【プレスリリース】現在のペースでは2030年までにすべての人が基本的な水とトイレを利用できるようになるのは困難-ユニセフとWHOの新データで明らかに

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18 June 2019
In
Water, Hygiene
WaterAid/ Marco Betti

ユニセフと世界保健機関(WHO)による水と衛生に関する共同モニタリングプログラム(JMP)は2019年6月18日、新たな報告書「Progress on household drinking water, sanitation and hygiene 2000-2017: Special focus on inequalities(家庭における水・衛生の進捗 2000-2017:格差に焦点を当てる)」を発表しました。それによると、世界人口の4分の1、約26%にあたる20億人以上の人々がいまだ基本的なトイレさえ使えない状況にいることが明らかになりました。

2000年から2017年の間には、新たに21億人が「適切なトイレ」を使えるようになりました。ここでいう「適切なトイレ」とは、家の中にあって、プライバシーが守られ、排せつ物が水や水源と隔離させているものです。大きな進展が見られた一方、JMPが発表した統計によると、世界の水・衛生分野が抱える課題は、なお大きなものがあります。

いまのペースでは、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6、「安全な水とトイレを世界中に」を達成するには何十年とかかるでしょう。目標は遠く、進捗は遅すぎます。ゴール6が設定したトイレのレベルは「安全に管理されたトイレ」であり、世界中のすべての人が排せつ物の処理システムとともに、こうしたトイレを使えることを求めています。国際社会の取り組みに劇的な変化がなければ、目標は数十年間は達成されず、SDGs全体の進捗にも影響するでしょう。

水に関する数字は、トイレの状況と比べると良好ですが、7億8,500万人(世界人口の10%)はまだ基礎的なレベルの水利用さえできません。 前回、2015年調査時の8億4,400万人からは改善していますが、しかし、SDGが設定した目標は、すべての人が安全に管理された水道を利用できることであり、基礎的なレベルの水が利用できるだけでは目標は達成されません。世界では4分の1以上の人々(29%)が安全に管理された水の供給を受けられず、水に起因する下痢やコレラなどの病気の危険にさらされています。現在の改善のペースでは、基礎的なレベルでの水へのアクセスでさえ目標の時期に達成できず、SDGsの掲げる目標からはさらに遠いところにあります。

JMPのデータはまた、各国内に存在する大きな格差を浮かび上がらせています。格差はとくにトイレに関して顕著で、例えばナミビアでは、最も貧しい層の人々のうちトイレを使える人が4%に過ぎないのに対し、最も裕福な層の人々では87%がトイレを利用しています。基礎的な水の利用で、貧困層と富裕層の差が最大となっていて、最も豊かな層の94%が水を利用できるのに対し、最貧困層で水を利用できる人の割合17%にとどまっていました。貧しい人々や疎外されている人々は、水やトイレへのアクセスという基本的人権を否定されたまま、取り残されています。この格差を放置したまま、SDGの達成はありません。

今回のJMPの報告には、衛生に関する世界的な推計値が初めて盛り込まれました。 それによると、世界中で30億人(全体の40%)が水と石けんを備えた手洗いの設備を使うことができません。衛生設備で最も格差が大きかったのはパキスタンで、最も豊かな層の94%が手洗い施設を使うことができるのに対し、最貧困層のそれはわずか16%でした。

水、トイレ、手洗い設備を利用できる人の割合が最も低い3ヵ国はアフリカ諸国でした。基礎的なレベルの水を利用できない人の割合が最も高かったのはチャドで61%でした。エチオピアは基礎的なトイレを使えない人が93%を占め、 リベリアではほぼ全員(99%)が基礎的な手洗い設備を利用できません。チャドやガンビア、コンゴ民主共和国などの国々の衛生状況は、2015年よりも悪化しています。取り組みにより、これらの国々に住む何百万人もの人々の生活は大きく変わりますが、資金や能力の欠如が課題となっています。

その他、今回の報告からは、以下のようなこともわかりました。

  • 基礎的なレベルの水さえ利用できない10人のうち8人は地方に住んでいます。
  • 2030年までに、ほぼすべての国民が水の利用ができるようになる見込みがあるのは、現在、基礎的なレベルの水へアクセスできる人の割合が99%未満となっている国のうち、3つに1つでした。
  • 2000年から2017年の間に、野外で排せつしている人口は13億人から6億7,300万人に半減しました。最も減った地域は中央および南アジアでした。
  • 2030年までに、ほぼすべての国民が手洗い設備を利用できるようになる見込みがあるのは、現在、基礎的なレベルの手洗い施設へアクセスできる人の割合が99%未満となっている国のうち、4つに1つでした。

この報告の公表を受け、ウォーターエイドジャパン事務局長の高橋郁は「大きな改善はあったものの、私たちが『当たり前のもの』と考えている清潔な水、適切なトイレ、正しい衛生環境を利用できない人がいまだに多くいます。ウォーターエイドジャパンの目標でもあり、SDGsのゴールでもある『安全な水とトイレを世界中に』を2030年までに達成するのは、より多くのみなさんの協力が必要です。また、貧しい人と裕福な人との格差の問題にも、これまで以上に注目していく必要があります」と話しています。