【支援の現場から】新型コロナに立ち向かうため給水サービス維持に力を注ぐ

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1 May 2020
WaterAid/ Vlad Sokhin

清潔な水の供給が継続され、その水を利用し続けられることは、世界的な新型コロナウイルスの感染拡大の中で、健康と命を守るために不可欠な人間の基本的な権利です。この状況における懸念とウォーターエイドの取り組みについてお伝えします。

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水と石けんによる手洗いは新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための最も有効な手段の一つです。緊急事態の中でも、清潔な水の供給が途切れることなく続けられることは、手洗いはもちろん、家庭内や保健医療施設を清潔に保つためにも不可欠です。しかし、現実には、世界の20億の人々は安全に管理された水に自宅でアクセスすることができません(*)。

ウォーターエイドが活動を続けている国では、都市部でも農村部でも、給水サービスは以前から危機に瀕していました。不安定な電源や、サービス維持・復旧のための予算の不足、少ないスタッフ、老朽化した設備などが要因です。新型コロナウイルスの感染拡大は、この状況をさらに悪化させています。給水サービスの事業者は、スタッフの病気や通勤・移動手段の確保などの新たな課題を抱え、塩素など必要な物資の供給網にも混乱が生じています。

水の利用中断や女性などの負担増、共同設備での感染を懸念

ウォーターエイドは、この状況が続くことで、以下のような影響が出ることを懸念しています。

  •  必要なときに水を利用できないことで、手や体を洗ったり、他人が触ったものをこまめに拭いたり、掃除したりすることなどができず、感染拡大につながる
  •  給水サービスが中断されたり、貧困層や利用料金未払い世帯の利用が停止されたりすることで、他の感染症の流行のリスクも高まる
  •  共同で利用されている給水設備の蛇口やハンドルなどに接触することや、水くみの時に人との距離を保たないことにより、新型コロナウイルス感染症が広がる
  •  通常より多くの水を使う必要が生じて、水くみなどの負担が増え、女性や子供がその負担を強いられる
インドのウッタル・プラデシュ州で共同の井戸で水くみをする人たち
WaterAid/ Prashanth Vishwanathan
インドのウッタル・プラデシュ州で共同の井戸で水くみをする人たち

ウォーターエイドが給水サービスに関して重視する4つの目標

このような事態を避けるため、ウォーターエイドは以下の4つの目標を設定しています。

  1. それぞれの家庭や保健医療施設が、欠かすことのできない手洗いや清掃などに使うために必要な量の水を利用できる状況をつくる
  2. 給水サービス事業者の混乱を最小限に抑えてサービスの維持を支援するとともに、低所得世帯が引き続き水を利用し続けられるよう促す
  3. 共同で利用されている給水設備で新型コロナウイルスの感染が広がるリスクを低減する
  4. より強力な水・衛生システムを構築するため、地域、国、グローバルのそれぞれのレベルでの働きかけを引き続き継続する。それにより、すべての人が、持続的に、水・衛生システムを利用することができるようになる。そのためには、適切なリーダーシップやガバナンス、調整、予算、透明性と説明責任が求められる。

目標達成のため、ウォーターエイドは、パートナーとともに、以下のようなことにも取り組みます。

  • 給水サービスに関するデータの提供を通じて、政府やサービス事業者が、水が利用できない地域や保健医療施設を特定し、優先順位を付けることを支援する  給水設備の修理のための資機材を提供する
  • 共同の給水設備で、人との距離を保つための取り組みを進める。(例えば、住民が順番待ちの列をつくらないように、作業員が代わりに容器に水を入れて後で取りに来てもらう、順番待ちの円を描く、注意を呼びかけるポスターを貼る、などの取り組みもある)
  • 給水設備の蛇口やハンドルなどを定期的に消毒する(世界保健機関のガイダンスに従い、希釈された家庭用漂白剤を使用)
  • 給水サービスが不十分な地域や保健医療施設で、パートナー団体が給水車を使って給水サービスを実施することを支援する
  • サービス事業者や公共事業体と協力して、事業継続計画を策定し、危機の間および収束後の重要業務の継続を図る
  • 困難な状況にある事業者を支援するため、塩素などの化学物質や修理のための部品、発電機や燃料などの必要な物資を調達する
  • 水くみや衛生設備の清掃などが、女性だけの仕事ではなく、すべての人が取り組むべきことであることを広く伝える

