【プレスリリース】エムポックスの感染拡大危機を防ぐために、清潔な水と適切な衛生行動が重要

発熱や頭痛、湿疹などを引き起こすウイルス性の感染症エムポックスが、アフリカ大陸を中心に拡大しています。この状況に対し、アフリカ疾病管理センターは「アフリカの安全保障に関わる公衆衛生上の緊急事態」であると宣言したほか、世界保健機構(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言しました。ウォーターエイドは、清潔な水と正しい衛生行動がなければ、エムポックスの感染を抑止し、多くの命が奪われることを食い止められないと警鐘を鳴らしています。
エムポックスは、コンゴ民主共和国から、隣国のウガンダ、ルワンダ、ブルンジなど、これまで感染が確認されていなかった地域まで国境を越えて広がっており、さらにナイジェリアや南アフリカなどの離れた国々でも症例が確認されています。
十分なワクチンが供給されるのはまだ数か月先になるという報告もあり、ウォーターエイドは、エムポックスの脅威から人々の命を守るためには、清潔な水・衛生を確保することが極めて重要であると警告しています。
エムポックスは、感染者の発疹や体液、血液への接触、感染者との直接的な接触、近距離での飛沫の曝露のほか、ベッドシーツや食器など、感染者が触れたものを介して感染すると言われており、感染予防策の1つとして、手指衛生を行うこと、つまり石けんを用いて正しい方法で手洗いを行うことが推奨されています。また、感染者の治療を行う保健医療施設においても、水・衛生を確保することも重要です。
世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、 「エムポックスの感染拡大を食い止めるには、地域社会を中心とした個別的かつ包括的な対応が必要だ」と訴えています。
ウォーターエイドの保健政策アナリストであるアイリーン・オウス=ポクは、次のように述べています。「清潔な水と衛生習慣なしには、エムポックスという脅威から身を守ることはできません。ワクチンの供給も重要ですが、この深刻化する緊急事態を打開するには、それだけでは足りないのです」
ウォーターエイドは感染拡大防止のため、該当国の保健衛生責任者に対し、水、トイレ、そして衛生行動の改善を優先して取り組むよう呼びかけています。
長期的には私たちにとっても脅威である、致命的な疾病のまん延を食い止めるために、各国政府が水・衛生の予算を増やすことが必要です。
エムポックスへの感染リスクは誰にでもあるものの、特に女性や子供たちは保健医療施設や学校など不特定多数の人が集まる場に行く機会が多いため感染へのリスクがより高いとオウス=ポクは指摘しています。
8月15日時点での、エムポックスによる致死率は3~-4%であることが確認されました。これは、近年で最悪の数字であり、オーウス=ポクはこの状態を「危険な状態」と警鐘を鳴らしています。