水の技術

Molia Abdallah, 47, stands next to solar panels at the water scheme being constructed in Chicoma, Mossuril District, Nampula Province, Mozambique, October 2018.
Image: WaterAid/ Chileshe Chanda

ウォーターエイドは、人々の基本的なニーズを満たすのに十分な量の清潔な水を供給できる技術・しくみを選ぶよう努めています。技術・しくみを選択する際に鍵となるのが持続可能性です。地域のリソースを使って設備・しくみの運用、維持管理、そして修理していくことが可能になるよう、資金や技術、スペアパーツ(交換部品)がその地域で得られるようにすることも重要です。

技術を選択する際の最初のステップは、水源の選定です。ウォーターエイドが選ぶ主要な水源は、雨水、地下水、地表水(河川、池、湖沼)です。植物や霧、海水などから水を確保する手法もありますが、その場合、雨水、地下水、地表水から同じ量の水を得るのと比べて、より複雑で高価な技術が必要となりがちです。

近年では、気候の変化に伴い、清潔な水を手に入れるのに苦労している人々の生活はさらに厳しくなっています。洪水が頻繁に発生して脆弱な給水設備が壊れたり、水源が汚染されたりしています。干ばつが続くと井戸や湧き水などの水源が枯れてしまいます。気候変動の影響で水を安定して利用できなくなることを防ぐために必要なのは、強固でレジリエントな給水システムを選択すること。しかし、インフラ整備だけでは十分ではありません。コミュニティが、給水システムを維持管理していくことができるよう、必要なツールを開発したり、トレーニングを実施したりすることも重要です。

ここでは、コミュニティが持続して清潔な水を得ることができるよう、ウォーターエイドが導入している給水システムやしくみの一例を紹介します。

掘削井戸

利用可能な水の多くは、地下に存在しています。しかし、地下水はどこでも手に入るわけではありません。地下水が、地下深くにある場合や、硬い岩盤の下にある場合には、掘削井戸を採用します。掘削井戸の深さは100メートル以上にもなることもあります。地下水に到達するまで掘削してパイプを設置した後、手押しポンプを取り付けたり、電動ポンプを設置してタンクに送水したりすることで、人々が水を利用できるようになります。

参考記事:掘削井戸が生涯利用できるように

自然流下式給水システム

丘陵地帯や農村部など、人々が山道や急な坂道を歩いて水を運ばなければならない地域に水を届けるときによく採用するのが自然流下式給水システムです。高所にある湧き水などを水源とし、タンクに水を貯め、重力を使ってパイプでコミュニティまで水を届けます。自然の力を利用することで、高価な電動のポンプを必要とせず、費用対効果の高い手法と言えます。

ウォーターキオスク(水の売店)

ウォーターキオスクは、水道水が各家庭に行き渡っていない地域で、水道水を販売したり、井戸の水を販売したりする「水の売店」です。コミュニティの中心部に設置されることが多く、担当スタッフが運営しています。住民は、ウォーターキオスクに取り付けられた蛇口から水をくんで、スタッフに水の利用料金を支払います。ウォーターキオスクはその収入を、水道事業体に払ったり、人件費や設備の維持管理に使ったりします。ウォーターキオスクでは、石けんや洗濯用洗剤などの商品も販売することで、運営費用の一助としています。

水のATM

水のATMは、ウォーターキオスクを自動化したもので、運営スタッフが常駐する必要がありません。人々は、地元のお店や携帯電話を通じて、プリペイドカードに入金(チャージ)。そのプリペイドカードを使って、まさに金融機関のATMのように、水を「引き出す」ことができます。この水のATMがあれば、人々は、24時間いつでも水をくむことが可能になります。

ソーラーポンプ

太陽光パネルが生み出す電力を使ってポンプを動かし、地下深くから水をくみ上げるしくみです。くみ上げた水はタンクに貯められ、タンクに取り付けた蛇口から、人々は水を得ることができます。地下深くの水を手押しポンプでくみ上げるのは力がいる作業ですが、ソーラーポンプを使えば、低コストかつ環境にやさしい形で、蛇口から簡単に水をくむことが可能になります。

ウォーターエイドが活用する水・衛生の技術・しくみついてもっと知りたい方は、こちら(英語ページ)をご覧ください。

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