【活動レポート・ブログ】タンザニア:東部ハンデニ県で水不足に苦しむコミュニティ 現地企業とのパートナーシップによるダム修復計画を通じて水不足解消に取り組む

Women walking to carry water buckets
Image: WaterAid Tanzania

タンザニアのタンガ州にある11の県の1つであるハンデニ県。住民の多くはトウモロコシ栽培などの農業や牧畜業から収入を得ています。収入源がある一方で、人々は清潔で安全な水の確保に問題を抱えています。住民の38%が水を手に入れることができる一方、その水は清潔で安全とは言い難いものです。ハンデニ県では、空き地には多くの開放井戸があり、市街地ではいたるところに共同の水くみ場で黄色いポリタンクを手に長蛇の列に並ぶ人々を見かけます。タンザニアの他の地域と同様、ハンデニ県には雨期が年に2回ありますが、この5年間はまったく雨が降らないこともあれば大雨に見舞われることもあり、降雨のサイクルに変化が起きています。

バング郡に住むミリアム・ジュマさんは水不足に直面する1人です。毎日2時間歩いて水くみに行き、なんとか手に入れたわずかな水を家族と分け合っています。以前はダムから水をくんでいましたが、豪雨によりダムが破壊されてしまったため、今はバケツ1杯(10リットル)につき200タンザニア・シリングを支払って穴からくみ上げてもらった水を使っています。

「水需要が高いので井戸の水が枯れることもあり、20リットルの水を手に入れるまでに3日間並ばなければならないこともあります。でもくんできた水を数時間放置すると厚く白い膜が張ってしまうので、数日間かけて手に入れた水でもすぐに使わざるを得ないのです」

2年前、ハンデニ県では豪雨により、約2万人が利用していたクワマイジ、バング、キトゥルウェなどの複数のダムが破壊され、清潔で安全な水の確保ができなくなりました。ウォーターエイド・タンザニアは、現在、社会的投資による持続可能な開発を重視するセレンゲティ・ブルワリー社の支援を受けて、ハンデニ県における水不足の影響を軽減するため、前述の3つのダムの修復を計画しています。ダムが修復されれば、ハンデニ県の水のアクセスは4.6%向上して42.6%になると考えられています。

ハンデニ県の保健医療施設もまた、不衛生な水に悩まされており、浅い井戸や汚れた水が原因で起こるマラリア、下痢、尿路結石はこの地域における主要疾患となっています。医師のファイサル・サイドさんによると、水が高濃度の塩分を含んでいるため器具の洗浄や消毒に使えず、その結果、病院や診療所では水を購入し、その費用も高くついています。バング郡、クワマイジ郡、キトゥルウェ郡の住民は水20リットルを1,000タンザニア・シリングで購入し、都市部の住民は同じものを1,500タンザニア・シリングで購入しています。学校の状況は更に深刻で、120,000タンザニア・シリングで3,000リットルの水を購入していますが、それも3日ほどしか持ちません。また、購入した水にも高濃度の塩分が含まれていることが多く、学生、患者、住民は飲料用にはペットボトル水を購入する必要があり、清潔で安全な水の不足による経済的な課題が起きています。

前述のミリアムさんは、ウォーターエイド・タンザニアのプロジェクトによって解決がもたらされることを望んでいます。

「清潔で安全な水をいつでも利用できるようになれば、私の生活は大きく改善されます。他の経済活動に従事する時間ができ、今、水を買うために使っているお金を節約して家族はよりよい暮らしを送ることができるでしょう」

セレンゲティ・ブルワリー社をはじめとするパートナーのおかげで、今後、ミリアムさんのような多くの女性の夢が叶い、水をくみに長距離を移動する悪夢は終わり、保健医療施設では患者の治療が行われ、学校では月経中も女子生徒たちが適切な環境で勉強できるようになるでしょう。ウォーターエイドは、目標達成のためパートナーとの連携を図り、人々の暮らしに持続的な変化をもたらし、国やコミュニティの働き方に変化をもたらすことを目指しています。