【プレスリリース】干ばつが続くアフリカ南部:コミュニティが団結して水不足に立ち向かう
アフリカ南部で続いている深刻な干ばつによって、ザンビアやマラウイなど少なくとも5か国が、緊急事態への対応に追われているなか、各国は、この状況を変える可能性がある年末の雨期の到来に望みをつないでいます。
ザンベジ川流域管理局の報告によれば、この川の中流にあるカリバダムの水位は貯水量の7%以下にまで低下しており、ザンビアの首都ルサカでは1日最大20時間の停電が発生しています。また、地域の主要作物であるトウモロコシの収穫量は、今年は平年比で約54%近く下回ると予測されています。
これを受け、ウォーターエイドのアフリカ南部地域ディレクターであるロバート・カンパラは次のように述べました。
「アフリカ南部で干ばつが続いており、何百万もの命が危機にさらされています。ここでは、水が生き残るための鍵となります。安定した水供給があれば、人々は作物を育て、子供たちは健康を維持し、将来に対して希望を持てるようになります。ザンビアやマラウイなどのアフリカ南部にある複数の国が、干ばつによる緊急事態を宣言しています。気候がさらに極端で予測不可能な状況になっている中、すべての人が清潔な水を利用できるようにすることが急務です」
「世界のリーダーたちは、この事態を警鐘と受け止め、COPなどの気候変動関連の国際会議や今後の気候変動の適応策や財政に関する意思決定の中心に水問題を置くべきです。水がなければ、人々はこの世界に適応することができないのです」
水があれば、希望が生まれます。ザンビアの首都ルサカの南西に位置するンテメ・コミュニティでは、ウォーターエイドが給水設備を設置。人々は、その水を家庭用、農業用に分配して使い、干ばつによって生じた多くの課題を乗り越えています。この取り組みは、アルマーニ・グループの「アクア・フォー・ライフ(Acqua for Life)」のご支援によって実現しました。
水の分配管理を担当する農民のアンドリュー・マズバさん(写真)は次のように語っています。
「私は15年近くこのコミュニティに住んでいますが、水の確保には常に苦労してきました。ここ3年間、ほとんど雨が降らず、昨年は特にひどいものでした。干ばつの影響で地下水位が下がり、家畜の水飲み場として利用していた近隣のダムも干上がっています」
「清潔な水がなければ、コミュニティ全体に深刻な影響が及びます。水媒介の感染症が頻発し、健康被害が出ます。十分な水がなければ畑の手入れが難しくなり、食料の生産量も減少します」
「住民全員のニーズを満たすほどの水量が確保できないので、水は一定量に制限して分配しています。人々は小さい畑を持ち、水を得るまでの距離も短くなるなど、コミュニティはさまざまな恩恵を受けていますこのシステムが、当初意図したとおりに稼働し続ければ、干ばつの影響と戦い続けることができます」。
牛飼いのムガベさん(写真)は次のように話しています。
「水不足は私たち農民に多大な影響を与えました。家畜に水を与えるために、ほとんど一日がかりで対応しなければならず、干ばつの時期にはさらに厳しい状況になりました。家畜は水を求めて長い距離を歩かなければならず、水を探して10キロ歩いたこともありました」
「新しい給水システムが導入されたことで、地域の多くの人々の生活が改善しました。以前は常に水のことで不安がありましたが、今は安心して過ごしています」。
看護師のパットネスさん(写真)は、地域の保健医療施設が大きく改善されたことを強調しました。
「以前は水がなく、厳しい状況でした。施設内にも外にも給水設備がなかったため、衛生状態を維持するのが困難でした」
「今は違います。給水設備が整備されたので、出産後の母親たちは、屋外でなく施設内で入浴できるようになりました。さらに、以前のようなピット式トイレではなく、水洗トイレが導入されたことで、特に出産後の女性たちにとって大きな改善となりました」。
農民のケネディ・カジャンバさん(写真)は、自分たちで導入した水を分配するシステムの重要性についてこう述べています。
「コミュニティは、委員会を通じて給水システムを管理しています。この委員会がなければ、住民一人ひとりが個別に対応しようとし、大きな混乱が生じていたでしょう」