【活動レポート・ブログ】ルワンダ:日本NGO連携無償資金協力の助成を受け、東部県キレヘ郡で水・衛生プロジェクト開始

Village Health Team (VHT) members with their new tools for use in promoting safe water, sanitation  and good hygiene practices at community level, Kigeme Cell, Nyamagabe District, Rwanda, January, 2018
Image: 写真:ウォーターエイドがルワンダの他の地域で実施したプロジェクトより WaterAid/ James Kiyimba

このたび、ウォーターエイドのルワンダ共和国におけるプロジェクト「東部県キレヘ郡における水・衛生環境改善事業 」が、外務省の令和3年度日本NGO連携無償資金協力事業として採択されました。3月16日、今井雅啓在ルワンダ日本国特命全権大使とウォーターエイドジャパンとの間で贈与契約書が締結され、プロジェクトが開始されます。

Kirehe district HQRS
キレヘ郡政府のオフィス
Image: Antoine Byiringiro (WASAC District Water and Sanitation Support Engineer)

ルワンダは、アフリカ大陸の中部に位置し、面積2.63万平方キロメートルと比較的小さい内陸国です。1990年代前半の内戦から復興を果たし、2010年以降、年平均7%以上の経済成長を維持するなど、著しい発展を遂げました。 

一方、農村部はこのような発展から取り残されがちで、都市部と農村部の格差が顕著になっています。ルワンダの都市部では、8割以上の人々が清潔な水を利用可能である一方、農村部では、人口の56%しか清潔な水を利用できません。 

首都キガリから車で約3時間、山岳地帯に位置するキレヘ郡も、都市部からの距離や険しい地形などが原因で開発が遅れている地域の一つです。水・衛生サービスを含む社会基盤の整備が課題となっており、住民の多くが、不衛生な川の水や湧き水などに頼って生活しています。 

また、ルワンダの農村部では、3人に1人が適切なトイレを利用することができません。家庭にトイレがない人々は、野外排せつするしかありません。家庭にトイレがあったとしても、足場が不安定で屋根がない、ドアや壁がついていないなど安心して利用できるトイレではないことが多くあります。さらに、多くの学校では、生徒数に対して、トイレの数が足りていません。トイレ1基あたりの生徒数が100人を超えることもあり、子供たちは安心して学校に通い、勉強に集中することが困難です。 

本プロジェクトは、このようなルワンダの農村部がおかれた状況を改善するため、東部県キレヘ郡のキガラマセクター、ニャムガリセクターで実施。下記の活動を通じて、住民の生活環境を改善することを目指します。 

 

1. 給水システムの建設

対象地域の人々が、持続して清潔な水を得ることができるよう、22キロのパイプライン、貯水槽、7か所の水くみ場などからなる、自然流下式の給水システムを建設します。湧き水を水源とし、貯水槽に水を貯め、重力を使ってパイプでコミュニティの水くみ場まで水を届けるしくみです。自然の力を利用することで、高価な電動のポンプを必要とせず、費用対効果の高い手法と言えます。この給水システムによって、住民16,000人に安全な飲料水を持続的に供給する計画です。

One of the reservoirs WaterAid Rwanda built has got an aeration and filtering facility built into it. Rweru, Bugesera, Rwanda, February 2018.
ウォーターエイドが、東部ブゲセラ郡に建設した貯水槽
Image: WaterAid/ Behailu Shiferaw

また、建設した給水システムが、持続して適切に維持管理されるよう、維持管理の体制・しくみも構築します。ルワンダでは、民間事業者が委託を受けて、給水サービスの維持管理を担当することになっています。そこでウォーターエイドは、民間事業者を対象に維持管理トレーニングを実施。また、住民が参加する「水利用者組合」を立ち上げ、この組合が、給水システムに不備・故障を見つけた際に、住民の窓口となって民間事業者に連絡する体制を整えます。  

2. 学校・コミュニティの衛生環境の改善 

学校3校にトイレ棟を建設します。各トイレ棟には、8基のトイレを設置し、そのうち1基は手すりなどが付いたインクルーシブトイレを導入します。トイレを設置した学校では、生徒たちが参加する「衛生クラブ」を立ち上げ、生徒たちが中心となってトイレの適切な維持管理や生徒の衛生意識向上のための活動に取り組むようサポートします。 

Giramata Angelique, 16, entering a newly constructed girls toilet block,  Groupe Scolaire Kibungo, Ntarama Sector, Bugesera District, Rwanda, October, 2018.
ウォーターエイドが、東部県ブゲセラ郡の学校に設置したトイレ棟
Image: WaterAid/ James Kiyimba

さらにコミュニティにおいても、「コミュニティ保健クラブ」を立ち上げます。トレーニングを受けた「コミュニティ保健クラブ」のメンバーは、住民がトイレを設置または改善し、清潔で安全なトイレを利用し続けるよう、家庭訪問などを通じて働きかけていく役割を担います。 

プロジェクト期間は1年間を予定しています。その様子は今後ウェブサイトなどに掲載していきます。