私たちが使っている淡水は、すべて自然環境から来ています。しかし現在、様々な要因によって、私たち人間の飲用や生活用、小規模な生計を立てるための活動、そして地域の生態系に必要な量と質の水を、持続して確保することが困難になっており、世界の最貧困層が不衛生な水を飲まざるを得ない状況におかれています。

すべての人が持続的に安全な水を利用し続けるためには、水質、適切に管理された水資源、そして適切に管理された給水サービスの3点が重要であり、さらに近年は、この3点に加えて災害リスクへの対応が欠かせません。

例えば、給水サービスの一環として、給水設備を管理・修理する技術を持つ人材がいなければ、給水設備は壊れたまま放置されることになり、水を利用し続けることは困難になります。水資源がなければ、給水サービスだけがあっても水を利用することはできません。災害リスクへの対応ができていなければ、給水サービスも水資源も悪影響を受ける可能性があります。給水サービスや水資源がない、または不安定な場合、持続的に水を利用できる状況であるとは言えません。

私たちが使っている淡水はすべて、自然環境から来ています。雨は川に流れ込み、湖や土壌、帯水層と呼ばれる岩から成る広大な地層にたまります。自然環境の変化や人間の活動から影響を受けて、利用可能な水の量と質は時期によって異なります。自然災害もまた、利用可能な水の量と質、給水サービスの持続性に影響を及ぼします。

主に下記の要因によって、持続的に安全な水を利用し続けることが困難になります。

  • 通常の気候の変化
  • 人間により引き起こされる気候変動
  • 人口の増加・移動
  • 自然災害による被害を受けやすい土地(低地、川沿い等)への居住
  • 給水サービスの欠如
  • 水質汚染
  • カースト、人種、社会的身分、支持政党などを理由とした排除(例:カースト等を理由に、給水インフラの利用が地域住民から認められないことがある)

本来、ここに挙げた要因は、対策を講じることが可能です。一方、政府に水に取り組む意思がない、担当機関に十分な能力がないなどの理由で、その対策が十分講じられている、とは言い切れません。結果として、何億人の人々が、基本的な人権でもある安全な水へのアクセスから取り残されています。
 

ウォーターエイドのアプローチ

地域によって、人々が清潔な水を持続的に利用できない要因は様々です。ウォーターエイドは、その要因を分析し、各地域に最適なアプローチを組み合わせてプロジェクトを実施しています。下記はその一例です。

・住民が政府に対して、清潔な水を利用する権利を主張する活動を支援
(例)ウォーターエイドはマラウイにおいて、清潔な水を使えない状況に置かれている住民を対象とした「清潔な水と使うことは人権である」ことを伝えるワークショップを実施。

・給水サービス事業者・事業体が、給水対象となる人々すべてに必要な量の水を届けることができるよう能力向上支援
(例)ウォーターエイドは、マラウイの水道事業体を対象に、給水網の管理や技術、漏水の削減、カスタマーリレーション等に関する研修を実施しました。

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・住民が家の近くで清潔な水を利用できるよう給水設備の設置支援
(例)ウォーターエイドは、多くの活動国において、地域の状況に最も適した給水設備を設置しています。

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・地方自治体や給水サービス事業者・事業体と連携し、コミュニティ主導の給水サービス維持の体制が機能するよう支援
(例)ウォーターエイドは、給水設備の持続性が課題となっている東ティモールにおいて、各村の給水設備の維持管理を担う水利用者グループの活動を支援しています。

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・住民を対象に、水を汚染から守る方法に関してトレーニングを実施
ウォーターエイドは、インドにおいて、ユースグループを設立し、清潔な水の重要性や、一般家庭や共同水栓の水質検査を学ぶトレーニングを実施しました。

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給水サービス×水資源管理

給水設備を設置し、その維持管理方法を利用者に教えるだけでは十分ではありません。地域の人々が給水を維持し続け、利用可能な水資源の変化に適応できるよう、各機関が適切に設置され、機能し、コミュニティを支援する必要があります。これには、水・衛生プロジェクトの実施、ならびにと水資源管理に関する専門性が欠かせません。

ウォーターエイドは、人々が清潔な水と衛生設備を利用し、衛生習慣を実践するための水・衛生の取り組みと、水資源管理を組み合わせた活動に徐々に注力しています。ウォーターエイドの水・衛生の取り組みと水資源管理を組み合わせたアプローチは、水関連の脅威を特定、モニタリングし、リスクに基づいた計画を策定し、脅威を緩和する、という枠組みで実施しています。

ウォーターエイドの目的は、人々が直面する水に関連するリスクを軽減することです。中央政府と地方自治体、コミュニティ間のつながりを強化し、給水サービスと水資源管理に関する国の戦略を補うことによって、この目的を実現していきます。
 

西アフリカにおける水の確保の取り組み

ウォーターエイドは、1年のうち8か月乾期が続くブルキナファソなど西アフリカで、コミュニティが主体となって水資源管理に取り組むプロジェクトを実施してきました。

ブルキナファソの水資源管理事例 

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