バングラデシュ
首都:
ダッカ
人口:
1億6,500万人
面積:
14万7,570
km2

バングラデシュには豊富な水があり、総延長が約24,000キロに達する河川が肥沃な土地を流れています。しかし、すべての人に安全な水を十分に提供するためには、いくつもの課題を解決しなければなりません。

バングラデシュでは、洪水やサイクロン、地震、干ばつが頻繁に発生し、人々の生活に深刻な被害をもたらしています。清潔な水、適切なトイレ、正しい衛生習慣がすべての人に届くように改善することは非常に困難な課題であり、気候変動がそれに追い打ちをかけています。

このような課題はありますが、バングラデシュはめざましい発展を遂げています。バングラデシュ政府は、意欲的な国家計画の策定を進めていて、ウォーターエイドはそれに協力しています。取り組みには、すべての建物の上に雨水を集める設備をつくる、主要駅などに公共の給水設備を設置する、ゴールデンタイムに正しい衛生習慣を教える子供向け番組「Jol Danga」を放送するなどが盛り込まれています。それぞれは、1つ1つはシンプルな取り組みですが、生活を変えるイノベーションでもあります。

一方で課題も残っています。バングラデシュの北部では、ヒマラヤの岩石に起因するヒ素による地下水汚染が起きており、地下水を飲用にすることが困難になっています。南部の沿岸部では、海水が原因で地下水が塩水化しているため、地下水が飲用に適さず、また、作物を育てることができません。下水道システムにも大きな問題があり、処理場に運ばれるのは、都市に住む人々のし尿の2%にとどまっています。

ウォーターエイドは、支援者の皆さまや現地パートナーとともに、清潔な水、適切なトイレ、正しい衛生習慣が、バングラデシュのすべての人の「当たり前」になるように取り組んでいきます。ウォーターエイドには、多くの人々の生活を変えることができる責任感や経験、機知、ネットワークがあります。これらを生かし、最も手が届きにくい人々の状況を改善することから活動を行っています。

ウォーターエイドは、学校や公共の場所に水・トイレの設備を設置し、衛生習慣の改善を全国で進めます。そして、自然災害の危険度が高いコミュニティと連携し、災害発生時に断絶することがない水・衛生サービスを構築しています。

が清潔な水を飲めません。

(Joint Monitoring Programme, 2022)

が適切なトイレを使えません

(Joint Monitoring Programme, 2022)

の5歳未満の子供たちが下痢で命を落としています

不衛生な水と、適切なトイレの不足が原因です

バングラデシュでのウォーターエイドの活動

ウォーターエイドは、地元の団体IDEAと協力し、紅茶園で働く労働者のコミュニティに、清潔な水と適切なトイレを届けています。これは画期的な取り組みです。

茶園労働者の権利

Image: WaterAid/Abir Abdullah
以前は、病気のために仕事を休まなければならないことがよくありました。それで収入がなくなってしまいました。子供たちはよく病気にかかっていたので、仕事を休んで子供たちの世話をしなければならなかったのです。このポンプとトイレは、私たちの生活を大きく変えました。
グルニ茶園のビナ・パトロウさん(45歳)

紅茶園で茶摘み作業をする労働者たちは、バングラデシュの最貧困層に属しています。紅茶園は、紅茶のみを栽培する大規模農園(プランテーション)で、1日働いて得られる収入は、100円程度です。農園の所有者は、労働者の健康と教育を保障する法的責任を負っていますが、実際には多くの場合、状況は劣悪です。人々は飲み水を手掘りの井戸や小川に頼り、トイレがないため野外排せつをする以外の選択肢がありません。

バングラデシュの北東部、シレットの近くにグルニ茶園はあります。茶園の労働者でつくる評議会の議長、ムリツンジョイ・カルミさんは「農園の所有者たちは、IDEAやウォーターエイドに関与してほしくありませんでした」と話します。「彼らは私たちに知識を持ってほしくなかったのです」。

ウォーターエイドは、紅茶園の所有者たちに、「水、トイレ、衛生習慣を改善することによって、労働者の健康を維持することができる」と説明し、理解を得ながら、取り組みを進めています。ウォーターエイドの支援者の協力を受けて、これまで21の紅茶園で、4万5,000人が清潔な水と適切なトイレを利用できるようになりました。


翻訳協力:立命館大学実践経済演習の皆さま

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