冬募金2023：気候危機に直面する人々に命の水を | 水・衛生専門の国際NGO ウォーターエイド

気候危機、それは水・衛生の危機

干ばつが起きれば、人々は遠くまで水を求めて歩かなければならず、サイクロンが起きれば、給水設備やトイレは破壊されて水媒介の病気が拡がるーいまや気候危機は水・衛生の危機です。相次ぐ異常気象に見舞われ、取り残されがちな人々に命の水を届けるため、水・衛生専門の国際NGOであるウォーターエイドは、各国で自然災害に強い水・衛生のしくみづくりに取り組んでいます。

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世界でもっとも気候変動の影響を受ける国のひとつ、バングラデシュ

バングラデシュは、南アジアの国々のなかでも、特に水・衛生の普及状況が低く、毎年千人以上の5歳未満の子供が汚れた水やトイレが原因の下痢で命を落としています。

加えて、世界で7番目に気候変動の影響を受けやすいと言われ、相次いで発生する大型サイクロン、洪水、熱波、干ばつなどの異常気象が人々の暮らしを脅かしています。

なかでも特に社会から取り残されがちな少数民族のコミュニティは、深刻な水・衛生の危機に直面しています。南部の沿岸流域に位置するムンダ族の人々が暮らすベトカリ村もそのうちのひとつです。

命の水が災いの水に

イスラム教徒が多いバングラデシュで、ヒンドゥー教を信仰する人が多いムンダ族は社会的マイノリティとして、生活の場、学校で、あらゆる面で差別を受けています。

さらに、ムンダ族の人々が暮らす南部の沿岸地域は海抜が低く、海水の浸入が原因で地下水の塩化が進み、人々はさまざまな健康被害のリスクにさらされています。この汚染された水が原因と思われる皮膚病や抜け毛などの健康被害に苦しむ人々も少なくありません。

しかし、人々が使える水はそれしかありません。命の水が、人々の病気を引き起こす災いの水になってしまう負のサイクルがそこにあります。

WaterAid/ Fabeha Monir

#WaterMeansLife 水はいのちの源

気候危機に直面する人々に、命の水を届けてください

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これまでとは異なる気候になってきています
スシュマさん（55歳）

ベトカリ村に暮らして34年になるというスシュマさんは、気候の変化を目の当たりにしてきました。同時に、自然の力を前になす術はないと語ります。

「気温は例年より高く、暑さのせいで畑にいても仕事になりません。本当に暑くて燃えるようです。最近は雨が降れば洪水になってしまいます。洪水が起きれば、稲作には甚大な影響がでます」

スシュマさん一家は、自宅で雨水をタンクに貯めて飲料水として使っていますが、洗濯や身体を洗う際は、家の近くにある池の水を使っています。しかし、池の水は濁り、汚染されています。

「体を洗うと、髪がべたべたして、頭皮が荒れ、服を洗ってもなかなかきれいになりません。きれいな水が使えるようになったらどんなに嬉しいことでしょう。飲み水のことを心配することもないし、料理や他のことにも水を使えるようになるでしょう」

私たちのコミュニティが直面する最大の課題は水不足です
デベンドラナスさん（70代）

コミュニティの長老であるデベンドラナスさんは、長年にわたる気候の変化やそれに伴う様々な困難を経験し、子供たち、次の世代には自分と同じような思いをしてほしくない、と願い続けてきました。しかし、コミュニティが抱える水の課題は極めて深刻です。人々は池の水に頼るか、遠くの水源まで水をくみに行くしかありません。

「暑さが厳しくなってきただけでなく、頼みの綱だった池も干上がり、水源までの道もなくなってしまいました。海水が侵入し、農地は荒れています。私はこのコミュニティを誇りに思っています。もし、きれいな水が手に入るようになれば、それは素晴らしいことです」

ウォーターエイドは、ベトカリ村の人々やパートナー団体と協働し、以下の取り組みを含む水・衛生プロジェクトを進めます

❶気候変動の影響を受けにくい雨水活用設備の設置
❷各家庭におけるトイレ設置
_{※資材提供や労働によって建設にかかるコストの10%を住民が負担します。こうすることでオーナーシップが芽生え、トイレが持続して維持管理されるようになります。}
❸プライバシーの守られた女性専用の沐浴場設置
❹生ごみ活用による収入機会の創出
❺給水安全計画策定、手洗いや月経衛生管理、乳幼児の適切な排泄物管理などを含む衛生促進活動設備の設置

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_{ウォーターエイドは、1981年にイギリスで設⽴され、現在アジア、アフリカ、南⽶など25か国で水・衛生プログラムを実施しています。各国の貧しい人たちや取り残されがちな⼈々が清潔な⽔を利⽤できるよう、専門性を生かし、現地に適した方法を見つけ出して解決を図っています。これまでに2,810万人に清潔な水、2,880万人に適切なトイレを届けてきました。(WaterAid, 2021)}