【活動レポート・ブログ】マダガスカル:湖を水源とする給水システムで人々の生活を変える①

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30 July 2021
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

アフリカの南東海岸沖に位置する島国、マダガスカル。マンジャカンドリャナ郡は同国の首都から約50kmの中央高地に位置しています。24の村からなるこの郡の人口は約27,000人、人口の大半は小規模農家です。

この地域で、清潔な水を利用できるのは、人口の4分の1以下、適切なトイレを利用できるのは3分の1以下。人々は、開放井戸(蓋がない井戸)や小川、池からくんでくる不衛生な水を使うしかありません。マンジャカンドリャナは、マダガスカル国内でも、清潔な水とトイレの利用率が最も低く、子供の死亡率が高い地域の1つです。

ウォーターエイドは、この郡で、12,860人の人々に清潔な水と衛生環境を届けるために、現在、2019年~2022年と3年間にわたる水・衛生プロジェクトを実施しています。郡政府、そして水道会社JIRAMAと密に連携しながら実施しているこのプロジェクトについて2回に分けてご紹介します。
 

コミュニティ、保健医療施設、学校で清潔な水とトイレが使えない

ウォーターエイドがこの郡で活動を始める前、祖母、母、兄弟と暮らすサロビディさん(当時12歳)は、家族のために毎日朝早く井戸へ水くみに行かなければなりませんでした。15リットルの水が入ったポリタンクを、1日2回、坂のうえにある自宅まで運ぶのは重労働。しかし、こうして苦労してくんでくる水も清潔ではありませんでした。

Sarobidy, 12, lowering a jerrycan into an unprotected water source to fill it, Ambohimanatrika, Manjakandriana district, Madagascar, August 2019.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
蓋がない井戸から水をくむサロビディさん(2019年8月)

マダガスカルでは、多くの学校で、そして命を救う場であるはずの保健医療施設でも、清潔な水とトイレを使うことができません。同国にある保健医療施設のうち、トイレがあるのは36%、水が使えるのは15%です。

計20村の住民が利用するマンジャカンドリャナ保健センターもそのような保健医療施設のひとつ。保健センターの蛇口から出る水には草が混じり、黄色い色をしていました。トイレは壊れたままで、資金も人手も足りず、修理することができませんでした。清潔な水や適切なトイレがないことで、保健センターが病気の感染源となる危険がありました。

マンジャカンドリャナ保健センターで主任医師として働くバコアリボニーさんは、清潔な水とトイレを使えないことが、地域の子供たちの健康状態に及ぼしている影響について、次のように話します。「腸内寄生虫も非常に多いです。多い時期には、10人の子どもが相談に来て、そのうち5人は腸内寄生虫に関連した症状ということもあります。」

この郡の多くの学校にも、給水設備も適切なトイレもありませんでした。3年前、小学校のタンテリー教頭は話してくれました。「(学校に給水設備がないため)学校のために、子供たちが順番に水くみをしています。学校から遠く離れた場所まで行って水をくんでくることを頼まれても子供たちは文句を言わず協力してくれます。水くみには30分ほどかかりますが、少なくとも1日3回は水くみをしなければなりません。教師としても辛いのですが、他に選択肢がありません」。

マンジャカンドリャナ市長のエヴァさんは、この地域の人々に清潔な水を届けたい、と強い気持ちを持っていました。「この状況を買い中央政府から水の状況を改善するための予算はありません。最善を尽くしたいと思っていますが、市の予算だけでは、できることは限られています。」

湖を水源とする給水システムの建設

ウォーターエイドは、この水・衛生プロジェクトが他の郡の「モデル」となるよう、水・衛生の課題に包括的に取り組みます。ここでは、そのうちの1つ、人々に清潔な水を届けるための給水システムについてご紹介します。

ウォーターエイドは、マンジャカンドリャナに清潔な水を届ける最適な方法として、町のはずれにある2つの湖から電気を使ったポンプで水をくみ上げ、浄水してタンクに貯め、その貯水タンクからは重力でもって、町中に設置する水くみ場に水を届けるという方法を採用しました。これは、丘があって高低差があるマンジャカンドリャナの地形に合った技術であり、かつ維持管理の負担が小さく、ランニングコストを抑えることが可能です。

これらのインフラの建設は、マダガスカルの国営水道事業会社JIRAMAと協力して実施。2つの湖から水をくみ上げるポンプ施設2基(湖1つにポンプ施設1基)とくみ上げた水をきれいにするための浄水施設、400㎥の貯水槽を建設するほか、9村に水を届けるために12kmにわたる水道管網を構築します。

蓋がない井戸から水をくむサロビディさん(2019年8月)
給水システムのイメージ図
Civil engineers, a topographer and others technicians from the state run utility company, JIRAMA, standing by the upper water source looking at plans, Manjakandriana commune. Analamanga region, Madagascar, October 2019.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
水源となる湖で計画を確認するJIRAMAの土木技師、地形学者、その他の技術者たち

プロジェクトの1年目で、ポンプ施設と浄水施設、400立方メートルの貯水槽の建設、そして水道管の敷設をほぼ完成、というところまで進めました。

Pipes for the gravity flow water system for Manjakandriana, Manjakandriana commune, Analamanga region, Madagascar, March 2020.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
給水システムの資材
A close up view of the gigantic semi-underground concrete reservoir under construction. Manjakandriana commune, Analamanga region, Madagascar, March 2020.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
建設中の400㎥の貯水槽
View of the construction site of Manjakandriana's water supply system, Manjakandriana commune, Analamanga region, Madagascar, March 2020.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
建設中の浄水施設

2年目となる昨年は、新型コロナウイルス感染症の影響により、建設工事を一時中断せざるをえない時期もありましたが、水がなければ感染予防に不可欠な手洗いもできない、と考えて粘り強く作業を進め、年末までにインフラの大部分の建設を完了することができました。
また、ポンプ施設、機械室、制御室、敷地内の照明などを稼働させるための送電線の設置も完了しました。

残る作業は国道沿いに水道管を敷設する作業。公共事業省の承認が遅れていましたが、ついに承認が出たため、今年(2021年)、この作業を進めていく予定です。

The enormous semi-underground concrete reservoir and the water treatment station near the upper lake, Manjakandriana commune, Analamanga region, Madagascar, November 2020.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
湖付近に建設された半地下の大型コンクリート製貯水槽(2020年11月)
The water treatment station of Manjakandriana's water supply, Manjakandriana commune, Analamanga region, Madagascar, November 2020.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala
湖付近に建設された浄水施設(2020年11月)

次回は、インフラの維持管理の取り組み、新型コロナウイルス感染症の拡大を受けてウォーターエイドがこの地域で実施した活動などについてご報告します。