【ニュース】ブラジルが議長国を務めるG20開発大臣会合が「飲料水、衛生サービスの強化に関するG20行動要請」を採択

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30 August 2024
Image: WaterAid/ Mustafah Abdulaziz

 

2024年7月にブラジルで開催されたG20開発大臣会合において、「水・衛生サービスの強化、ならびに水・衛生サービス提供のためのファイナンスを増やす」ことを求める成果文書「飲料水、衛生サービスの強化に関するG20行動要請G20 Call to Action on Strengthening Drinking-water, Sanitation, and Hygiene Services)」が出されました。

2030年までにすべての人々が安全な水とトイレを利用できるようする、というSDGsのゴール6の達成に向けた進捗は遅れており、ウォーターエイドの調査によると、水・衛生分野への国際的な援助は、2018 年以降、実質ベースで、また援助総額に占める割合で減少しています。  

G20開発大臣会合は、この成果文書のなかで、SDG6の達成には政府横断的な取り組みが必要であること、そしてSDGs6を達成することで、世界全体で少なくとも年間140万人の命を救うことができ、また、水・衛生に1ドル投資するごとに最大8倍のリターン(2.6〜7.9ドル)が得られることを認めました。

ウォーターエイドのシニア・マルチラテラル・アドバイザーであるサニー・シンは、次のように述べています。

「気候危機への取り組みから、コミュニティの健康、経済の繁栄に至るまで、このG20の呼びかけは、水・衛生サービスとそのファイナンスの強化という、世界的に人々の命を救うこと、そして経済にとって『ゲームチェンジャー』となりえるものです。ウォーターエイドは、気候変動と水危機の影響を最も受けている人々の声に耳を傾けるだけでなく、それに基づいた行動を確保するため、オープンで包括的、そして何よりも行動志向の議論が行われることを求めます。これは、何百万人もの人々の命を救い、世界経済を回復させる重要な機会と言えます。」

 

「飲料水、衛生サービスの強化に関するG20行動要請」は下記のことを呼びかけています。

  • 保健および教育セクター、職場における水・衛生サービスを促進し、投資する。
  • 国連未来サミット、国連気候変動枠組条約締約国会議(COP29とCOP30)、Sanitation and Water for allパートナーシップのセクター大臣会合、2026年に開催予定の国連水会議など、今後開催される国際的なプロセスにおいて、水・衛生への政治的優先順位付けと説明責任へのコミットメントを示す。
  • 持続可能で気候変動に強く、ジェンダーに対応したアプローチをとり、水と衛生へのアクセスにおける変革的な進展を達成するための行動可能なステップを国家政策に組み込む。
  • 多様な状況や条件にあるすべての女性と女の子、そして脆弱な状況にある人々のニーズに特別な注意を払う。

 

2025年には、南アフリカ共和国がG20の議長国を務める予定です。アフリカは下記のとおり、水・衛生の課題に直面しており、今後もG20が水・衛生分野でリーダーシップを発揮し続けることが重要です。

  • サハラ以南アフリカでは、人口の3分の1が清潔な水を、3分の2が適切なトイレを利用することができません。
  • 現在の進捗率では、2030年までにサハラ以南アフリカで安全に管理された水を利用できるようになる人口の割合は、37%に過ぎません。
  • サハラ以南アフリカでは、人口の4分の3を超える8億9,500万人が、石けんと水を使って家庭で手を洗うことができません。
  • 世界では、毎年38万4,000人が不十分な手指衛生が原因の下痢で命を落としており、その多くは、サハラ以南アフリカと東南アジアで起きています。
  • サハラ以南アフリカでは、男性に比べて4倍の女性が水くみをしています。
  • このような状況では、人々が仕事を続けることも、子供たちが教育を受け続けることも困難です。住民の健康状態が悪化し、経済活動にも影響します。

洪水から干ばつまで、自然災害の90%は水に関連していると言われています。今年G20の議長国を務めたブラジルは、2025年、COP30の開催国となる予定です。水・衛生へのコミットメントとアカウンタビリティを果たすために、具体的な成果物を提案し、水・衛生を政治的リーダーたちの優先事項に引き上げていくことが期待されます。