病気を予防するためには、給水設備・トイレに加えて、手洗い等の適切な衛生習慣の実践が不可欠です。 

衛生習慣の実践が重要な理由 

手洗い等、適切な衛生習慣が実践されなければ、健康を保つことが難しく、子供たちは学校に通えず、大人たちは十分働くことができなくなります。医療現場で、手洗い設備がない、といった理由で衛生習慣が実践されなければ、患者や保健医療従事者の命が危険にさらされます。 

世界銀行は、健康改善において最も費用対効果の高い施策は衛生習慣を身につけることであると言っています。一方、衛生習慣の改善は、開発分野の中で見過ごされがちです。持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6は、水、衛生設備・トイレ、そして衛生習慣に取り組むことを定めていますが、衛生習慣は、水、衛生設備・トイレ取り組みよりも、さらに後回しにされがちです。 

各国政府や水・衛生事業者が衛生習慣を重視しない原因の1つは、手洗いなどの衛生習慣を促進することが健康面、そして社会的、経済的にどのような効果があるのかあまり知られていないことにあります。また、仮に衛生習慣を改善するためのワークショップなどを実施したとしても、単発的になりがちで、人々が衛生習慣が根付くことにつながらない、といった問題もあります。 

衛生習慣の改善に向けた画期的なアプローチ 

ネパールでは、出産後、生後9カ月までの間に、新生児・乳児は少なくとも5回、医療機関で予防接種を受けています。ウォーターエイドはこのシステムに着目。保健省と協力して、予防接種の際に、保護者に正しい衛生習慣を伝えるプログラムを組み込みました。

Image: WaterAid/ Mani Karmacharya

ウォーターエイドのアプローチ

ウォーターエイドは、実施するすべての水・衛生プロジェクトに、衛生習慣の要素を取り入れています。家庭、学校、保健医療施設や公共施設への手洗い設備設置を促進するとともに、衛生習慣に関するの行動変容に取り組んでいます。 

ウォーターエイドが普及促進に取り組んでいる衛生習慣は次のとおりです。 

  • 石けんを使った手洗い 
  • 水の安全な保管 
  • トイレの使用と維持管理 
  • 食品衛生 
  • 月経衛生 
  • 洗顔や廃棄物管理など状況に応じた衛生習慣 

ウォーターエイドはこれまでの経験上、「衛生習慣は重要である」ということを説明するだけでは、人々の衛生習慣は持続しにくいことから、人々と対話をし、子供の将来への不安や自分自身の快適さ、社会的地位の向上など、どういったことが動機となって、人々が衛生習慣を変えていくのか、理解するようにしています。こうした情報・分析をもとに、それぞれの状況に最適なアプローチで衛生習慣に関する行動変容を促していきます。例えばネパールの農村部では、自宅の壁にかけられる鏡の周りに複数の衛生習慣を示すイラストを描いた啓発素材を制作。衛生教育セッションで配布し、衛生習慣を促すイラストが、常に人々の目に入るようにしました。 

ウォーターエイドは、こうした衛生習慣促進の取り組みの成果を定期的に評価・確認し、そこから学んで改善を続けると同時に、現地政府や他の機関に、その学びを共有するようにしています。例えば、新型コロナウイルス感染症により手洗い設備の設置が急務であるなか、ウォーターエイドは、バングラデシュで手洗い設備の設置マニュアルを策定し、それを幅広く共有しました。 

また、ウォーターエイドは、政府や水・衛生事業者が、手洗いなどの衛生習慣をそれぞれの政策・プログラムに組みこむよう、サポートしています。さらに、女性や若者、環境を担当する省庁や民間企業、学術機関などとも連携。衛生習慣の重要性を発信し、教育、食料・栄養、保健(特に母子保健とトラコーマ)セクターも衛生習慣の改善に取り組むよう働きかけています。 

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