに回って正しい衛生習慣についてのメッセージを伝える取り組み
WaterAid Bangladesh
コミュニティをこまめに回って正しい衛生習慣についてのメッセージを伝える取り組み

背景には、スラムの課題があります。感染予防のために、世界各国で人との距離を保つことが推奨されました。しかし、ハシンは、その難しさを説明します。「距離を保つことは、ここでは不可能でした。とくにスラムにおいては。1部屋に9人もいる状態で、何ができるでしょうか。早期発見が唯一の解決策です」。

そのため、ウォーターエイド・バングラデシュでは、スラムの居住者を対象に、ボランティアと連携しながら健康状況を把握するアプリ「Connecting the Unconnected Slum Dwellers」(取り残されるスラムの居住者との連携)を開発しました。ボランティアや政府と協力・連携して、スラム居住者の健康を調査することを目的としたもので、体調不良の人は政府の検査メカニズムに引き継がれます。このアプリは、新型コロナに関する優れたICT(情報通信技術)の取り組みだとして政府から表彰もされました。

ウォーターエイド・バングラデシュはまた、農村部の人々の支援のため、ラジオ局やボランティアとも協力しています。バングラデシュの農村部では、流水で手を洗うことが課題であることから、これを改善するため、低コストの手洗い設備を設置するためのマニュアルも作成しました。

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特設ページ

ウォーターエイドの新型コロナウイルス感染症に関する取り組みは、以下のページからご覧いただけます。

手洗いで新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ

 

新型コロナウイルス感染症の流行を防ぐため、ウォーターエイドは、手洗いなど衛生習慣の普及促進の取り組みを拡大しています。この取り組みを継続、さらに拡大し、より多くの人々が手洗い習慣を実践できるよう、皆さまのご協力をお願いいたします。 

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