【活動レポート・ブログ】新型コロナウイルス感染症に関する世界の状況とウォーターエイドの対応:2020.07.29版

WaterAid India’s ‘WASH on Wheels’, a handwashing station in a rickshaw campaign running in different districts of Uttar Pradesh, India. Covid-19 response. July 2020
Image: WaterAid

世界の状況:感染者は1,570万人、抑えていた国々で再発の動き

アメリカのジョンズ・ホプキンス大学の集計によると、世界で確認された新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染者数は約1,570万人となりました。過去2週間で300万人以上増加し、世界保健機関(WHO)によれば7月24日には1日で28万4,000人を超える増加があり、これは1月以来の最多の増加数でした。感染者は215の国と地域で確認されています。

感染者数を国別にみると、アメリカが約410万人、ブラジルが約220万人で、両国に次いで感染者が多いのがインドの約130万人。この3カ国で世界全体の感染者数の約半数を占めています。

亡くなった人の数は、世界全体で約64万人となりました。

ジョンズ・ホプキンス大学がデータの収集を開始して以来、約900万人が新型コロナウイルス感染症から回復しています。

感染の拡大を抑え込んでいると思われていたいくつかの国で、この2週間のうちに感染の急増あるいは第2波といえる状況が発生しています。韓国、スペイン、フランス、ドイツがそうした状況にあり、オーストラリア第2の都市であるメルボルンを含むビクトリア州では、新たに6週間のロックダウン(都市封鎖)の措置が採られました。

アメリカでは、新型コロナの感染者数は1日に約7万件のペースで増加しており、社会・経済活動を再開する計画を縮小する州が増えています。アメリカ疾病対策センター(CDC)は、新型コロナがアメリカ人の主要な死亡原因になると予測しています。

イギリスでは、全国の店舗、銀行、交通の要所でマスクの着用が義務化されました。

 

ウォーターエイド活動国の状況

ウォーターエイド活動国の大半では、国内感染を含む新型コロナの感染者の増加が続いています。しかし、東ティモール、カンボジア、ミャンマーでは、ここ数週間、新たな感染者はほとんど報告されていません。パプアニューギニアでは、感染の拡大は抑えられていましたが、首都の病院などで新たな感染者が増え、初めて亡くなった人が報告されました。同国はWHOに支援を求めています。

パプアニューギニアでウォーターエイドはコミュニティや政府などと連携し、新型コロナや衛生習慣についての知識を広めるほか、地元の材料で石けんをつくる方法も伝えている
パプアニューギニアでウォーターエイドはコミュニティや政府などと連携し、新型コロナや衛生習慣についての知識を広めるほか、地元の材料で石けんをつくる方法も伝えている
Image: WaterAid New Guinea

アフリカ:流行加速の中、保健医療従事者の感染も1万人以上か

アフリカで報告された感染者数は、2週間前の約54万2,000人から78万7,501人に増加しました。アフリカ疾病予防管理センター(アフリカCDC)によると、南アフリカの感染者数が42万人以上で、アフリカ全体の感染者数の半数以上を占めています。この1週間では、南アフリカでは1日に1万人以上の新たな感染者が報告されました。この対応のため、同国では、学校を1カ月間、休校することになりました。

アフリカの感染者数は、世界全体の5%強で、1カ月前の2%から倍以上となり、その数は指数関数的に増加しています。WHOは、アフリカでの感染加速に懸念を示しており、3月以降、アフリカ40カ国で1万人以上の保健医療従事者が新型コロナに感染したと報告しています。

アフリカCDC によると、西アフリカで感染者率が高いのは、ナイジェリアとガーナで、それぞれ38,948人、30,366人の感染者が報告されています。西アフリカ地域では、ほとんどの国が、社会・経済活動の規制を緩和している一方、ガーナでは、職員が検査で陽性となったため、政府は議会を停止し、最高裁判所を閉鎖しました。また、教育省の職員の約90%が陽性反応を示したと報告されていますが、多くは無症状でした。西アフリカ地域のほとんどの国では、国際空港がすでに再開されているか、8月1日までに再開される予定です。

マダガスカルとザンビアでは、報告されている感染者数がこの1週間で50%以上増加しました。ザンビアの政府は、国会議員が新型コロナで死亡した後、議会を停止しました。別の15 人の議員と議会スタッフ11 人は検査で陽性反応が出ました。マダガスカルでは、政府が新型コロナは薬草入り飲料を飲むことで予防できると発信してきましたが、実際には感染者が急増しています。病院は、最も重度の新型コロナの患者以外は受け入れていないと報告されています。ウガンダでは今週、初めて新型コロナで亡くなったケースが報告されました。

