【支援の現場から】 オンラインデータツール「mWater」活用で水・衛生の状況を可視化

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8 May 2019
khanene-village-borehole

スマートフォンを活用してデータ収集           

スマートフォンの普及にともなって、情報の収集、共有、活用方法が変化しています。ウォーターエイドは、オンラインデータツールであるmWaterを活用して、利用者とともに水・衛生の状況確認を進めていて、各国で成果が表れています。

実際のデータにもとづく意思決定は、水・衛生分野でも重要になってきています。信頼性の高いデータを継続的に入手できれば、水・衛生サービスが行き届いていない地域や人々を特定するなどしたうえで 計画づくりや予算配分を行うことができるようになり、ガバナンスを大いに向上させることも期待できます。

ウォーターエイドは、次のような目的のために、良質なデータと効率的なモニタリングが不可欠だと考えています。

  1.  水・衛生サービスが行き渡っていない人々を特定し、誰もが利用できるようにする。
  2. 利用料徴収の遅れや技術サポートが得られないこと、交換部品が入手できないことなど、水・衛生サービス がうまくいかなくなる要因を分析する。
  3.  国および地方レベルで、計画と予算に関する情報提供を行い、関係団体間の連携を支援する。


2000年代から水・衛生分野のツールへ投資         

ウォーターエイドは、以前から、データの収集、管理、分析、共有を強化するためのプラットフォームやツールの開発・活用に出資してきました。2000年代初めには、エクセルとグーグルアースを活用した簡易な地理情報システム(GIS)ソリューション「Water Point Mapper」の開発を進めました。これは、利用者が水くみ場や水の利用場所、利用状況、水質などを書き込み、地図を作るというものでした。

そして2014年、40以上のさまざまなシステムを検討した結果、ウォーターエイドは、モバイルデータ収集、分析、共有を容易にする水・衛生に特化したオンラインプラットフォーム「mWater」との連携に踏み切りました。

mWaterとの連携を決めた理由は、その卓越した技術だけではなく、水・衛生分野に特化した誰でも利用できる無料のプラットフォームを確立している点にありました。しかも、プラットフォーム開発のための共同資金調達モデルを持ち、水・衛生に関する豊富な専門知識も持っていました。

mWaterとの連携以降、ウォーターエイドは、それまで支援し開発に携わったすべての技術を、すべてのmWater利用者が使えるようにしました。mWaterを活用することで、地図や各種のグラフなどを容易に作成することができます。これにより、地方政府、支援団体、公益事業者などが、データに基づくよりよい意思決定を行えるようになり、ひいてはそれが水・衛生設備サービス全体の向上につながっていくとウォーターエイドは考えています。


ルワンダ、モザンビークなどで活用の成果         

2014年以降、ウォーターエイドだけではなく、ウォーターエイドの活動国の現地パートナーの間でもmWaterの活用が広がりました。mWaterを導入した事業者は1,700を超えています。その結果、いくつかの成果が表れています。

A WaterAid trained pump mechance and local leader, Gaudence Mukahabyarimana, stands next to a handpump in one of the newly built model villages, Nkange, Rwanda, February 2018.
WaterAid/ Jacques Nkinzingabo
村のリーダー兼ポンプ技術士のゴーデンスさん(ルワンダ)

ルワンダでは、ウォーターエイドのプログラムによって、水・衛生分野の状況がどのようになったかを追跡調査し、Rwanda school baseline としてまとめました。

ルワンダでは、支援を実施したブゲセラ郡で、水供給システムや水・衛生全般の状況について、事業者を通じて郡全域の詳しいデータを集め、政府の年間計画や予算策定のために情報提供しています。ルワンダでは多くの自治体はいまだに紙ベースのデータを使っているため、更新が不定期で分析や活用も限定的です。

→ Bugesera district water services monitoring  (英文)

Joana Wadi and her grandchild Alima drawing water at the new stand pipe in Nhangataiane Village. Mecanhelas District, Mozambique, May 2018.
WaterAid/ Chileshe Chanda

モザンビークでは、ウォーターエイドが実施したプログラムの後も、水・衛生設備が引き続き使用できる状況なのかどうかを確認する「実施後監視調査」(Post Implementation Monitoring Survey)が行われました。その結果、水くみ場160ヵ所のうち、85パーセント以上が引き続き、機能しており、大半が地元の住民や水・衛生委員会によって運営され、その約70%が利用者から料金を徴収していることがわかりました。  

→ Mozambique: PIMS Water Point Survey results  (英文)

ウォーターエイドのモニタリングとマッピング担当のプログラムアドバイザー、エレン・グレジオと、プログラムデータ分析担当のエマ・スチュワートは、次のように話しています。

「ウォーターエイドは他団体や政府との連携を深めて支援を行い、指標のさらなる調整、共同でのモニタリング、エビデンス(証拠)にもとづく意思決定を進めたいと考えています。それらは水・衛生分野に変化をもたらす重要な原動力であり、それによって、取り残される人をゼロにするという目標への歩みを加速できるのです」

ただし、その一方で2人は、次のことも強調します。

「データが有効に活用され、システム、プロセス、およびフィードバックの流れのなかに効果的に組みこまれていることが、水・衛生サービス の向上とその持続可能性を高めるために重要です。 またモニタリングの改善には、水・衛生分野の協調、資金調達、計画、組織間の調整などの改善も必要です」

ウォーターエイドは今後も、こういった方針を反映させるべく活動を続けています。

※このレポートは、ウォーターエイドのエレン・グレジオ、エマ・スチュワートによるレポートをもとに、ウォーターエイドジャパンで編集したものです。オリジナルのレポートはこちら(英文)