ウォーターエイドは、「すべての人々がすべての場所で、清潔な水とトイレを利用し、衛生習慣を実践できる世界」をビジョンに掲げて活動する水・衛生専門の国際NGOです。1981年にイギリスで設立され、世界34か国に拠点を置き、アジア、アフリカ、中南米など計26か国で水・衛生プロジェクトを実施しています。
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパンは、日本からの支援を世界の水・衛生問題の解決に役立てるため、2013年に設立されました。
理事長 あいさつ
ウォーターエイドジャパン理事長
小寺 清 Kiyoshi Kodera
私は、職業人生の大半を途上国の開発問題に捧げてきました。最初の海外勤務は約40年前の西アフリカのコートジボワールでした。水道水は飲料には適していませんでした。
蛇口をひねれば清潔でおいしい水が手に入る日本とはほど遠い状況に置かれた人々が21世紀の現在でも、世界に8億人近くいます。また、今、適切なトイレを使えない人々は、依然、世界人口の5分の1、約17億人います。水・衛生問題は、栄養や保健、医療とも重なる重要な開発課題です。日本の水道の技術や制度は、世界でも屈指のものですが、日本の近代水道が公衆衛生対策として導入されたことをご存じでしょうか? 明治維新直後、コレラの流行に悩まされたことへの対策として横浜で始まったのが日本の水道です。
さて、水・衛生問題は、持続可能な開発目標(SDGs)のゴール6に、「安全な水とトイレを世界中に」として盛り込まれました。SDGsは2030年までに達成するゴールであり、ウォーターエイドも同じ目標を掲げていますが、そのためには世界中で取り組みを一層加速する必要があります。
長年、開発問題に関わってきて見えたこと、感じたことは、都市部から離れた地域に住む住民、ジェンダーや何らかの社会的差別により、清潔な水や適切なトイレへのアクセスがかなわない人たちには、やはりコミュニティーに基盤を置いて水・衛生環境の整備を行っていくしか解決策はないということです。私が長年勤務してきた大手の機関、世界銀行やJICAではなかなか手が届きません。SDGsの重要な精神である「誰一人取り残さない」という目標を達成するためには、現場の言葉を話し、きめ細やかな活動ができるNGOの力が欠かせません。
ウォーターエイドは34ヵ国で活動し、英国をはじめとして米・豪・加・スウェーデン・インド、そして日本などからの資金で、水・衛生の問題に苦しむアフリカ・アジア・中米の人びとなどに対する事業を展開しています。私がウォーターエイドに関わるのは、アドボカシー活動とともに、現場での事業を幅広く展開し、そこから得られた知見を研究結果として世界に発信する、実行力と知的発信力を備えたNGOだからです。だからこそウォーターエイドは、世界保健機関(WHO)の執行理事会から、「公式の関係」を有する非政府組織として認定されています。
今の世代で、世界の水・衛生問題を解決するため、日本の市民の皆さま、企業の皆さまのご協力を切にお願い申し上げます。
[略歴] 東京大学法学部卒。大蔵省(現財務省)入省。在米大使館一等書記官、アフリカ開発銀行理事、米州開発公社理事、世界銀行中央アジア局長、国際局次長などを経て、2006~2010年まで世界銀行・IMF合同開発委員会事務局長。2010~15年、国際協力機構(JICA)理事。2018年より現職。
事務局長 メッセージ
ウォーターエイドジャパン事務局長
高橋 郁 Kaoru Takahashi
世界では今も、清潔な水を利用できない人が約7億7,100万人近くいます。世界の全人口の5分の1、約17億人は、適切なトイレを利用できないでいます。
水を手に入れるために、20リットルのポリタンクを抱え、往復1時間かかる場所まで毎日5往復する少女がいます。学校で勉強する時間も体力も失われてしまいます。
家にトイレがないために、暗くなるのを待って、野外で用を足すための場所を探す女性もいます。レイプされる危険さえ、あります。学校や工場にトイレがないために、生理が来ると学校や仕事を休んでしまう女性もいます。仕事を休めば収入が減り、生活はさらに苦しくなります。
衛生の知識が普及していないため、沸かすことさえせずに、汚れた水を飲む家族がいます。調理の前に手を洗う習慣もありません。知識があったとしても、湯を沸かすための燃料や手洗いのための石けんを買うお金がない人々も大勢います。
「そういう環境に生まれたから」「その国の政治が機能していないから」。そうやって片づけてしまっていい問題でしょうか。
私が国際協力の道に入ったきっかけは、高校時代に南アフリカのアパルトヘイト(人種隔離政策)の問題を知ったことでした。黒人であるがゆえに不当に逮捕・拘束されたり、教育を受けられなかったりという現実に憤りを覚えました。すべての問題がなくなったわけではありませんが、人種差別に反対する国際的な取り組みと声が、アパルトヘイトを終わらせました。
私は、水・衛生の問題も、世界の人々が協力すれば解決できると信じています。日本もその動きをリードする一員であってほしいと思い、ウォーターエイドジャパンの設立と同時に事務局長となり、活動を続けてきました。ぜひあなたもこの取り組みに参加してください。ともに世界の課題を解決していきましょう。
[略歴] 高校時代に国際協力に関心を持つ。一橋大学社会学部卒業後、流通小売企業に就職。英ロンドン大学東洋アフリカ研究所で開発学修士を取得後、緊急人道支援のNGOに入り、広報、マーケティングなどを担当。スマトラ島沖地震・津波や新潟県中越沖地震では現地で活動した。2013年より現職。
役員紹介
ウォーターエイドジャパンの理事・監事は、いずれも、国際協力やCSR活動、水・トイレ・衛生問題、ガバナンスなどで、豊富な知識と経験を有しています。
基本情報
団体名
特定非営利活動法人ウォーターエイドジャパン(認定NPO法人)
所在地
〒130-0014
東京都墨田区亀沢2-12-11 PAX21 301
(都営大江戸線両国駅 徒歩7分 / JR両国駅 徒歩11分)
※2019年11月15日より移転いたしました。
電話/FAX Tel 03-6240-2772 / Fax 050-3488-2040
Email [email protected]
法人設立日 2013年2月15日
「認定NPO法人」認定日 2014年12月19日
定款 定款はこちら。