マリで、感染防止のために保健当局に提供した衛生用品
マリで、感染防止のために保健当局に提供した衛生用品
Image: WaterAid Mali

アジア太平洋:インドのほか、パキスタン、バングラデシュでも感染急増

インドでは、感染者数が130万人を超えました。1日に約49,000人の新たな感染者が報告された日もあります。亡くなった人の数は、1カ月前は約1万5,300人でしたが、約3万人になりました。 パキスタンとバングラデシュでも感染者が急増し、感染者数はそれぞれ約27万人、約21万8,000人になりました。しかし、翌週は、イスラム教のイード・アル=アドハー(犠牲祭)があるため、状況のさらなる悪化が懸念されています。 南アジア諸国では、社会・経済活動の再開が進められています。パキスタンは9月15日に学校を再開予定。ネパールでは政府が封鎖を終了し、8月1日から国際線の運航を許可します。バングラデシュでは、政府は、国外へのフライトを希望する市民は、新型コロナの検査を受け、陰性証明書を持っていなければならないとしています。

 

ウォーターエイドの各国での活動

各国のウォーターエイドのチームは、感染予防に配慮しながら活動を続けています。いくつかの国では、健康と安全のための厳格なプロトコルを整備した上で、事務所における業務を再開しています。南アフリカとマダガスカルは国内での感染が加速しているため、在宅勤務に戻っているほか、タンザニアは9月まで事務所を開けず、在宅勤務を継続する予定です。

 

イギリス国際開発省(DFID)とユニリーバが資金を提供する衛生習慣を変えるためのプロジェクト(Hygiene Behaviour Change Coalition project、HBCC)が各国で動き出しています。このプロジェクトは、DFIDとユニリーバがそれぞれ5,000万ポンド(約66億円)を拠出し、世界中で10億人を対象に、手洗いの大切さを伝え、石けんを使ってこまめに手を洗う習慣を身に付けてもらうことを目的に実施されます。

 


12月の選挙に向けて政府の政策に関する考え方を明らかにするため、ウォーターエイドは、政府閣僚との全国テレビ討論会を開催しました。


HBCCプロジェクトの一環として、ガーナ出身のイギリスのボクサーであるジョシュア・ブアッチィなどの著名人が、正しい衛生習慣の普及のためのキャンペーンに協力してくれることになり、調印が行われました。

保健省副大臣も参加したガーナでのHBCCの取り組み
保健省副大臣も参加したガーナでのHBCCの取り組み
Image: WaterAid Ghana


ラジオ、テレビ、フェイスブック、ツイッターを活用し、現地語の音声とビデオを使って、衛生習慣を変えることを呼びかける取り組みを強化しました。また、首都の国際空港から委託を受け、旅客用に非接触式の手洗い設備を設置しました。

リベリア・モンロビアの国際空港に設置された手洗い施設=6月
リベリア・モンロビアの国際空港に設置された手洗い施設=6月
Image: (no credit)


HBCCにより、石けんをはじめとした40,000点の衛生製品が届きました。これらは今後、保健医療施設や学校、市場、バス停、ホームレスの避難所、一部の国境の施設に配布する予定です。また、試作・テストが終了した足踏み型の非接触式手洗い設備の納入も開始しました。


500人の女性を対象に石けんをつくるトレーニングを行いました。 ・南アフリカ ウォーターエイドと国連人口基金(UNFPA)の提唱により、政府は貧しいコミュニティの弱い立場にある女性や女の子に衛生用品を無料で提供することを決め、発表しました。


水・衛生の改善強化に関して政府に働きかけを行い、具体的な成果につながりました。

 


物流ルート沿いや国境付近で、手洗い設備を設置し、正しい衛生習慣を呼びかけることについて、東アフリカ共同体と合意し、両者が覚書に署名しました。


学校の再開前に、手洗いと正しい衛生習慣を広めるためのガイドラインを実施するため、政府と協力しました。

 


「バック・トゥ・スクール・キャンペーン」(学校に戻ろうキャンペーン)として、学校に手洗い場を設置しました。この取り組みは、教員たちと協力して行いました。ミャンマーではまた、ポリタンクなどに蛇口を取り付けて作る簡易手洗い装置「ティッピータップ」の普及を図るため、マグウェ地域ミャイン地区で、ティッピータップ設置コンテントを実施し、最も多くのティッピータップを設置した3つの村を表彰しました。

ミャンマーのマグウェ地域ミャイン地区で開催したティッピータップ設置コンテスト
ミャンマーのマグウェ地域ミャイン地区で開催したティッピータップ設置コンテスト
Image: (no credit)


首都ダッカの25の公衆トイレで、「公衆トイレキャンペーン」を展開。その一環として、歩行者と通勤者、合わせて5万人に、手洗いと正しい衛生習慣を呼びかけ、石けん入りの小袋を配布しました。


ザンビアと同様、HBCCのプロジェクトで、試作・テストが終了した足踏み型の非接触式手洗い設備の納入が開始されました。

 


支援事業に関連するすべての建設現場に手洗い設備と個人防護具を提供しました。