スタッフ、パートナー、周囲の人々を守りながら

ウォーターエイドは、新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、スタッフやパートナーの安全確保に関する対応を改定しました。ウォーターエイドは活動中の世界各国で、各国政府による移動制限と人との距離を保つこと(フィジカル・ディスタンシング)を遵守します。ウォーターエイドは、社会を支えるための活動に従事する、政府や自治体、公共事業体、NGO/NPO、保健医療従事者、給水サービス事業者などとパートナーを組んで活動しています。こうした業務に従事する人々は通常、移動制限から除外されますが、ウォーターエイドとの取り組みによって、こうした人々を危険にさらすことがないように調整を図ります。

ウォーターエイドはまた、こうした人々の活動によって、周囲の人々が新型コロナウイルスに感染する危険にさらされることがないかも確認します。中でも、女性や阻害されている人、感染リスクが高い人が、ウイルス感染のリスクを負うことがないように、パートナーをサポートしていきます。

ウォーターエイドの給水サービスに関する取り組みは、水・衛生分野に広くまたがる新型コロナウイルスの感染拡大防止に関する取り組みの一部です。現在、ウォーターエイドの活動の多くは、政府機構に近く、移動の制約が小さい都市部と都市の周辺部で実施していますが、今後は支援を農村部にも広げていくことを目指しています。

パキスタンの保健医療施設の近くに設置した手洗い設備を利用する人たち
WaterAid Pakistan
パキスタンの保健医療施設の近くに設置した手洗い設備を利用する人たち

最も弱い立場にある人を意識しながら将来の危機にも備える

ウォーターエイドは常に、阻害されて厳しい状況にある人々を意識して支援活動に取り組んできました。以前から、大きな課題と不平等に直面している人々は、新型コロナウイルスの感染拡大によって、より大きな影響を受ける可能性があります。

新型コロナウイルス感染症に対し、ウォーターエイドは地域、国、グローバルのそれぞれのレベルで対応しています。それとともにウォーターエイドは、世界中のすべての人々が清潔な水と衛生に持続的にアクセスできるように、水・衛生システムを強化する活動を継続していきます。

新型ウイルスの世界的な流行の中、清潔な水の供給が継続され、その水を利用し続けられることは、健康と命を守るために欠かせません。しかし、緊急の対応とともに、長期的な解決策に向けて努力を続け、現在最も疎外されている人々の生活や権利を守り、将来の感染症の流行に対しても備えていかなくてはなりません。

(*)WHO/UNICEF Joint Monitoring Programme (JMP) 2019「Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000-2017: Special focus on inequalities」
 自宅の敷地内でいつでも安全で管理された水を利用することができる人の数、往復30分以内の移動で清潔な水を利用できる人の数、往復に30分以上かかるものの清潔な水を利用できる人の数、覆いなどのある井戸や泉からの水を利用できる人の数、川や池などの水を利用している人の数に分けて集計されている。

このレポートは、ウォーターエイド・イギリスの水・衛生分野の上級マネージャーであるヴィンセント・ケーシーのレポートを、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。オリジナルのレポートはこちら

 

特設ページ

ウォーターエイドの新型コロナウイルス感染症に関する取り組みは、以下のページからご覧いただけます。

手洗いで新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐ

 

新型コロナウイルス感染症の流行を防ぐため、ウォーターエイドは、手洗いなど衛生習慣の普及促進の取り組みを拡大しています。この取り組みを継続、さらに拡大し、より多くの人々が手洗い習慣を実践できるよう、皆さまのご協力をお願いいたします。 

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