近年、インドはその急速な成長のかげで、人々の生命を脅かすほどの危機的な水不足に直面しています。そして、安全で健康的な暮らしに不可欠な水やトイレ、衛生習慣の欠如により、病や貧困の負の連鎖から抜け出せずに取り残されている人々が多くいます。
インドにおける水・衛生の課題
インドでは今も、清潔な水を利用することができない人々がいます。
さらに2030年までに人口 の40%が清潔な水を使えなくなると予測されており、深刻な水・衛生の課題を抱えています。
スラム街で壊れた給水管から水をくむ女性|WaterAid/ Aoun Hasan
スラム街で壊れた給水管から水をくむ女性|WaterAid/ Aoun Hasan
深刻化する水ストレス
現在人口の66% が水ストレスにさらされており1、慢性的な水不足が大きな社会課題となっています。また、水ストレス状態にある世界の20大都市のうち5都市はインドにあります2。
干ばつや長引く乾期により、水源が枯渇した都市では、水道が止まり、人々は給水車から水を得るしかありません。
ヒ素汚染の影響による皮膚疾患の様子|WaterAid/ Anindito Mukherjee
ヒ素汚染の影響による皮膚疾患の様子|WaterAid/ Anindito Mukherjee
水源の汚染
インドでは、地下水のヒ素汚染・フッ化物汚染が見つかっており、多くの人々が健康被害を受けています。
また、大腸菌による汚染、沿岸部では地下水の塩水化も起きていますが、他に選択肢がなければ、こうした水を使うしかありません。
干上がった井戸。かつては地域を潤す水源だった|WaterAid India
干上がった井戸。かつては地域を潤す水源だった|WaterAid India
地下水の減少
気候変動による降雨パターンの変化、また、これまでの過度な地下水利用(インドの地下水消費量は世界第1位)によって、52%の井戸で地下水量が低下していると言われています3。人口の80%が地下水を飲み水として利用しており、地下水不足は、人々の飲み水の確保を困難にしています。
用を足すために家から離れた場所へ向かう女性|WaterAid/ Ranita Roy
用を足すために家から離れた場所へ向かう女性|WaterAid/ Ranita Roy
適切なトイレの欠如
人口の3割近い人々は適切なトイレを使えず、農村部では2億人以上が野外排せつをしています4。また、下水管の清掃、トイレや腐敗槽のくみ取り等を行う衛生作業員の安全対策が不十分なことも大きな問題となっています。
1: FAO and UN Water. 2021
2, 3: Composite Water Management Index 2019
4: Joint Monitoring Programme 2021
Dream #01:リタさん、シカさんの夢
「雨が降ろうが、ひょうが降ろうが、病気でも何でも、水くみは私たち女性がやらなければならない仕事なのです」(リタさん)
86世帯が暮らす西ベンガル州のこの村では、手押しポンプ式の井戸が唯一の飲料水源です。リタさんとシカさんは、村に暮らす他の女性たちと共に毎日、多い時には1日に3回、水くみに行きます。井戸が壊れたら1kmほど離れた別の井戸まで歩くしかありません。
「サヤンはよく下痢をして、病気がちです」と、シカさんは息子のサヤンくんを抱きかかえながら心配そうに続けます。インドで暮らす多くの人々が汚染された水を利用しているように、リタさんやシカさんが飲み水としている井戸も、水質検査をしているわけでもなければ、管理されているわけではありません。
家の近くで安心して飲める水を得られることは、リタさんやシカさんたちにとって「夢のようなこと」。しかし、水があれば、時間の余裕も、健康も得られ、もっと大きな夢を描くこともできるのです。
Dream #02:ゴータムさんの夢
雨の日の朝、ゴータムさんは「どうしたらいいんだ」と考え込んでいます。生まれつき足の不自由なゴータムさんにとって、用を足すために雨のなか、足元の悪い畑のあぜ道を1km 歩くことは容易ではありません。棒でバランスを取りながら、立ち上がるものの、5分も歩けば左足に激痛が走ります。
86世帯中、自宅にトイレがあるのはわずか10世帯と、住民の大半が野外排せつをしています。
「収入は少なく、新型コロナウイルスのパンデミック以来、状況はさらに厳しくなっています」と語るゴータムさんは、コロナ禍以前にはポンプオペレーターとしての仕事があったものの、職を失い、自宅にトイレを建設する経済的な余裕はありません。
ゴータムさんにとって、自宅にトイレがあることは「夢のようなこと」。トイレがあれば、トイレを我慢して消化器疾患に悩まされることも、無力さを感じて悔しい思いをすることもなくなります。
リタさんやシカさん、ゴータムさんのような人々が、インドには多くいます。ウォーターエイドは、コミュニティの人々、現地政府、パートナーと共に、 清潔な水やトイレ届け、人々の「夢」を叶える活動を続けています。
