【プレスリリース】汲み取り作業などに従事する開発途上国の衛生作業員の過酷な状況を報告

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15 November 2019
WaterAid/ CS Sharada Prasad/ Safai Karmachari Kavalu Samiti

開発途上国では、排せつに関連して何百万人もの衛生作業員(sanitation worker)が、健康と生活が危険にさらされる環境の下で、トイレの汲み取り作業などに従事することを余儀なくされています。2019年11月15日に公開された、この問題に関するこれまでで最も広範な世界的な調査報告で、その実態が明らかになりました。

社会にとって欠かせない公共サービスを提供しているにもかかわらず、こうした作業に従事する作業員は、多くの場合、疎外され、貧しく、社会から差別を受けています。機材も、安全対策も、法的な権利も持たないまま、そうした仕事を遂行し、その尊厳と人権がしばしば踏みにじられています。

報告書は、開発途上国のこうした作業員の窮状に関するこれまでで最も広範な調査の結果です。国際労働機関(ILO)、ウォーターエイド、世界銀行、世界保健機関(WHO)が共同で執筆し、非人道的な労働環境に対する注意を喚起し、改善を強く促しています。

【上の写真】インドのバンガロールで、手作業でのトイレのピットの清掃を終えて出てくるカベラッパさん(54歳、2019年8月)

 

排せつに関わる衛生管理のシステムは、人々がトイレを使うことから始まり、廃棄物が処分されるか再利用されるまで続きます。この一連の流れのさまざまな部分で、人々が働いています。衛生作業員の仕事には、トイレの掃除、排せつ物をためるピットや浄化槽の汲み取り、下水道やマンホールの清掃、ポンプ場や処理プラントの操作などがあります。

こうした仕事に従事する人は、多くの場合、人間の廃棄物と直接接触し、機材や安全対策もないままで作業し、さまざまな健康被害や病気にさらされます。

浄化槽や下水道のアンモニア、一酸化炭素、二酸化硫黄などの有毒ガスは、作業員の意識を失わせたり、死に至らしめたりします。世界的な統計はありませんが、インドだけでも5日ごとに3人の衛生作業員が死亡すると推定されています(*)。数え切れないほど多くの感染症やけがに苦しめられ、日々の仕事上のリスクによって命を縮められています。

トイレの汲み取り作業を終えた後、その家の庭の外で束の間の休憩をとるウェンドグンディ・サワドゴさん(中央、45歳)と仕事仲間(ブルキナファソ、ワガドゥグ、2019年7月)
WaterAid/ Basile Ouedraogo
トイレの汲み取り作業を終えた後、その家の庭の外で束の間の休憩をとるウェンドグンディ・サワドゴさん(中央、45歳)と仕事仲間(ブルキナファソ、ワガドゥグ、2019年7月)

ブルキナファソの首都ワガドゥグで15年間、手でトイレのピットを空にする仕事を続けてきたウェンドグンディ・サワドゴさんは「これが自分の仕事だと証明するような書類はありません。死ぬときは、ただ死ぬだけです。私はバケツと鍬(くわ)を持って仕事に行くだけで、誰かに認められることもなければ、どこかに痕跡を残すこともなく、自分がそういう仕事をしたという成果がわかるような書類もありません。そう考えると悲しくなります。自分の子供たちには同じ仕事に就いてほしくないと思っています」と話します。

この仕事は、権利や社会的保護の対象となっていない作業員にとって、しばしば非正規のものとなっています。賃金は一貫性がない場合もあれば、一部の作業員が報告しているように、お金の代わりに食べ物で支払われることもあります。こうした仕事は、一部の国では社会的に非難される仕事であるため、作業員はしばしば自分の仕事が地域にばれないように、夜、仕事します。

ウォーターエイドの最高経営責任者(CEO)のティム・ウェインライトの話
「廃棄物が適切に処理されなければ、誰もがトイレに行くたびに、水が媒介する危険な感染症にかかる危険にさらされます。つまり、衛生作業員は、あらゆる社会で最も重要な役割の一部を担っています。そう考えると、衛生作業員が健康と命を危険にさらす環境で働かざるを得ず、十分な機材もなく、みんなの命を守るための仕事に従事しているという認識や感謝を持たれないどころか、汚名と疎外に対処しなければならないというのは衝撃的です。人々は貧弱なトイレと劣悪な労働条件のために日々、命を落としています。この状況が続くことを容認することはできません」。

WHOのDirector of Public Health and Environmentのマリア・ネイラの話
健康の基本原則は、『まず害を及ぼさないこと』。衛生作業員は世界中の公衆衛生に重要な貢献をしていますが、自らの健康を危険にさらしています。これは、受け入れられることではありません。こうした人々の労働条件を改善し、その力を強化し、世界的な水と衛生の目標を達成しなければなりません」

ILOのDirector of the Sectoral Policies Departmentのアレット・ヴァン・ルールの話
「衛生作業員を取り巻く政策、法律、規制は不十分で、十分に尊重されていない傾向があります。一部の衛生作業員のみが保護の対象となっていたり、必要な資金がまかなわれていなかったり、法律などが適切に運用されていなかったりします」

世界銀行Water Global PracticeのGlobal Director、ジェニファー・サラの話
「今こそ、実行の時です。衛生作業員の生活の質を向上させるために、すべてのセクターの関係者が協力して努力することが必要です。このレポートは、衛生作業員が直面しているさまざまな問題をよりよく理解するための第一歩を示し、現状を逆転させるための、より整合性のある行動を特定します。世界銀行では、都市衛生プログラムの中で、衛生作業員の権利と福祉の向上に取り組んでいます。また、ウォーターエイド、ILO、WHOを含むパートナーと協力し、この重要な問題に対する意識をさらに高め、進展させていきたいと考えています」

報告書(概要版)はこちら

報告書(概要版、英文)はこちら

調査報告書(全文、英文)はこちら

(*)公式統計などによれば、インドでは5日に1人が作業中に死亡しているとされている。