世界の水・衛生に関する新たな報告書

Posted by
Kasumi Tachibana
on
13 July 2017
In
日本, Water

水・衛生の最新データによって、2030年までに「すべての人に水と衛生を届ける」には、さらなる努力が不可欠であることが明らかに

13日、国際連合児童基金(ユニセフ)と世界保健機関(World Health Organization: WHO)が立ち上げた「共同モニタリングプログラム(the Joint Monitoring Programme)」によって、世界の水・衛生に関する新たな報告書が発表されました。

最新の数字では、清潔な水を利用することができない人口は、世界の人口の約11%である8億4400万人にのぼります。この数値は、以前の6億6300万人から増加。今回の報告書から、往復30分以上かけて清潔な水を得ている2億6400万人が、「清潔な水を利用できる」のではなく、「限定的な水のサービスを利用している」とみなされるようになったためです。

また、適切なトイレを使うことができない人口は、世界の総人口の3分の1にあたる23億人であると報告されています。ウォーターエイドの分析では、トイレの普及について、現在の進捗ペースが続く場合、ケニアやミャンマー、ナイジェリアなどいくつかの国では、「すべての人が基本的なトイレを使うことができる」という日を迎えることは極めて困難であることがわかっています。

このような暗い見通しは、水も例外ではありません。清潔な水へのアクセスの改善が、現在のペースで進められた場合、パキスタンとパプアニューギニアでは、「すべての人が清潔な水を使うことができる」日が来るのかどうか、見通しは決して明るくありません。

2015年、世界のリーダーたちは、2030年までに、世界中すべての世帯が、安全に管理された水と衛生設備を所有することを目指すゴール6を含んだ持続可能な開発目標(SDGs)を採択しました。これは、ミレニアム開発目標(MDGs)の達成のもとにつくられた新たなレベルの挑戦です。

しかしながら、ウォーターエイドが、本日発表された報告書の数値を分析したところ、ブルキナファソ、ウガンダ、ニジェールで「すべての人が、往復30分以内でコミュニティにある清潔な水を利用できること」が達成されるのには、それぞれ2112年、2118年、2119年までかかることがわかりました。また、衛生設備は水よりもさらに状況が悪く、現在の進捗ペースでは、ウガンダの全人口が基本的な衛生設備を持つことができるのは2342年、ガーナでは今後400年かかることが予測されています。

水のアクセスに関する初期の定義では、ポンプや蓋のある井戸のように、水を汚染から保護するために建設された給水設備を利用することが可能であれば、その人々は清潔な水を持っているとみなされていました。今回発表された新しい定義では、国連がより高い目標を設定。全世帯に、必要なときに利用可能な自分たちの給水設備があること、そしてその水が安全であることを確認するために定期的にテストされていることが、新たな定義として加わりました。トイレの新しい定義では、個室であること、ならびに効果的な下水システムまたは便槽を空にするサービスのように、定期的に排泄物が処理されるしくみが備わっていることが必要になります。

ウォーターエイドは、すべての人が安全な水とトイレを利用するという人権を達成するためにも、国連のビジョンと野心的な目標を支持します。しかしながら、ウォーターエイドは、この水とトイレに関する基準を達成するためには、草の根レベルから政府、そして国連や世界銀行のような国際機関にいたるまで、意思決定者の取組みに大きな変革が必要であると考えています。
 

ウォーターエイドUKのCEOティム・ウェインライトは次のように話します。

「世界の非常に多くの人々が、現在も、清潔な水、適切なトイレといった、生命にとって不可欠なものなしに生きていかなければならないという事実は、非常に残念なことです。これらの水と衛生サービスが大きな変革を起こす力であることは、誰もが知っていることです。例えば私たちは、水・衛生分やに1ポンド使われるたびに4ポンド分の経済活性が起きることを知っています。

女性たちが、病気にかかった子供たちを看病したり、それらの原因である水をくみに行く日常の負担から解放されることで、より充実して実りのある生活をおくれるようになるのを見てきました。子供たちが清潔な飲み水を利用でき、トイレに行くことができると、より授業に集中できるようになることも見てきました。そして私たちは、もし人々が手を洗うことができれば、コミュニティにおける病原菌の広がりをくい止める一助となることを知っています。

飲料水を手に入れることができる場所やトイレの場所、手を洗うことができる場所について、誰も心配する必要がないという世界が実現すれば、私たちは、不衛生な水や衛生設備がないことによる下痢が原因で毎年命を落としている、28万9000人の5歳未満の子供たちの命を救うことが可能になります。

2030年までに、すべての家庭に、適切に機能する水道とトイレ、手洗い場を届ける、という国連のビジョンは、人々の生活を真に変えることができる、とても正しい目標だと言えます。一方、それを達成するために私たちに残されているのはたった13年であり、政府、市民社会、水と衛生に関わる企業など私たち全員が、すべてのコミュニティおいて、熱意と忍耐、寛容さ、ビジョンを持って、この歴史的な瞬間を成功へと導くために活動していくということを意味しています。」

世界で基本的な衛生設備の普及率が最も低い国、トップ10

 

 国名

 基本的な衛生設備の
普及率(総人口に対する
パーセンテージ)

 普及率100%の達成見込み年

 1

 エチオピア

 7

 2370

 2

 チャド

 10

 達成の見込みがない
(衛生設備の減少のため)

 3

 マダガスカル

 10

 2281

 4

 南スーダン

 10

 2123

 5

 エリトリア

 11

 2347

 6

 ニジェール

 13

 2203

 7

 ベナン

 14

 2341

 8

 トーゴ

 14

 2449

 9

 ガーナ

 14

 2428

 10

 シエラレオネ

 15

 2302

 

 世界で基本的な水の利用可能率が最も低い国、トップ10

 

 国名

 基本的な水の利用可能
(総人口に対する
パーセンテージ)

 普及率100%の達成見込み年

 1

 エリトリア

 19

 2507

 2

 パプアニューギニア

 37

 達成の見込みがない
(給水設備の減少のため)

 3

 ウガンダ

 39

 2118

 4

 エチオピア

 39

 2056

 5

 コンゴ

 39

 2239

 6

 ソマリア

 40

 2062

 7

 アンゴラ

 41

 2289

 8

 チャド

 43

 2259

 9

 ニジェール

 46

 2119

 10

 モザンビーク

 47

 2047


主な数字

  • 不衛生な水と適切ではない衛生設備が原因の下痢症で、1年で28万9000人の子供が命を落としています。これは1日におよそ800人、2分に1人の子供が命を落していることになります。
  • 約8億4400万人の人々(世界総人口の11%)が清潔な水を利用できない生活を送っています。
  • 約23億人の人々(約3人に1人)が適切なトイレを利用できない生活を送っています。
  • 水・衛生分野に1ポンド投資すると、生産性の向上により平均して4ポンドの利益が生まれます
  • 15ポンドで1人の人が清潔な水が利用できるようになります。
  • それぞれの国がどのように水と衛生における約束を守っているのかについては、WASHWatch.orgをご覧ください。