給水に関するミレニアム開発目標達成の陰でーエチオピア
エチオピアでは、ミレニアム開発目標の中の水に関する目標を達成したことで、お祝いムードが広がっています。しかし、ウォーターエイド・エチオピアのメディア・広報担当ヨセフ・ティルネは、この国の水の実態についてしっかりと目を向けるべきであると話します。
2015年の「世界水の日」は、エチオピアの水・衛生部門にとっては、単なる毎年恒例のイベント以上のものになりました。今年エチオピアは、「ミレニアム開発目標(MDGs)の7C・ターゲット10」が掲げる「安全な飲料水を利用できない人々の割合を半減させる」という目標を達成したからです。
ジョイント・モニタリング・プログラム(JMP)によると、エチオピアの人口の57%が安全な飲料水を利用できるようになりました。これは基準年である1990年の数字14%から大きく増加しており、人数にして推定4800万人の増加になります。
しかし、エチオピアの4200万人以上の人々、そしてほとんどの医療施設は、いまだに改善された水源を利用できていません(National WASH Inventory report 2012)。衛生設備に関するターゲットについては達成にほど遠く、政府とあらゆる関連機関が協力して今後も努力を続ける必要があります。
公正さの欠如すべてのエチオピアの人々が安全な水を利用できるようになるために、ミレニアム開発目標達成の裏に潜むいくつかの問題点を、誠実に検証する必要があります。なかでも、「公正であること」は重要な課題です。都市部と農村部の格差、富裕層と貧困層の格差、そしてあらゆる人を対象とするという課題が、今まで徹底的に検証されたことはありませんでした。サハラ以南アフリカの25か国では、安全な飲料水を利用する人の割合は、農村部にくらべて都市部がほうが25%以上も高いというのが実状です。エチオピアでは、この差が50%以上にも達しています(UNICEF/WHO 2014)。
首都アディスアベバの変化
首都アディスアベバは、国全体のなかでも、水の供給が進んでいる場所です。アディスアベバの人口は500万人を超え、市当局によると、水の普及率はおよそ98%です。しかし、人口の増加ならびに首都自体が急速に周辺地域へと拡大することによって、水を公平に供給することが困難になっています。
給水が途切れることなく行われている地域は、ほとんどありません。市内には、給水が週に3日だけというところもあります。このように頻繁に断水が起きるので、経済的に余裕がある人々は、アディスアベバのほかの地域から水を買っています。しかし、貧困層は市内を流れる川で洗濯をしたり、身体を洗ったりするしかありません。
さらに、今アディスアベバの中心街では、高層ビルや近代的な商業施設の建設が続き、住民は再開発のあおりで立ち退きを迫られ、主要な市・町の周辺地域へと引っ越しています。しかし、そうした転居先ではいまだに水が供給されておらず、きれいな水がないまま生活することになるのです。
この2年間、アディスアベバ市当局は新しいプロジェクトを立ちあげ、水の供給量を増やし、サービスが浸透していなかった地域にも届けようとしていますが、その努力も首都の拡大と人口増加のスピードに追いついていません。
農村部で暮らす貧困層
この15年間で貧困は著しく減少したものの、エチオピアの農村部では、貧困ライン以下で生活している人々が大半です。このような人々に、きれいな水などの基本的サービスを提供することが大きな課題です。
JMPが発表した2015年版最新報告によると、改善された飲料水を利用できない人の10人に7人は農村部で生活しています。エチオピアでは、全人口9000万人のうち80%が農村部の住民なので、貧しい村の人々が必要とする水が十分に供給されていないということになります。
水の管理の問題点
都市部では断続的ながらも水が供給され、不十分とはいえ下水処理のシステムもあります。給水事業会社は十分な量の水を作りだし、継続して供給すべく奮闘しています。しかし、管理の不備による漏水などが原因で、せっかく作った水が無駄になることがあります。
また、水の料金が安いため、多くの事業会社は管理費用、維持費用を捻出できずにいます。その結果、政府による補助金や、外部機関からの資金に頼らざるをえません。
政府も認めるように、安全な水を提供するためのサービスの質は望ましいレベルにはほど遠く、今後も取り組んでいく必要があります。たしかに、エチオピアはミレニアム開発目標のターゲットをクリアしたかもしれません。しかし、国民に対して平等に水や衛生環境を提供するべく設備を整え、より多くの人々を貧困から救いだすまでには、まだ先は長いと言えるでしょう。