【活動レポート・ブログ】新型コロナウイルス感染症に関する世界の状況とウォーターエイドの対応:2020.06.01版
世界の状況:感染者は約590万人、1日あたり10万人増加
アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、世界で確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は約590万人で、この2週間で約145万人増加しました。1日あたり約10万人の増加です。感染者は215の国と地域で確認されています。
確認された症例のうち、約3分の1にあたる173万人がアメリカで確認されています。米国とブラジルでの感染者数が世界全体の感染者数の半数を超えていて、世界保健機関(WHO)は、新型コロナウイルス感染症COVID-19の流行の焦点はアメリカ大陸に移ったとしています。
これまでに世界各国で新型コロナウイルスに感染し、亡くなったのは36万2,000人。過去2週間で新たに約6万人が命を落としました。なお、ジョンズ・ホプキンス大学がデータの収集を開始して以来、約250万人が新型コロナウイルス感染症から回復しました。
各国は、流行の動向や政治的・経済的要請を考慮しながら、ロックダウン(都市封鎖)による行動制限の緩和あるいは強化を検討しています。WHOは、一部の国では新たなクラスターや症例の急増が見られることから、パンデミック(世界的流行)はピークを過ぎてはいないとして、性急な制限緩和について各国に警告しています。
WHOはまた、新型コロナウイルス感染症の検査やモニタリングが不十分な国が多く、報告された症例の数は全体の一部であるとの警告を出しています。100万人当たりの検査件数は、アメリカが4万4,200件(累計1,500万件以上)なのに対し、インドは2,135件となっています。
ウォーターエイド活動国の状況
ウォーターエイドが活動している国のほとんどで、引き続き、新たな感染者が報告されています。ただし、カンボジアと東ティモールでは、その数は非常に少なくなっています。
アフリカ:感染者数が30%増加するなか、制限緩和の動きが続く
報告されている感染者数は30%あまり増加して約10万人となりました。感染者が増加しているにもかかわらず、多くの国の政府はロックダウンを緩和し、学校、企業、商店は再開の準備を進めています。しかし、対応が政治的な事情によって決められる傾向があり、感染拡大防止の観点からは懸念も生じています。
ウガンダでは、ロックダウンが解除され、6月から企業や商店、学校、公共交通機関が再開されました。タンザニアでも、大学や学校、スポーツイベントが6月から再開されるとの報告がありました。しかし、野党からは、4月以降、危機に関する報告がなく、政府が危機の広がりを隠蔽しているとの批判が出ています。
南アフリカでは、礼拝などを行う宗教施設が6月から再開。ただし、その数は限定的です。マラウイとモザンビークでは、感染者数が急速に増加し、移動を制限する措置が強化されるとみられています。
リベリアでは、新型コロナウイルス感染症のタスクフォースに誰が含まれるかをめぐって混乱が起きています。シエラレオネでは、マスクの着用が義務付けられ、治安部隊が路上で、マスクを着用していない人々の取り締まりを行っています。
アジア太平洋:新規感染による再制限が相次ぐ
南アジアでは26万3,000件の感染者が報告されています。インドでは一貫して多くの感染者が報告されていて、累計の感染者数は14万5,380人に達しました。このうち、4,167人が亡くなっているほか、1日で6,535人の新たな感染が報告された日もあります。
パキスタンはで最近、規制が緩和されたものの、新たに多くの感染者が確認されていることから、再び規制を実施することが検討されています。
ネパールでは、感染急増のためにロックダウンを延長し、県をまたいだ移動を再び禁止しました。イードの休日、サイクロン「アンファン」、そしてモンスーンの雨などにより状況が悪化しています。
ウォーターエイドの各国での活動
ウォーターエイドは、すべての活動国で、手洗いをはじめ、水・衛生の状況改善のために、パートナーと協力しながら活動を続けています。また、各国政府に対し、新型コロナウイルスの対策の中で水・衛生の状況の改善を進めることを優先するよう働きかけています。支援活動では、貧困層や地方に住む人々、障害者など社会から取り残されがちな人々に焦点を当てることを重視しています。
ルワンダでの水や石けんなどの物資の提供
