【活動レポート・ブログ】マラウイ:保健医療施設における水・衛生の強化

Image: WaterAid/ Dennis Lupenga

ウォーターエイドは、ドイツ国際協力公社(GIZ)の支援を受け、2021年10月から2年間、マラウイの保健医療施設15か所で、水・衛生インフラの改善と感染症の予防・管理に取り組むプロジェクトを実施。それによって33万人を超える人々が、保健医療施設で水とトイレを利用できるようになりました。 

マラウイでは、保健医療施設の24%で清潔な水を利用することができず、22%に利用可能なトイレがありません。33%では、治療する場所に手洗い設備がなく、58%で廃棄物の分別・安全な処理が行われていません。保健医療施設に清潔な水とトイレがなく、施設が清潔に維持管理されていなければ、患者は診察・治療中に本来予防可能な感染症にかかる可能性があります。不衛生な環境での出産に伴う感染症によって、多くの女性と新生児が命を落とす危険もあります。医療従事者は安心して働くこともできず、また、昨今懸念されている「薬剤耐性(AMR)」拡大の要因ともなります。

2015年に世界保健機関(WHO)とユニセフが、世界の保健医療施設における水・衛生の状況に関するレポートを出して以降、ウォーターエイドは、現地政府、市民社会、民間企業などと連携しながら、マラウイにおける保健医療施設の水・衛生改善に注力。「The 150 Healthcare facilities challenge(150の保健医療施設チャレンジ)」として、保健医療施設75か所の水・衛生をウォーターエイドが改善すること、残りの75か所については、政府や他アクターへの働きかけを通じて間接的に改善に貢献することをコミットしました。

この保健医療施設75か所の水・衛生をウォーターエイドが直接的に改善する、という取り組みの一環として、本プロジェクトは、GIZが優先的に活動する県に定めるデザ、リロングウェ、ムチンジ、ンチェウの4県にある保健医療施設15か所(ビリラ、チレカ、チモト、チオシャ、チプミ、チウンジザ、デザ県保健局、ドヴィコ、カイグワザンガ、レムウェ、マササ、ムガンジャ、ミコンド、ンゴニ、ンチェウ県保健局)において、下記2点を目標とする水・衛生プロジェクトを実施しました。

  1. 15の保健医療施設において、持続可能な水・衛生サービスを改善する
  2.  医療従事者および患者の衛生習慣を改善し感染症の予防・管理を推進する

この2つの目標を達成するため、ウォーターエイドは、各保健医療施設において、給水システムとトイレ、手洗い設備等を新設または改修しました。また、様々な専門分野の職員100名を対象とした感染症の予防と管理に関する研修や保健医療施設の管理者を対象とした、水・衛生改善計画の策定に関する研修を実施したほか、分別ゴミ箱の設置、廃棄物管理施設の建設、および安全な利用方法に関する研修を通じて、安全な廃棄物管理を推進しました。

2年間の活動によって、保健医療施設15か所で、給水設備とトイレ、手洗い設備、廃棄物管理システムが新設または改修され、住民336,606人が、保健医療施設で清潔な水とトイレを利用できるようになりました。また、研修によって、正しい衛生行動を実践できる医療従事者の割合が、プロジェクト前の47%から73%に増加したほか、手袋やマスクの使用などを通じた感染症の予防・管理の実施率が目標の75%を超え86%に到達しました。さらに、プロジェクトの対象となった保健医療施設の80%が、廃棄物を分別し、鋭利な物や感染性廃棄物(感染性病原体を含むおそれのある廃棄物)を安全に処理・廃棄しています。衛生習慣の普及は、周辺コミュニティにも広げ、ポスターや配布物を通じて、547,272人に衛生習慣に関するメッセージを届けました。 

保健医療施設のスタッフ、保健医療施設を利用する住民たちから喜びの声が寄せられました。

Gophius Chabwera, 26, Deputy Incharge, washing his hands at a newly rehabilitated sink, Kaigwazanga Health Centre, Mchinji, March 2023.
Image: WaterAid/ Dennis Lupenga

カイグワザンガヘルスセンターで、改修したばかりの手洗い設備で手を洗う副所長のゴフィウスさん(26歳)。「施設内に水が出る給水栓が3つあることを嬉しく思います。一例としてマラリアに感染して緊急的な対応を必要としている患者さんを助けるのに大いに役立つでしょう。病院ですぐに薬を飲むことが可能になったので、患者さんたちの命を救えるようになりました」と話します。

Mr Mando, 38, and his daughter, 5, taking medication using the clean drinking water from the tap, Kaigwazanga Health Centre, Mchinji, March 2023.
Image: WaterAid/ Dennis Lupenga

38歳の女性マンドさんは、カイグワザンガヘルスセンターの外にある給水設備から清潔な水を飲めるようになったことを次のように話します。「娘が病院ですぐに薬を飲めるようになったので嬉しいです。早く元気になることを願っています」 

Christina John, washing her hands after using the toilet, Kaigwazanga Health Centre, Mchinji, March 2023.
Image: WaterAid/ Dennis Lupenga

カイグワザンガヘルスセンターの患者であるクリスティーナさんは、「ヘルスセンターの近くに給水設備があるので嬉しいです。洗濯や入浴に使う水をすぐに得られるようになりました。ガーディアン・シェルター(入院患者の家族や出産前の女性が滞在・宿泊するために保健医療施設に併設された施設)にも浴室とトイレができてほしいです」と話しました。 

ウォーターエイドは現在、冬募金の呼びかけを行っております。ウォーターエイドの活動を通じ、より多くの人々が清潔な水を使うことができるようご支援をお願いします。

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