【プレスリリース】保健医療施設でも水を使えない人が世界に9億人-感染症や薬剤耐性も悪化の危険

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25 April 2019
WaterAid/ Eliza Powell

世界の保健医療施設の4分の1、後発開発途上国では45%の保健医療施設で清潔な水を使えないことが明らかになり、ウォーターエイドは、こうした状況が改善されない限り、感染症の拡大の危険があり、薬剤耐性の悪化も食い止められないとする見解を明らかにしました。


保健医療施設の水・衛生に関する初の包括的な調査

世界の保健医療施設の4分の1、後発開発途上国の保健医療施設では45%が清潔な水を使えず、その結果、世界で約9億人が保健医療施設でも清潔な水を使えない-。このデータは、世界の保健医療施設の水・衛生や廃棄物処理、清掃の状況を対象とした、ユニセフと世界保健機関(WHO)による水と衛生に関する共同モニタリングプログラム(JMP)の最新報告書(WASH in Health Care Facilities)で明らかになりました。この報告書では、以下のような点を明らかにしています。

•    世界の8億9,600万人が保健医療施設で給水を全く利用できていない。
•    世界の5分の1の保健医療施設(21%)には衛生設備がまったくない。サハラ以南のアフリカでは、4分の1の医療施設(23%)にしか、適切なトイレがない。
•    世界で15億人以上の人々が、地域の保健医療施設でトイレを全く利用できない。
•    有効だった地域のデータによれば、石けんで手を洗うなどの衛生習慣が、保健医療施設でも徹底されていない。たとえば、東アジアおよび東南アジアの保健医療施設で、石けんでの手洗いを実施していたのは、全体の3分の1(36%)の施設。
•    世界全体では、6分の1の保健医療施設で石けんでの手洗いが全く行われていない。
•    適切な廃棄物管理や一般清掃が行われていない保健医療施設も多く、感染症の拡大に繋がっている。後発開発途上国では、医療廃棄物を安全に処理できている保健医療施設は4分の1(27%)しかなく、保健医療機関での清掃の実態に関するデータを持っているのは4ヵ国のみ。


命の危険に直結する医療現場の水・衛生環境

保健医療施設で、適切な水・衛生環境や廃棄物管理が整わない状況は、施設内で感染症が急速に拡大することにつながり、深刻な結果をもたらします。

その一つが、細菌(病原菌)の感染・繁殖により、全身の臓器に障害をきたす敗血症。世界では、1年間に、生後4週間までの新生児のうち22万5,000人が敗血症で命を落とし、そのほとんどがサハラ以南のアフリカと南アジアで起きています。出産に携わる人たちが石けんと水で適切に手を洗っていれば、これらの死の多くは防げた可能性があります。

最近のBritish Medical Journalの記事では、南アジアで生まれた1,000人のうち約16人の赤ちゃんが敗血症を発症し、そのうち3分の1の赤ちゃんが命を落としています。

抗生物質が効かない細菌、なかでも多くの薬剤に耐性を持つ「スーパーバグ」の増加も、保健医療施設の衛生の問題と直接的な関係があります。適切な衛生習慣があれば回避可能な感染症の予防や治療のために抗生物質が過剰に投与されたり、誤って使用されたりすることがあり、それが薬剤耐性を持つ細菌の拡大にもつながっているのです。


環境改善に向け、世界と日本から行動を

ウォーターエイドの保健と衛生に関する上級政策アナリスト、ヘレン・ハミルトンは次のように話します。 

「ウォーターエイドは、サハラ以南のアフリカと南アジアで、すべての保健医療施設で清潔な水と適切な衛生設備が利用され、適切な衛生習慣が実践されるように取り組んでいます。世界保健総会が2019年5月、この問題についての議論を予定しています。この問題を政治的に重要な課題と位置づけ、すべての保健医療施設が医療のための基礎的な条件を満たすための資金を得られるよう、ウォーターエイドは指導者たちに呼び掛けます」

ウォーターエイドジャパン事務局長の高橋郁は「日本の新生児死亡率は世界で最も低い水準です。これは保健医療施設の水・衛生環境が整備され、衛生に関する習慣や知識が普及している結果ですが、かつては厳しい状況にありました。ある地域での健康危機が、全人類を脅かす健康危機になる可能性があるなか、世界の水・衛生問題の改善に向け、日本からも声を挙げていきたい」と話しています。 

 

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