ルワンダ・ウガンダ:国境を越えるトラック運転手の支援へ ルワンダとウガンダでは、両国の国境を通過するトラックの運転手の新型コロナウイルス感染が報告されています。両国のウォーターエイドは、国境地域における手洗い設備や手洗いのための衛生用品の設置、感染を防ぐ方法の案内などの支援を検討しています。
エチオピアでは、命と健康を守る衛生習慣を広めるため、新たなテレビCMを3種類制作しました。
ザンビア:車いすのまま使える手洗い設備を導入
ザンビアでは、パートナー団体とともに、車いすや松葉づえを使っている人でも利用できるユニバーサルな手洗い設備の開発に取り組み、このたびその手洗い設備が完成しました。車いす利用者が、車いすに乗ったまま利用でき、直接、手を触れることなく手を洗うことができるタイプで、同様の設備はザンビアではこれまでありませんでした。車いすのまま利用できる手洗い設備は、バングラデシュでも導入しています。
モザンビークでは、首都マプト郊外の住民を対象とした巡回啓発キャンペーンを開始しました。正しい手洗いの手順や感染予防の方法を訴える大型のボードを荷台に設置したトラックが地域内を回ります。スピーカーからは音声による呼びかけも行います。43の行政区域が対象で、キャンペーン開始時にはマプト市長も参加してセレモニーを行いました。
モザンビークではその他、政府の検疫センターで、水と衛生に関する調査(アセスメント)も実施しました。
リベリア・ナイジェリア:ラジオを使って衛生メッセージ
ウォーターエイドは、手洗いなど感染予防に関するメッセージを伝えるため、ラジオを積極的に活用しています。リベリアでは、ウォーターエイドの現地代表が、2つのラジオのトークショーで司会を務め、水と衛生の大切さを伝えました。ナイジェリアでは、ウォーターエイドが関わったジングル(短いメッセージ)がラジオで流され、250万人に届きました。
リベリアではまた、検疫センターへの水や衛生用品の提供も実施しました。
ニジェールでも、手を触れずに使える非接触式の手洗い設備の設計が終わり、政府とも共有しました。この手洗い設備は、今後、公共の場所に設置する予定です。
ブルキナファソでは、デンマークとスウェーデンの協力による支援プログラムが実施されることになり、両国大使が出席して調印式が行われました。プログラムは、7つの州を対象に、6カ月間にわたって実施されます。このプログラムは、石けんと水を使った手洗いと飲料水へのアクセスを保証し、ラジオなどを使って地元の言語で正しい衛生習慣を広めるものです。
東ティモール:正確な情報が届きにくい農村部で巡回指導
東ティモールでは、感染予防のための正確な情報が届きにくい農村部で手洗いの方法を広めたり、自治体の活動を支えるために水タンクや石けんなどを提供したりしています。
たとえば、都市部からのアクセスも容易ではない南部のマヌファヒ県では、「パパイヤの葉やゴーヤなどの苦い食べ物を食べると病気にならない」という情報が広まっています。誤った情報が原因で、新型コロナウイルスの感染が広がってしまう可能性があります。そのためウォーターエイドと地元のパートナー団体は、正しい手洗いの方法を伝えたり、住民たちが手洗いの方法を理解しているかを確かめたりしています。ウォーターエイドのチームは、バイクの荷台にスピーカーをくくりつけ、村々を回って、正確な情報を伝えています。
ミャンマーでは非接触式の手洗い設備を制作したほか、手洗い設備のデザインコンテストを始めました。
バングラデシュでは、感染予防のためのラップソングとミュージックビデオを制作しました。これらの音楽は、ラジオやテレビで放送されたほか、多くの人に届くように、モスク(イスラム寺院)の大型スピーカーでも流されました。
バングラデシュでウォーターエイドは、感染防止のための対策を説明する動画を制作し、facebookやYouTubeで公開しています。せきやくしゃみのエチケットなど、さまざまなポイントごとの1分程度の動画を制作していますが、その多くは、聴覚に障害のある人も理解できるように手話通話を入れたものにしています。
特設ページ
ウォーターエイドの新型コロナウイルス感染症に関する取り組みは、以下のページからご覧いただけます。
新型コロナウイルス感染症の流行を防ぐため、ウォーターエイドは、手洗いなど衛生習慣の普及促進の取り組みを拡大しています。この取り組みを継続、さらに拡大し、より多くの人々が手洗い習慣を実践できるよう、皆さまのご協力をお願いいたします。
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