【プレスリリース】世界の最貧困層は、気候変動の影響を最も受けている一方、わずかな気候変動対策資金しか受け取っていないことが明らかに

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WaterAid Japan
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16 November 2020
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Water, Climate change, Finance
BG50_282_landscape WaterAid/ DRIK/ Habibul Haque
  • 気候変動の影響で干ばつや洪水の被害が深刻化する中、貧困下にあるコミュニティ向け給水サービスを守るための資金は、気候変動対策資金全体の1%未満であることが、新たな調査で明らかになりました。
  • 気候変動に対して脆弱である一方、給水サービスのために受け取っている資金が年間1人あたり1ドルという国があります。
  • 気候変動対策として貧困国が受け取る資金の多くは、返済義務を伴うローン(政府貸付・有償資金協力)であり、グラント(贈与・無償資金協力)ではありません。

ウォーターエイドと連携し、イギリスのシンクタンク「海外開発研究所 (Overseas Development Institute:ODI)」が、新たな報告書「Just add water: a landscape analysis of climate finance for water(仮訳:水を加えるだけ:水と気候変動ファイナンスに関する動向分析)」を発表しました。この報告書は、国際社会が表明した、気候変動に対処するための資金(気候変動ファイナンス)数兆円のうち、気候変動に脆弱なコミュニティ向けの給水サービスに充てられる資金が、わずか1%であることを指摘しています。

水と気候変動ファイナンスの動向を深く分析した同報告書は、ドナーと各国政府に対し、気候関連の資金拠出の優先順位について、再考を促す目的で作成。世界各国の政府系開発銀行が気候変動に関して議論する初の国際会議「Finance in Common Summit」の開幕に先立ち、同日2020年11月12日に発表されました。世界では人口の約3分の1である20億人が、自宅で安全な水を使うことができません。真の変化が起きない限り、脆弱層が激しさと頻度を増す干ばつや洪水、異常気象に対応することは不可能であるとウォーターエイドは考えます。

ジョナサン・ファー(ウォーターエイド・イギリスの気候変動政策シニアアナリスト)は話します。

「壊滅的な被害をもたらしたパキスタンの洪水からザンビアの干ばつまで、気候危機はすでに私たちの目の前で起きています。」

「ウォーターエイドは、気候変動の影響を最も受けているコミュニティで活動しています。例えば、アフリカのサヘル地域では、長引く乾期や洪水の頻発、乏しい水のアクセスなど不安定な気候の影響によって、多くの人々の命と生活が常に脅かされています。」

一方、報告書によれば、脆弱層の支えとなる清潔な水や適切なトイレ、正しい衛生習慣を農村部やコミュニティに届けるプログラム(水・衛生サービス)が受け取る額はごくわずかです。これは、国際的なドナー(援助供与国・機関)が、水関連プログラム割り当てた気候変動関連資金のわずか10%、そして気候変動関連資金全体の0.99%に過ぎません。

もともと水のアクセスが不十分であり、気候変動によって人々が干ばつや洪水、病気に直面しているにもかかわらず、受け取る気候変動関連資金が、1人当たり年間約1ドルに過ぎない、という国もあります。

ファーは次のように付け加えました:

「この報告書によって、世界が気候危機への対応として、最脆弱層を優先していないことが明らかになりました。気候変動の最前線でその脅威を感じている最貧困コミュニティの人々は、取り残され、自力でしのぐしかありません。」

「私たちは、この不公正に対して、地球規模で早急かつ大胆に行動しなければなりません。そして、すべての人がすべての場所で、気候変動の増大する脅威に立ち向かう術を確保する必要があります。」

気候変動の影響は、主に嵐や洪水、干ばつといった水関連の災害である一方、2018年にドナーが気候変動対応に拠出した730億ドルのうち、気候変動の水への影響に対処する適応策に投じられた資金は約8.7%でした。

また、各国が気候変動の影響に適応するために拠出された資金でさえ、最も支援を必要としている人々に届いていません。気候変動に最も脆弱なのは最貧困国であるにもかかわらず、水関連の気候変動資金を受け取った上位20か国のうち、19か国が中所得国でした。

さらに、水分野における気候変動適応策として拠出された資金のうち、86%がローンであり、グラントではありませんでした。つまり、重債務国の政府が、国内の気候変動に脆弱なコミュニティから目をそらすか、あるいはさらに大きな債務を抱えるかの選択を迫られていると言えます。

ナタニエル・メーソン(海外開発研究所の水・衛生・気候変動専門研究員)は話ます。

「人々が新型コロナウイルス感染症を乗り切るためと同様、人々が気候変動にレジリエントであるために、安全な水・衛生へのアクセスは不可欠です。」

「この研究は、気候変動および関連する脅威に最も脆弱な人々や国への支援に焦点をあてるよう警鐘を鳴らし、かつ脆弱な人々や国の優先課題を理解し、気候変動適応策への資金供給についてよりクリエイティブに考えるべきであると提起するものです。」

ウォーターエイドは、世界の最脆弱層こそが、最初に国際社会の資金援助を受けとるべきであると呼びかけています。ウォーターエイドは今月(2020年11月)、各国政府や援助機関、気候変動分野と水分野の専門家が参加するハイレベル会議を開催。世界の最貧困コミュニティの気候変動への適応について議論します。

これは、2020年3月にイギリスのウェールズ公主催によるウォーターエイドのイベント「Water and Climate Summit(水と気候サミット)」で出された、気候変動にレジリエントな水・衛生への資金援助を増強するとした誓約に基づくものです。

報告書「「Just add water: a landscape analysis of climate finance for water」(英語)はこちらから

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