【プレスリリース】アフリカの多くの国に、干ばつが発生しても5年間、人々が十分な量の飲み水を確保できる量の地下水があることが明らかに

Posted by
WaterAid Japan
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21 March 2022
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WaterAid/ Etinosa Yvonne

ウォーターエイドと英国地質調査所(BGS)の調査により、アフリカのほとんどの国には、干ばつが発生しても最低5年間、場合によっては50年以上、人々が十分な飲み水を確保できる量の地下水があることが明らかになりました。

しかし実際は、くみ上げた地下水を最も必要とする人々に届けるための取り組みに向けた資金拠出が著しく少ないこと、そして地下水源の調査や管理が不十分なことによって、何百万人もの人々が、気候危機の影響に直面するだけでなく、日々の生活に必要な安全で清潔な水を十分に確保できていないと、ウォーターエイドとBGSは警鐘を鳴らしています。

西アフリカのセネガルで開催中の世界水フォーラムに各国首脳が集まるなか、ウォーターエイドとBGSは報告書「地下水:隠れた水が気候変動から世界を守る」を発表しました。

両団体は、世界の多くの場所に存在している地下水には、多くの人々の命を救い、また、気候変動の影響を緩和する可能性が秘められていると述べています。

報告書によれば、地下水を活用することで、コミュニティは干ばつや長引く乾期のような気候変動の影響からくる水不足に対処できるうえ、洪水などの災害時でも、学校や病院を含むすべての場所で、すべての人が安全な水を利用することが可能になり、災害後の回復力も高めることができます。

ウォーターエイド・イギリスのCEOであるティム・ウェインライトは、次のように述べています。

「今回の調査結果は、アフリカは水不足であるという説を覆すものです。しかし、残念なことに、アフリカでは何百万人もの人々が、いまだに十分な量の清潔な飲み水を得ることができません。
地下には大量の水があり、そのほとんどは毎年降雨や地表水によって補充されているものの、慢性的な資金不足のため、人々はその水を利用することができません。地下水を利用することで、気候変動危機に直面しても、何百万人もの人々が安全で清潔な水を手に入れることができるのです。」

ウォーターエイドとBGSは、アフリカ全域の飲料水へのアクセスと、国レベルで利用可能な地下水量をもとにした干ばつへの対応力を示したマップを作成しました。これにより以下のことが明らかになっています。

  • ほとんどのアフリカ諸国には、飲み水として利用できる地下水の貯留量が5年分以上ある。50年以上の間飲み水として利用できる地下水の貯留量があるケースもある。
  • 人口の半分が自宅の近くで清潔な水を利用できないエチオピアやマダガスカル、そしてマリの大部分、ニジェール、ナイジェリアでも同様のことが見られる。
  • サハラ以南のアフリカ諸国はすべて、地下水を利用して1日1人あたり130リットルの飲み水を供給することができ、それでも利用量は長期的に涵養される平均水量の25%未満、ほとんどの場合は10%未満となる。つまり、地下水は、万一雨が十分降らない場合でも、今後何年にもわたって気候変動に対する緩衝材となる可能性がある。

BGSの地下水レジリエンス調査長のアラン・マクドナルド教授は、次のように述べています。

「地下水は自然界の貯水槽であり、世界が気候変動に適応するための重要な資源です。地下水は広く利用可能で、地質の自然変異により保たれていますが、地上からは見えません。
地下水のさらなる可能性を生かすためには、地下水のマッピングや持続可能な井戸の掘削、水資源と水供給サービスの維持・管理方法を見つけるために必要な専門知識に対して適切に資金拠出することが重要です。」

ナイジェリアのアダマワに暮らすカリマツさん(17歳)は、毎朝6時に起き、登校前に少なくとも3回は近くの小川に水をくみに行きます。カリマツさんは医者になりたいと思っていますが、早朝からの水くみは学業に影響を及ぼします。「安定した水の供給が得られれば、私は幸せになれます」と語っています。

報告書では、サハラ以南のアフリカでは地下水の利用がほとんど行われていないのに対し、その他の地域(主に南アジア)では地下水の過剰利用が横行していると指摘します。地下水に関する規制や専門知識、十分な資金拠出がなければ、重なれば、不適切な管理、汚染、公害をも引き起こし、壊滅的な結果をもたらす可能性があります。

  • 地域によっては、農業が地下水使用量の90パーセントを占めているところもある。今は作物がよく育っていたとしても、地下水が枯渇すれば後々作物に影響が出る上、人々は生き延びるために安全でない水を飲まなければならなくなる。例えば、パキスタンでは、くみ上げられた地下水の94%が灌漑用水に使われている。
  • 地下水がヒ素やフッ化物で自然に汚染されている地域もあり、病気や死に至ることもある。例えば、インドでは、ヒ素汚染は北部のウッタル・プラデシュ州とビハール州、東部の西ベンガル州に影響を及ぼしている。オディシャ州のいくつかの県ではフッ化物や鉄、塩分濃度が高く、インド中部と南東部の一部では高いレベルの硝酸塩と鉄分の汚染が確認されている。
  • 南アジアとアフリカは、集約農業による肥料や農薬、規制が不十分な工業からの有害化学物質、管理が不十分な衛生設備からの下水などによって地下水汚染が起きやすい状況にある。例えば、エチオピア、ウガンダ、マラウイで最近行われた掘削井戸の調査では、農村部の手押しポンプ式井戸の20%で水の中に大腸菌が見つかった。これは、掘削井戸の周囲がしっかりと密閉されていないために、近くのトイレから出た汚水がポンプの取水口に流れ込んだものと考えられる。

今回の報告書は、水・衛生のアクセスから疎外されているコミュニティのために、国の年間予算から一定割合を拠出し、また、国内外のドナーや民間セクターからの資金を増強して、水・衛生ファイナンスを拡大することを提言しています。

また、気候変動への適応において地下水が果たすべき役割を認識し、地下水が十分にある地域では、人々が持続可能で安全な水を利用できるように、持続可能なインフラと事業の運用に資金拠出すること、また、地下水の過剰使用を避けるために、地下水に関する規制強化や供給量のモニタリングをが重要であることも、合わせて呼びかけています。

気候危機の最前線で暮らすコミュニティを守るために、命を救う持続可能で安全な水・衛生を確保するには、責任ある地下水利用・開発と、それに必要な知識、専門性、資金、制度への資金拠出が重要であるということを、エジプトで開催される国連気候変動枠組み条約第27回締約国会議(COP27)にて合意することの重要性も強調しています。


英国地質調査所(BGS)は、地質調査と地球科学において世界をするリードする団体であり、主に政府のための公共に資する科学および地球と環境のプロセスを理解するための研究に取り組んでいます。BGSが描くビジョンは、健全な地球科学ソリューションをベースとした、より安全かつ持続可能で豊かな地球と未来です。