あなたのご支援で、さらに多くの人々の「夢」を現実にすることができます。
インドにおけるウォーターエイドの活動
ウォーターエイドは1984年からインドにおける活動を開始。以来、多くの人々に清潔な水とトイレを届け、衛生習慣の普及・改善によって、たくさんの夢を叶えてきました。
現在、13州において現地政府や住民が主体となって、地域の水・衛生問題を解決していくよう、そのしくみ・体制づくりを支援しています。
水質検査を実施する女性たち|WaterAid/ Srishti Bhardwaj
水質検査を実施する女性たち|WaterAid/ Srishti Bhardwaj
持続可能で安定的な水供給のためのしくみづくり
インドでは、村の水・衛生問題を把握し、改善計画を策定したうえで、政府から予算を確保して、計画を実行するのは、各村に設置された「村水衛生委員会」の役目です。ウォーターエイドは、村水衛生委員会のトレーニングを実施。また、水道料金の徴収や修理工、水質検査担当の育成など、維持管理体制の構築、古い井戸の修復や雨水活用設備・地下水を増やすための雨水涵養設備の設置なども行っています。
月経衛生に関するトレーニングの様子|WaterAid/ Anindito Mukherjee
月経衛生に関するトレーニングの様子|WaterAid/ Anindito Mukherjee
誰もが使えるトイレの普及、手洗いや月経に関する衛生習慣の促進
トイレと衛生習慣の重要性や正しい理解を発信・啓発する手段として、家庭訪問、路上での演劇、村の自助グループ(女性グループ等)のトレーニングを実施しています。
学校に設置された雨水涵養設備を掃除する生徒たち|WaterAid/ Srishti Bhardwaj
学校に設置された雨水涵養設備を掃除する生徒たち|WaterAid/ Srishti Bhardwaj
学校や母子保健センターなどの施設における水・衛生状況の改善
学校で衛生行動についてトレーニングを実施し、生徒たちが主導する「保健衛生クラブ」を支援しています。母子保健センターでは、誰もが使いやすい給水設備、トイレ、手洗い設備を設置したり、手洗いや月経に関する衛生行動を啓発する場となるように職員対象のトレーニングを実施したりしてます。
ウォーターエイドは東京都から認定を受けた認定NPO法人です。ご寄付は税制優遇措置(寄付金控除)の対象となります。
*税制優遇措置を受けていただくためには確定申告が必要です。
*領収書の日付は決済日ではなく、カード会社からウォーターエイドに入金された日付となります。
あなたのご寄付でできること
WaterAid/ Ranita Roy
WaterAid/ Ranita Roy
5,000円で
1つのコミュニティで保健衛生教育のセッションを実施できます
WaterAid/ Dhiraj Singh
WaterAid/ Dhiraj Singh
20,000円で
学校に生理用品を焼却処理する設備を設置できます
WaterAid/ Srishti Bhardwaj
WaterAid/ Srishti Bhardwaj
30,000円で
コミュニティの周辺50か所に給水口を設置し、5,000人がきれいな水を利用できるようになります
Q1. クレジットカード以外で寄付する方法はありますか?
郵便振替・銀行振込によるご寄付がご利用いただけます。
郵便局の払込取扱票でお振込
口座番号 00100-0-359375
加入者名 ウォーターエイドジャパン
その他の金融機関でお振込
ゆうちょ銀行 〇〇八(ゼロゼロハチ)店
普通 4057566
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン
*初めてウォーターエイドジャパンへご寄付いただく方が郵便局の払込取扱票以外でお振込いただく場合、大変お手数ですが事務局まで【お名前/ご住所】をお知らせください。ご連絡のない場合、領収書をお送りすることができませんのでご了承ください。
Q2. 毎月の寄付を止めたい場合はどうしたらよいですか?
お申し出をいただいたら、いつでも停止をすることが可能です。また、金額をご変更いただくこともできます。 毎月のご寄付の停止、金額の変更はメール([email protected])またはお電話(03-6240-2772)にてお知らせください。
Q3. 今までの支援でどんなことが実現したのですか?
2020年度、ウォーターエイドは世界中の現地パートナーや政府との協力を通じ、家庭では、30.6万人に清潔な水、53.1万人に適切なトイレを届け、255万人に正しい衛生習慣伝えました。皆さまからのご寄付に支えられ、個々のコミュニティに合った解決策を見つけ、持続可能なシステムを構築し、もっとも取り残されがちな人々に支援を届けることが実現しました。