【プレスリリース】干ばつに苦しむマダガスカル南部、往復4時間、1日2回の水くみで得られるのは不衛生な水のみ

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WaterAid Japan
on
2 November 2022
In
マダガスカル, 水/Water
The sun begins to rise as a group of people from Manintsevo village, (L-R) Damy, 44, Lohantany, 60, Mahazosoa, 21, Tohanay, 18 and Volasoavinonje, 23, begin their long walk to collect water from the Mandrare river, Manintsevo village, Berano ville commune, Amboasary District, Anosy Region, Madagascar, June 2022.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

写真はこちらアフリカの南東海岸沖に位置する島国マダガスカルの南部では、ここ40年間で最悪の干ばつが続いています。この地域の住民は、水を得るために、1回往復4時間の水くみに1日2回、行かなければなりません。しかし、4時間歩いて得られるのは、干上がった川に残った、動物が飲んだり、人々が体や衣服を洗ったりすることで汚染された水のみです。 

People from Manintsevo and the surrounding villages washing clothes in the Mandrare river in Amboasary, Antsimo District, Anosy Region, Madagascar, June 2022.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

マダガスカルは、気候変動に対する脆弱性が高い国のひとつであり、2019年の「世界気候リスク指数(1)」では、自然災害によって受けた影響が大きい上位30か国に入っています。また、マダガスカルの人口の75%以上が極度の貧困状態にある最貧国の一つであり(2)、気候変動に対するレジリエンスを高めることが困難な状況にあります(3)。 

ウォーターエイドは、2022年11月6日からエジプトで開催される国連気候変動枠組条約第27回締約国会議(COP27)において、世界のリーダーたちは、気候変動に対してぜい弱なコミュニティのレジリエンスを高めるために水・衛生は不可欠であり、水・衛生に向けた大規模かつ迅速な資金拠出を行う必要があると呼びかけています。 

マダガスカル南部に位置するアノシ県マニンツェボも、住民が1回往復4時間、1日2回水くみに行かなければならない地域のひとつです。しかし高齢者や子供にとって、往復4時間の水くみは重労働です。わらでできた小さい家に住む60歳のロハンタニーさんは、毎日水くみに行かなければならない現状を次のように話します。 

Lohantany, 60, pausing for a few minutes before carrying on her long walk back to her village, Amboasary Antsimo District, Anosy Region, Madagascar, June 2022.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

「家にいたいのですが、毎日、水くみに行くしかありません。4時間、時には5時間かかることもあります。背中や首、足が痛くなり、水を運ぶポリタンクも重いため、1日1回しか水くみができません。」 

ロハンタニーさんの友人フロリン・アゼフォツィさんは、5歳年下の55歳ですが、自分で水くみに行くことができなくなりました。唯一の収入源である小さなコーヒーの屋台を続けるために、他の人から水を買わなければなりません。 

「問題はお金がかかることですがが、水源が遠いので、水を買わなければなりません。2時間も歩けば疲れてしまいます。以前は早朝6時頃に水源へ行き、10時頃に帰ってきていました。でも、もう体力がないのです。」 

A group of people from Manintsevo village, including Mahazosoa, 21, Volasoavinonje, 23, Lohantany, 60, Tohanay, 18 and Damy, 44, walking down a hill during their long trek to collect water at the Mandrare river, Manintsevo village, Berano ville commun ...
水くみに行くロハンタニーさん、フロリンさんたち
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

2022年2月、大洪水で18万7000人が被災したサイクロン「バツィライ」がこの地を襲いました。しかし、このサイクロンを除くと、少なくとも3年間、この地域には、ほとんど雨が降っていません。そのため、ロハンタニーさんとフロリンさんとその近隣の人々は、支援物資と、通常は牛の飼料として利用される赤いサボテンの実を食べて、生き延びることを余儀なくされています。 

フロリンさんは、絶望的な食料不足について次のように語っています。「私たちの村にも犠牲者が出ました。残念ながらこの村で亡くなった人がいるのです。幸いなことに、援助がすぐに来たのですが、そうでなければ、この村には誰も残っておらず、全員が亡くなっていたでしょう。」 

アンダババザ村に住むミザ・マナイソアさん(29歳)は、1人で5人の子供たちを育てています。このような危機的状況のなか、家族を養うために、生活に必要な物を売らなければなりませんでした。 

「食べ物がなくて、調理用鍋を1つ売り、そのお金で子供たちの食料を買いました。魔法瓶も売りました。お金がなくなると、家にいるしかなく、食料にするためのサボテンの実を探しに行きます。2~3日、何も食べないこともあります。」 

国連の最新の発表によると、マダガスカルでは125万人以上が深刻な食料不足の状態にあります。南部の県は国内で最も水の供給率が低く、干ばつに対してぜい弱です。干ばつ、そして飢餓の原因は複数ありますが、気候変動が主要な要因の一つであることは間違いありません。 

Manaisoa's sweet potato plants in the middle of a cracked field, Andavabaza village, Amboasary District, Anosy Region, Madagascar, June 2022.
WaterAid/ Ernest Randriarimalala

さらに、国連人道問題調整事務所(OCHA)の発表では、アノシ県の人口の70%が基本的な飲料水を利用できず、人口の50%が水・衛生に対する緊急支援を必要としています。このような状況を受けて、現在、ウォーターエイドは、ユニセフと連携し、南部の干ばつ被災地を含む、ぜい弱な県にある2つの都市部自治体の住民を対象に、衛生・保健サービスを改善する120万米ドル(約1億8千万円)のプログラムを実施中です。 

「村には、清潔な水が必要なのです」-住民と一緒に水くみにも行った、ウォーターエイド・マダガスカルのアーネスト・ランドリアリマララは話します。「1日4時間~8時間を水くみに費やして、どうやって生き延び、生活を向上させることができるのでしょうか。」 

「南部は昔から乾燥した気候でした。」と、マダガスカル天然資源保護・持続可能な開発プログラムの気候変動アドバイザー、ランドリアナリヴェロ・ロラン・マミニャイナさんは話します。 

「しかし、気候変動によって、干ばつは悪化し、降雨量も減少し、気温は上昇します。マダガスカルでは、自然災害の影響が深刻化するでしょう。しかし、マダガスカルは水が足りないのではありません。むしろ天然資源を適切に管理できていないということを、この現実は示しています。」 

 

<出典> 

  1. Global Climate Risk Index | Germanwatch e.V. 
  2. Climate landscape analysis for children in Madagascar | UNICEF 
  3. Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability | Climate Change 2022: Impacts, Adaptation and Vulnerability (ipcc.ch)