デリーのスラム、サフェーダバスティのストーリー

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Image: WaterAid/ Adam Ferguson

野外でしか用を足せないとしたら。

デリーのスラムでは、住民が直面する深刻な問題があります。その問題とは、夜に野外で用を足す時に、危険が伴うということです。

 

インドの首都デリーの西部に位置するスラム、サフェーダバスティ。このスラムの人々が、重大な問題について話しました。

網目のような窮屈な裏通りに住む570以上の世帯が利用する共用トイレは、夜10時から朝6時までの間、閉鎖されます。住民はこの時間帯になると、野外で用を足す以外に方法がありません。

「野外に出て用を足しに行くのは怖いです。」と話すデュルガさん(32歳)。「まだ若い娘たちをトイレに行かせることに不安を感じています。まわりには人がたくさんいて、どんなことが起きるかわからないからです。」

サフェーダバスティは、人々が違法に居住している地区であるため、人々が住み始めた20年以上前からずっと、基本的な衛生設備を含む公共のインフラへのアクセスがありません。その結果、サフェーダバスティの住民、なかでも女の子や女性は悲惨な状況にあります。
 

「私も子供たちもあまり食べないようにしています。」

サフェーダバスティのそばを通る幹線道路に立つデュルガさん
サフェーダバスティのそばを通る幹線道路に立つデュルガさん
Image: WaterAid India

サフェーダバスティのそばを通る幹線道路に立っているのがデュルガさんです。ここは、共用トイレが使えない夜の時間帯に住民が用を足す場所の1つです。「子供たちも私もあまり食べないようにしています。そうすればトイレにも行かずに済みます。」と説明するデュルガさん。「もうすぐ私たちの家にもトイレができて、状況は良くなるでしょう。子供たちには、とても明るい未来が待っています。」
 

「子供たちは家で用を足し、私が袋に入れて捨てています。」

ムニヤさん(27歳)
Image: WaterAid India

ムニヤさん(27歳)は、夜間に用を足す時には、危険を避けるために夫に同行してもらい、スラムの郊外にある駐車場を利用することがあります。家にトイレはありませんが、7歳、5歳そして2歳になる子供たちには家で用を足してもらっています。「用を足した後は、袋に入れたり、紙に包んだりして捨てています。」とムニヤさんは話します。

 

「1人きりでここへはきません。」

Nankeshar Kumar Paswan, 18, stands at an open defecation area on the banks of the Yamuna river. With the existing community toilets unable to serve the population of the slum, people are forced to defecate here. While many households want to get a personal latrine, some are held back due to either the informal nature of their residence, their lack of technical knowledge, or insufficient funds.  WaterAid/ Adam Ferguson

すぐ近くの川もまた、野外排泄によく利用されている場所です。「ここでは様々なことが起こります。」とナンケシャールさん(18歳)は話します。「私たちは大抵、2~4人くらいで連れ立ってきます。携帯電話を盗まれることもあれば、病気がうつってしまうこともあります。ここに来ることは危険です。」

 

「早起きをすれば、誰にも見られずにすみます。」

サリタさん(25歳)
Image: WaterAid India

朝6時には、共用トイレの前に早くも行列ができます。そのため、何か別の方法を考えなければなりません。「私は、朝早くに行っています。」とサリタさん(25歳)。「怖いです。男性に用を足しているところを見られたらと考えると恥ずかしくて…。 来年には、自分用のトイレが欲しいです。」

 

サフェーダバスティの明るい未来
ウォーターエイドは、サフェーダバスティの人々が自分たちの家庭用トイレを設置することを支援しています。これにより、住民が夜間に野外で用を足さなくても良くなります。 提携団体であるCURE(Centre for Urban and Regional Excellence)との協働により、112戸の住宅に下水管路がつながりました。住民は清潔で健康的になり、明るい未来に希望を持っています。