【プレスリリース】アフリカ南部 サイクロンシーズンが終わりを迎えるも、水・衛生設備の破壊により数千人に影響
4月11日から数日にわたり南アフリカ共和国のクワズールー・ナタール州を襲った豪雨により、440余名が犠牲となり、洪水によって家屋や電力施設、給水施設は破壊され、同国政府は大規模災害宣言を発令しました。サイクロンシーズン終盤に、南アフリカ共和国を襲った今回の異常気象。ウォーターエイドが水・衛生支援活動するマダガスカル、モザンビーク、マラウイなどの南部アフリカの国々では、今季これまでに発生した熱帯低気圧による甚大な被害によって、すでに数千人が家を失い、清潔な水と衛生設備へのアクセスに長期的な影響を受けています。
こうした異常気象は、例年この地域で見られるものですが、気候変動によってますます予測が難しくなり、異常気象による災害に対して脆弱な地域に猛烈な降雨を引き起こしています。
なかでも、1月下旬にマダガスカルの首都アンタナナリボを通過し、モザンビークやマラウイを襲った熱帯低気圧「アナ」、そしてその2週間後に、長引く干ばつと飢饉により苦しむマダガスカル南部を襲った熱帯低気圧「バチライ」は大きな被害を残しました。
国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、1月以降のサイクロンシーズン中、マダガスカルは5回にわたって、異常気象による災害に見舞われ、およそ205人が命を落としました。また、熱帯低気圧「バチライ」の後、同国ヴァトヴァヴィー県、フィトヴィナニ県、および南東地域で約133,500人が水・衛生を必要としていることが、2月に実施された同地域で活動する政府とNGOによる被害分析で判明しました。
ウォーターエイドは、この間、水・衛生用品の提供を通じて、被災者の間で病気の蔓延を防ぐための対応を実施してきました。マラウイでは一時、17,000世帯近くの人々が避難し、83のキャンプサイトに身を寄せていましたが、そのうち28のキャンプサイトは2か月経った現在も稼働しており、多くの人にとってそこが半永久的な住まいとなる可能性があります。
ウォーターエイドは、避難キャンプの1つ、マラウイの最南端にあるンサンジェ県のニャムツツで、水をくむためのバケツや殺菌用の塩素、衛生用品の配布を行っています。ウォーターエイド・マラウイの水・衛生プログラム・オフィサーであるチコンディ・チュミアは、次のように述べています。
「状況は依然として劣悪です。あたりを見回して、この壊滅的な影響を目にしただけでも、人々が家、財産、収入源を失ったことがわかるでしょう。衛生設備を失い、複数箇所の水くみ場は汚染されています。安全な給水・衛生設備を設置し、人々が安心して家に戻れるようにするためには、多くの支援が必要です。」
モザンビークでは、国家災害対策院が以下のように熱帯低気圧アナの被害状況を確認しています。
- 家屋倒壊:11,757棟
- ヘルスセンターの被害:26か所
- 給水システムの損壊:25か所
- 電柱の損壊:138本
- 修復が必要な道路:2,275km
モザンビーク中央部のザンベジア州では、ウォーターエイドが水・衛生インフラへの長期的な被害を分析しています。熱帯低気圧「アナ」が過ぎ去ってから数週間後も、海岸沿いに位置するマガンジャ・ダ・コスタ郡では一部の地域が水没しているのを確認しました。政府によると、熱帯低気圧「アナ」の被害を最も受けた同国に住む4万人のうち、3分の2近くがこの地区に住んでおり、トイレ2511基、掘削井戸20基が破壊されたとみられています。
モザンビークのマラタ・コミュニティースクールでは、エイジアさん(11歳)とリタさん(12歳)が、洪水で使えなくなったトイレの修理を手伝っています。学校長のフェリックス・カニッサさんは、次のように述べています。「先日の豪雨で、すべてが台無しになりました。水道の蛇口もタンクも、そしてトイレも、今は何もかも使えません。生徒たちが困らないように、昔ながらのトイレを作らざるを得ません」
熱帯低気圧「アナ」は、保健医療施設にも深刻な影響を与えました。モザンビーク中部にあるムジェバヘルスセンターでは、2つの水源が浸水して壊れ、また、トイレも使用できなくなったため、職員は清潔な水と衛生設備がない状態で、400人の患者に医療を提供しなければならなくなりました。
臨床部長であり、総合診療技師であるフィロメナ・ジョアンさんは、次のように述べています。「私たちは大変な状況に置かれています。唯一の給水塔も、水道も壊れてしまいました。水が使えないのでトイレも使えません。ここは、ムジェバ行政区で唯一のヘルスセンターなので、替えがききません。私たちは助けを求めています」
66歳のズィーナ・アルベルトさんは、被害を受けたジェンティヴォの自宅を後にし、再定住センターで3人の孫の面倒をみています。「私は自宅とそこにあったすべてのものを失いました。何もかもが一瞬で失われ、なにかを持ち出そうにもすでに手遅れでした。私たちはこのセンターに移ってきましたが、ご覧の通り、このテント以外何もありません」
再定住センターには、現在も100世帯以上の人々が仮設住宅で生活していますが、トイレはありません。センターの責任者であるフランシスコ・サンガロテ・アルカンドラさんは、この地域の復興に向けた外部からの支援を待つ間、住民とその子供たちに重要な生活の術を教えています。「ここには学校に通っている子供たちがいます。幼いうちから、水・衛生の管理について教えなければなりません。また、なぜこのようなことが起きて、今ここにいるのかを理解し、大人になったときに自分の身を守れるようにしなければなりません」と述べました。
ウォーターエイドは、マラウイやモザンビークで被災したコミュニティを支援するため、緊急支援を開始しました。安全な飲料水、衛生設備、衛生用品を提供し、被害を受けたコミュニティに手洗い等の衛生習慣の実践を呼びかけ、仮設住宅での生活環境が改善され、病気の発生を防ぐことを目指します。