清潔な水を利用できない人々
世界では、7億300万人が清潔な水を利用できません(WHO/UNICEF, 2023)。飲めば体調を崩すことがわかっていても、不衛生な水を飲む以外に選択肢のない人々がいます。
世界中のどこであっても、飲んだり、洗ったり、料理をしたりするために安心して使える水が手に入ることは、基本的な人権です。しかし、都市部から遠く離れた村や都市部のスラム、紛争や自然災害によってインフラが破壊された地域では、政府の目が行き届かず、給水サービスそのものが設置されづらい状況にあります。給水サービスがあったとしても、貧困層が利用できる金額設定になっていない場合もあります。
水が手に入りづらい地域では、水をくみに長い距離を歩き、多くの時間とエネルギーを費やしているため、学校に通ったり働いたりする時間が十分にとれません。多くの場合、女性や女の子たちが最も厳しい立場に置かれます。また、不衛生な水のせいで病気にかかり、治療費がかさむ、働けないために収入も得られない、といった悪循環で貧困から抜け出すことが難しくなります。
人々が水を得ることができない主な理由
1. 資金不足、もしくは水・衛生が政治的優先事項ではない
水・衛生へのアクセスを改善するにあたって最大の課題は、こうした最低限のサービスにあてる資金が不足していることに加え、すべての人に清潔な水とトイレを届けることを最優先課題とする政治的意思がないことです。多くの開発途上国では、保健や教育の分野に比べて水・衛生サービスに使われる支出はわずかです。
2. 政府が水を供給できない
多くの開発途上国では、水インフラがあったとしても、管理体制が整っておらず、サービスの運用を続けていくために必要なエンジニア、管理者、そのほかの技術スタッフを確保するのが難しい場合があります。政情が不安定な国では問題はさらに深刻で、水インフラやシステムが破壊されており、最初から作り直す必要があります。
3. 深刻な格差
遠く離れた農村地域に住む人々は、安心して使える水源がなかなか確保できない状況に置かれています。しかし都市部であっても、最貧困層は社会的に疎外されることが多く、水関連のサービスについて要望を述べる機会を与えられたり、決定の場に参加したりすることはまずありません。また、障害や民族、差別などの理由で水の利用機会を得られない人もいます。
清潔な水を届ける―人々が清潔な水を利用できるよう、その地域に適した低コストの技術を提供し、それを利用するコミュニティが自分たちで長く維持していけるようにしています。ウォーターエイドの活動>