【活動レポート・ブログ】ルワンダ:日本NGO連携無償資金協力の助成を受け、東部県キレヘ郡ガハラ・セクターで水・衛生プロジェクト開始

給水設備
Image: WaterAid Japan

このたび、ウォーターエイドのルワンダ共和国におけるプロジェクト「東部県キレヘ郡における水・衛生環境改善事業 」が、外務省の令和4年度日本NGO連携無償資金協力事業として採択され、2023年3月16日、福島 功 在ルワンダ日本国特命全権大使とウォーターエイドジャパンとの間で贈与契約書が締結されました。キレヘ郡のガハラ・セクターにおいて水・衛生プロジェクトを実施し、住民8,621人が清潔な水を使えるようにするほか、学校3校にトイレを建設、さらに住民を対象に衛生習慣促進キャンペーンを実施し、地域の衛生環境を改善します。

1. キレヘ郡ガハラ・セクターの水・衛生の状況

タンザニアとブルンジの国境に接し、山岳地帯に位置するキレヘ郡(人口約34万人)は、都市部からの距離や険しい地形などが原因で開発が遅れており、安全な水を利用できる住民は68.2%にとどまっています。インフラ省の調査によると、キレヘ郡のなかでも、本プロジェクト対象地域であるガハラ・セクターは、家庭で水を利用できるのは人口の1%、適切なトイレを利用できるのは48%、自宅で石けんを使って手洗いできるのは10%、水のアクセスがある学校は7%、水のアクセスがある保健医療施設は0%と、水・衛生環境が最も劣悪なセクターの1つです。

さらにガハラ・セクターの学校全14校において、生徒数に対してトイレの数が足りておらず、トイレがあったとしても古く不衛生です。そのため生徒たちは安心して学ぶことができず、特に女子生徒は月経中に学校に通いづらくなります。加えて、これらの学校にある既存のトイレは障害者に対応した設計となっていません。

ウォーターエイドジャパンは2022年3月から1年間、同じキレヘ郡の別の2セクター(ニャムガリ・セクターとキガラマ・セクター)で水・衛生プロジェクトを実施。16,000人が清潔な水を利用できるようになりました。

貯水槽
2022年3月~2023年3月のプロジェクトで建設した貯水槽
Image: WaterAid Japan

2. 給水システムの建設

今回、ガハラ・セクターに清潔な水を届けるために選んだ方法は、湧き水を水源とする既存のルボナ給水システムの給水網を拡張するというものです。ルボナ給水システムは、2003年にキレヘ郡政府が建設した10kmのパイプ網を有する給水システムで、現在、16,127人に水を供給しています。一方、山がちな地形によって、これ以上給水網を拡大することができず、ガハラ・セクターの多くの住民が安全な水を利用できない状態が続いていました。

そこで本プロジェクトでは、ルボナ給水システムの100立方メートルサイズの貯水槽から、対象地域に水を届けるためのパイプ19キロを新規で敷設し、給水システムの稼働に必要な貯水槽8基、空気弁室6基、バルブ室14基、ウォーターバルブ室7基、そして17か所に水くみ場を建設します。なお、パイプは高低差を利用して敷設し、重力で水が運ばれるようにします。この給水システムの設置によって、住民8621人が清潔な水を利用できるようになる見込みです。

ルボナ給水システムの100立方メートルサイズの貯水槽
ルボナ給水システムの100立方メートルサイズの貯水槽
Image: WaterAid Rwanda

また、2022年度に実施したプロジェクト同様、建設した給水システムが、持続して適切に維持管理されるよう、維持管理の体制・しくみも構築します。給水サービスの維持管理を担当することになっている民間事業者を対象に維持管理トレーニングを実施。また、住民が参加する「水利用者組合」を立ち上げ、この組合が、給水システムに不備・故障を見つけた際に、住民の窓口となって民間事業者に連絡する体制を整えます。  

 

3. 学校・コミュニティの衛生環境の改善 

学校3校にトイレ棟を建設します。各トイレ棟には、8基のトイレを設置し、そのうち1基は手すりなどが付いたインクルーシブトイレを導入します。トイレを設置した学校では、生徒たちが参加する「衛生クラブ」を立ち上げ、生徒たちが中心となってトイレの適切な維持管理や生徒の衛生意識向上のための活動に取り組むようサポートします。 

トイレ棟
2022年3月~2023年3月のプロジェクトで建設した学校のトイレ
Image: WaterAid Japan

また、コミュニティにおいても、「コミュニティ保健クラブ」を立ち上げます。トレーニングを受けた「コミュニティ保健クラブ」のメンバーは、住民がトイレを設置または改善し、清潔で安全なトイレを利用し続けるよう、家庭訪問などを通じて働きかけていく役割を担います。 

さらに、新型コロナウイルス感染症拡大以降、衛生習慣に注目が集まっている現状を活かし、キレヘ郡全住民を対象に、コミュニティラジオや対面型のイベント、ポスターの掲示等を通じて正しい衛生習慣を呼びかける衛生習慣促進キャンペーンを実施します。