【活動レポート・ブログ】ルワンダ:日本NGO連携無償資金協力の水・衛生プロジェクトで建設した給水システム・トイレの 引き渡し式を東部県ブゲセラ郡で開催

ribbon cutting
Image: WaterAid Japan

2025年1月31日、外務省 日本NGO連携無償資金協力 を受けてルワンダの東部県ブゲセラ郡ニャルゲンゲ・セクターで実施した水・衛生プロジェクトの引き渡し式が開催されました。ウォーターエイドジャパンからは、杉山と木藤の2名が渡航して、引き渡し式に参加。杉山が体験した引き渡し式の様子をご紹介します。

同プロジェクトは、2024年3月にスタートし、①給水システムの設置(既存のシステムの拡張)、②学校や保健医療施設でのトイレや手洗い設備の設置を通した衛生環境の改善、③衛生環境向上のための啓発活動を主な取り組みとしています。

inauguration leaflet
WaterAid Japan
Image: 当日配布された引き渡し式のしおり

プロジェクト実施地である東部県ブゲセラ郡ニャルゲンゲ・セクター(セクター:郡の下の行政区画)は、首都のキガリから車で約2時間ほどのところにあります。引き渡し式の日は、キガリを出発し、ブゲセラ郡の郡庁に立ち寄り、引き渡し式に参加する参列者と共に郡長を訪問して、意見を交わしました。日本からの支援に対する謝意が述べられたほか、水・衛生設備の維持管理に関する課題についても意識を共有しました。

at bugesera district office
中央、グレーのシャツを着ているのが郡長。奥の列中央はウォーターエイド・ルワンダの現地代表ヴェスティン・ムケシマナ。
Image: WaterAid Japan

郡庁を訪問した後、いよいよニャルゲンゲ・セクターの村に向けて出発。ここからの道のりは、舗装されていない道を走るため、車内で身体を上下に揺られながら向かいました。この時期、ルワンダは、「スモールレイニーシーズン」と呼ばれる、小雨期で、雨期ほどではないものの、一時的にざあーっと雨が降ることがあるため、途中はかなりぬかるんでいる場所もありました。

road to the community
コミュニティへ向かう道はあちこちに水たまりが
Image: WaterAid Japan

まず初めに視察したのは、ルガンド高校に新しく設置したトイレ棟です。男女別のトイレに加えて、車いすの生徒も利用できるバリアフリーのトイレが備わっています。この学校では、4名の生徒が車いすを利用しているそうです。

続いて、コミュニティに設置された給水設備を訪れ、テープカットのセレモニーがありました。住民女性を囲んで、在ルワンダ日本大使館からは参事官 、ウォーターエイド・ルワンダからは現地代表のヴェスティン・ムケシマナ、そしてウォーターエイドジャパンからはプログラム・コーディネーターの木藤と、プロジェクトに関わった組織の代表者がテープカットに参加しました。ルワンダ国旗の色で揃えられた美しいリボンがカットされると、大きな歓声と拍手が上がりました。

tape cutting at the community
テープカットの瞬間
Image: WaterAid Japan

今後、この給水システムの維持管理にあたっては、特別な配慮が必要とコミュニティが話し合って決めた脆弱な家庭を除いて    、各家庭が20リットル当たり20ルワンダフラン (日本円で約2円)の水使用料金を払うことになっています。日本円にするとわずかな金額ではありますが、こうしたしくみの定着が持続可能な水供給を可能にするためには欠かせません。

water point at the community
Image: WaterAid Japan
water point wit
Image: WaterAid Japan

次にコミュニティの水需要を支える大型貯水槽を視察しました。昨年、ウォーターエイドジャパンの木藤が現地視察に訪れた際には、なにもない更地だった場所に100立方メートルの立派な貯水槽が完成していました。このプロジェクトでは、この貯水槽に加えて、25立方メートルの貯水槽の建設、そして既存の給水システムから給水網がない地域へ給水網を28km拡張、新たな水くみ場の設置(27か所)、既存の水くみ場の修復(10か所)を行うことで、11,400人が清潔な水を使えるようになりました。

in front of the reservoir
Image: WaterAid Japan

視察の最後に、保健医療施設(ヘルスポスト)を訪れました。ここでは、新しく設置された手洗い設備を見学。施設の職員が、正しい手洗いのデモンストレーションを披露してくれました。今回のプロジェクトでは、郡との協議のうえ、2か所の保健医療施設にて、トイレと手洗い場の設置を行いました。

handwashing station at the health post
Image: WaterAid Japan

視察が終わり、引き渡し式の会場に到着すると、すでに音楽が流れていてお祭りのような雰囲気が広がっていました。会場には大勢の住民が集まっており、着いて早々に歌とダンスでお祝いです。

music and dancing
Image: WaterAid

住民女性、ウォーターエイド・ルワンダの現地代表、在ルワンダ日本大使館の参事官、ブゲセラ郡の郡長等、プロジェクトに携わる組織を代表して、各々がスピーチを行い、合間には歌とダンスのパフォーマンスで、給水システム、学校とヘルスポストのトイレと手洗い場の完成の喜びを分かち合いました。

ceremony guests
Image: WaterAid Japan

コミュニティを代表してスピーチを行ったフローラさんは、「私たちは本当に感謝しています。以前は汚れた水をくんでいましたが、今はきれいな水があり、適切な衛生状態を保つことができるようになりました」と水くみから解放された喜びを語りました。

ceremony speech
Image: WaterAid Japan

ウォーターエイド・ルワンダの現地代表ヴェスティンは、プロジェクトの概要を紹介するとともに、次のようにコミュニティの人々に励ましの言葉を送りました。

「誰もが清潔な水やトイレを手に入れる権利があります。ニャルゲンゲ・セクターは、特に清潔な水が不足している地域のひとつでした。ウォーターエイドだけでは国全体をカバーすることはできませんが、水・衛生をすべての人が使えるようになることを目指す持続可能な開発目標のゴール6の達成に向け、ブゲセラ郡を重点地域として活動に取り組んでいます。コミュニティの皆さんは、設備を効率的に使用し、その重要性を理解して、維持・管理に責任を持つようお願いします」

inauguration ceremony
Image: WaterAid Japan

ブゲセラ郡の郡長のスピーチでも、同様にコミュニティの人々対する維持管理への期待に触れる場面がありました。水・衛生の設備が完成しただけでは終わりではなく、それをどのように長期にわたって維持管理していくかが重要であり、またそこに大きな課題があることも感じられる一幕でした。

people dancing and cereblating
Image: WaterAid Japan

引き渡し式には、設備の建設に関わったアヤテケ・スターカンパニーとウォーターエイド・ルワンダのアンバサダーを務めるルワンダ人歌手のエリック・センデリさんも参加しており、歌のパフォーマンスを披露。参加者みんなで大合唱をする場面もありました。式のあと、エリックさんと言葉を交わした際にも、こうした取り組みに関わっていることへの誇りを感じました。

with eric senderi
歌手のエリック・センデリさん(中央)と記念撮影
Image: WaterAid Japan

エリックさんだけでなく、プロジェクトに関わるすべての人が、水・衛生改善に対して、真剣に、またプライドをもって、取り組んでいることを現地を訪れることで、よりダイレクトに感じる現地視察となりました。

ウォーターエイドジャパン マスエンゲージメント・マネージャー 杉山真里菜