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LIXILグループが報告書「衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析」を発表

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2016/8/25 | Tokyo, Japan

株式会社LIXILグループは、8月25日、衛生環境が未整備であることによって、世界経済に大きな損失が生じていることについて調査した報告書「衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析」を発表しました。本報告書の作成には、イギリスの研究機関Oxford Economicsと並んで、ウォーターエイドも協力しました。

同調査によると、2015年に、衛生環境の未整備が世界経済に与えた経済損失は2,229億ドル(約22兆円、1ドル=100円で換算)にのぼり、これはリオ五輪開催費用の 50倍以上、さらにはアメリカの教育予算以上、という計算になります。

衛生設備の不備が世界にもたらす経済損失2,229億ドルの内訳は下記になります。

1,228億ドル:人的損失
下痢性疾患は、人間の排泄物が飲料水や食品の汚染の原因となることから、トイレが不足しているコミュニティに多い病気です。世界保健機関(WHO)によると、下痢は世界で 7番目に多い死因であり、2012年には150万人の命を奪いました。このような衛生環境の不備に起因して、人々が早期に命を落とすことによって、潜在的所得が失われ、家族や国に経済的ダメージを与えています。

165億ドル:生産性の低下
下痢性疾患に関連する人的損失に加え、人間の排泄物に含まれる病原体によって、何百万人もの人々が病気になり、回復するまで仕事や学校を休まざるをえない状態になっています。毎年、何十億時間もの労働時間が失われており、経済に大きな影響を与えています。

566億ドル:医療費
衛生環境の不備に伴う病気の治療費は、国や自治体が負担する場合や、個人が保険で支払ったり、自己負担したりする場合がありますが、医療費がかかることで資金を他の支出や投資にまわすことができなくなります。

270億ドル:トイレの不足
多くの国では人口に対して家にトイレがない人の占める割合が高く、そうした人々は公衆トイレに並んだり、野外で排泄する場所を探したりしなくてはなりません。トイレに並ぶ、あるいはプライバシーを保てる場所を探すにしても、経済性の追求に費やせるはずの時間が奪われるため、経済にマイナスの影響を与えることになります。

国別の経済損失額を見るとインドが圧倒的に高く、2015年のインドの経済損失1,067億ドルは、世界全体の損失のほぼ半分を占め、インドの国内総生産(GDP)の5.2%に相当します。さらに、同調査の推計では、アフリカは深刻な衛生問題に直面しており、衛生設備の不備による経済損失が、2010年の155億ドルから2015年の193億ドルと24.5%も増加しています。この経済損失額はアフリカのGDPの0.9%に相当します。

同報告書は、このような危機に対応するためには、下記3点を優先分野として取り組む必要があると示唆しています。

イノベーション
衛生問題を解決するには、衛生設備が不足している地域の事情を考慮したイノベーションが重要です。また、イノベーションは新しい衛生設備・製品だけに限ったものではありません。貧困層を含むエンドユーザーに衛生製品を確実に届けるためのサプライチェーンや物流、現地事情に即した製品マーケティングを行うにふさわしい事業体の創出、そして需要側と供給側両方の資金調達などにおいても、今までにない新たな発想が重要です。

政治的優先課題としての取り組み
2015年までに達成すべき国際社会共通の開発目標「ミレニアム開発目標(MDGs)」において、衛生設備の改善は目標数値を大幅に下回る結果に終わりました。各国政府は、2015年に採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向けて、政治的優先課題として衛生問題に取り組む必要があります。

協働と協調
国の主導のもと、政府間組織やNGO、学界、民間セクターと協働することによって知力を結集し、最も有効なソリューションを生み出し、それを支える資金の手当てを行います。こうしたアプローチを用いることで、それぞれのステークホルダーが効率よく強みとなるスキルを活かすことができ、必要とされるスピードで効果的に衛生設備を広めていくプロジェクトを実施できるようになります。

ウォーターエイドは、LIXILグループのように、積極的に世界の衛生状況の改善に取り組む民間企業等、多様なセクターと協力しながら、水・衛生のアクセスを改善する重要性を発信していきます。

報告書「衛生環境の未整備による社会経済的損失の分析」