【プレスリリース】マダガスカル南部が直面する気候変動の影響 -水も食料もない現実

Posted by
WaterAid Japan
on
8 November 2021
Florine, 55, looking out across her dried out sweet potato field, to the Mandrare river and the ocean and white sandy beach in the distance, Betsimeda village, Berano ville commune, Ambovombe District, Androy Region,  Madagascar, September 2021.
Image: WaterAid/ Ernest Randriarimalala

マダガスカルは、アフリカの南東海岸沖に位置する島国です。この国の南部は今、ここ40年間で最悪の干ばつに見舞われています。深刻な水不足、そして食料不足に直面するなか、人々は、サボテンや家畜の飼料を食べて命をつないでいます。現在、英国のグラスゴーで国連気候変動枠組条約第26回締約国会議(COP26)が開催されているなか、ウォーターエイドは、この状況がまさに、気候危機の深刻さと緊急性を示していると指摘しています。

マダガスカル南部アンドロイ県ベラノ・コミューンに住む55歳のフロリン・アゼフォツィさんは、干ばつ以前から、1日4〜7時間かけて水くみをしていました。しかし、干ばつによって家の近くにあるマンドラーレ川が干上がり、また、近年、彼女の足が弱ってきていることもあって、水くみに行くことができなくなりました。水を購入する必要があるものの、その価格はすでに通常の15倍にもなっています(1)。この地域の名前「ベラノ」は、マダガスカルの言葉で「豊かな水」を意味しますが、現在この地域は「飢饉」を意味する「ケレ」と呼ばれています。

「かつてこの地域は自給自足で生活できる素晴らしい農村でした。しかし、雨が降らなくなってから状況は一変しました。生活は年々厳しくなり、去年は食料不足に見舞われました。」

フロリンさんは、かつてサツマイモ畑を育てていた、今では荒れ地となってしまった土地を見ながら話しました。

「干ばつの最初の頃は、この状況はそのうち解決するだろうと考え、お互いに食べ物を譲り合っていました。しかし、その後、村には食べるものも、譲り合うものもなくなってしまいました。私たちはもう何日も、サボテンでも何でも見つけたものを食べるという日々を過ごしています。」

「今では、村で遊んでいる子供も見かけません。村はまるでゴーストタウンのようです。学校も閉鎖されました。私たちは、残ったわずかな体力を温存しようと、家の中の日陰で寝ていました。何日も食事をとらずに寝ていたのです。村の高齢者たちは亡くなっていきました。高齢者たちは、長期間、飲まず食わずでいることに耐えられませんでした。私は恐怖を感じ、ここでの生活は終わったと思いました。」

マダガスカル南部では、2年間にわたって雨が降らず、1981年以来最悪の干ばつに見舞われています。直近の雨期の降雨量は、平年の50%以下しかなく、5月の収穫シーズンで得られるはずの食料の60%が失われました(2)。

マダガスカル南部では、70%の人々が基本的な飲料水を得ることができず、50%が水・衛生支援を今すぐ必要としています。これに対して国連は、130万人に食料支援を、そして80万人に清潔な水を確保することを目指しています(2)。国連は、マダガスカルが世界で初めての気候変動による飢饉に直面する可能性があると指摘しています。

マダガスカル南部アノシ県の村に住むフィロメーヌ・サナさん(32歳)は、家畜用の乾燥キャッサバを食べて生き延びています。米1キロの価格はこの20年間で350倍以上に高騰しており、多くの人々は買うことができません。

「雨が降らなければ、日々の生活が生き残りをかけた戦いになってしまいます。この7年間、状況はますます悪化しています。村で生き延びるためにできることはもう何もありません。土地は完全に干上がっています。もう何も育ちません。私たちは空腹のまま寝るだけです」。

ウォーターエイド・マダガスカルのプログラム・ガバナンス・ポリシー責任者であるハンタ・ラブサンドラタナは、次のように話します。

「マダガスカル南部が干ばつに見舞われ、深刻な食糧難に陥っているのは、気候変動が大きな要因であることは明らかです。これは、気候危機が本質的に水の危機であることを明示していると言えます。私は、COP26サミットに参加し、世界のリーダーたちに対して、1,000億ドルの気候基金へのコミットメントを早急に果たすよう、仲間たちと一緒に求めるつもりです。そのうち半分は、マダガスカルのような国々が、現在そして将来の気候変動の影響に対するレジリエンスを高めるためにも、適応策向けに拠出されることが重要です。また、適応策向けの資金は、これらの国がさらに貧困に陥ることのないよう、融資(ローン)ではなく供与の形で提供されることを求めます。」と述べています。

ウォーターエイドは、マダガスカルにおいて、国の水・衛生関連政策や戦略、計画の策定を支援することで、この国の政府が中心となって、水・衛生を強化していくよう後押ししています。ウォーターエイドは、こうした水・衛生関連の政策や戦略、計画に気候変動対応が組み込まれるよう促していますが、これらを実施していくためにも、気候変動対応向けの資金が必要です。

<出典>

1.    15 fold increase from OCHA_HumanitarianSnapshot_July2021.pdf
2.    MDG_20210819_GrandSud_FlashAppealRevision_June2021.pdf