【活動レポート・ブログ】ルワンダ:学校の水・衛生の状況を改善する①

The school hygiene club conducting their regular meeting around the water tank, before they start cleaning the school, Groupe Scolaire Kibungo, Bugesera District, Ntarama Sector, Kibungo Village, Rwanda, May 2021.
Image: WaterAid/ Bernard Abu. Mutijima

学校は、教育の基礎を築く場所であり、子供たちが社会に変化をもたらす力を養う場所でもあります。しかし世界では、3割の学校に清潔な水が得られる給水設備がなく、3分の1の学校に適切なトイレがありません。学校に清潔な水が得られる給水設備やトイレがなければ、子供たちは集中して勉強することも、安心して学校に通うこともできません。学校にトイレがないことで、特に女の子たちは月経中、学校を休みがちになり、勉強を続けることが困難になります。

ウォーターエイドは2018年~2021年、ルワンダのブゲセラ郡とニャマガベ郡において、学校を対象とした3年間の水・衛生プロジェクトを実施しました。本プロジェクトによって、雨水貯留タンクの設置、または既存の給水網との接続を通じて、50校で清潔な水を利用できるようになりました。また、3年間で30校に新しいトイレ棟を設置したほか、82校において生徒主導による衛生習慣の促進に取り組みました。

Dorari in class at Group Scholaire Kibungo, Rweru, Bugesera, Rwanda, February 2018.
キブンゴ小学校で学ぶ子供たち(2018年2月)
Image: WaterAid/ Behailu Shiferaw

 

雨水貯留タンクが水問題を解決

2018年にこのプロジェクトを開始したとき、ニャマガベ郡とブゲセラ郡の多くの学校で、清潔な水を利用できませんでした。セント・ニコラス学校のムイゼレ・ブリギッテ副校長は当時、「学校に水がないので、多くの生徒たちは水をくみに行かなければならず、授業に出ることができずにいます」と話しました。

ウォーターエイドはプロジェクト初年度である2018年、さっそく学校12校に雨水貯留タンクを設置したほか、ニャマガベ郡の4校で、パイプの接続工事を実施し、学校において郡の給水システムを使えるようにしました。ニャマガベ郡のウィンググ小学校もこの年、雨水貯留タンクが設置された学校の1つです。プロジェクト前は、学校に給水設備がなかったため、生徒たちは自宅から水を運んでくるか、または谷を下りて水くみに行かなければならず、頻繁に授業を欠席せざるをえませんでした。

ウォーターエイドはウィンググ小学校に、9万リットルの水が貯められる地下埋設型の雨水貯留タンクを設置。その年の雨期が長かったこともあって、乾期の間も使い続けることが可能なくらい十分な量の水を確保することができました。この水は、飲用だけではなく、手洗い、教室の掃除、トイレや食器洗いなどにも使われ、学校がとても衛生的になりました。

Samuel, 13, and Venuste, 16, pumping water from a newly constructed underground rain water harvesting tank to fill handwashing facilities at Uwingugu Primary School, Nyamagabe District, Rwanda, May, 2019.
ウィンググ小学校に新設された地下埋設型の雨水貯留タンクから水をくむ生徒たち
Image: WaterAid/ James Kiyimba

ブゲセラ郡のキブンゴ小学校にも2018年、地下埋設型の雨水貯留タンクを設置しました。プロジェクト実施前は、生徒たちは家から自分で水を持ってくるか、あるいは授業時間中に徒歩1時間の距離にある川から不衛生な水をくまなければなりませんでした。キブンゴ小学校に設置された容量90㎥の雨水貯留タンクによって、同校は、学校生活に必要な量以上の水を確保できたことに加え、近隣の住民が清潔な水を手に入れるのが難しい場合、その人たちにも水を提供することが可能になりました。

 

トイレと月経衛生ルームの設置によって女子生徒の出席率が改善

プロジェクト開始当初、ブゲセラ郡とニャマガベ郡の多くの学校では、トイレの設備があったとしてもトイレの数が学校の生徒数に見合わない、または老朽化しているということが問題でした。

ウォーターエイドは、2018年、ウィンググ小学校やキブンゴ小学校などに、男女別、そして手すり等がついて障害を持つ生徒もできる個室トイレを備えたトイレ棟を設置。合計1678人の生徒・先生たちが、適切なトイレを利用できるようになりました。さらに、ウィンググ小学校では、この取り組みに影響を受けた政府が、同校に追加のトイレ棟を設置したことで、トイレ1基につき生徒40名まで、という国の基準を満たすこともできました。

また、同校には、女子生徒が安心して月経に対応できるよう、「月経衛生ルーム」も設置し、その部屋で、女子生徒が先生に月経について相談したり、急に月経が来た際に生理用品を入手したり、必要に応じて体を洗ったり横になって休んだりできるようにしました。

ウィンググ小学校の生徒ンタキルティマナさんは話します。
「私たちの学校の新しいトイレは素晴らしいです。掃除しやすいし、頑丈なので、(トイレの)穴に落ちる心配もありません。ドアに鍵もついているので、プライバシーが守られて安心です。」

ウィンググ小学校のムケシマナ・エスタ校長は話します。
「(月経衛生ルームができて)思春期の女の子たちはとても喜んでいます。その部屋にはベッドもあって、女子生徒たちが体を休めることもできるんです。女子生徒の出席率も改善しました。女子生徒たちは自分に自信が持てるようになったようです。今では学校に十分な水があるので、さらに学校の衛生環境を改善していく予定です」

Existing inadequate latrines at Group Scholaire Kibungo, Rweru, Bugesera, Rwanda, February 2018.
2018年に撮影したキブンゴ小学校の古いトイレ棟
Image: WaterAid/ Behailu Shiferaw
A toilet block built by the Under Generation Water Project at Groupe Scolaire Kibungo in Bugesera District, Ntarama Sector, Kibungo Village, Rwanda. December 2020
キブンゴ小学校に新設されたトイレ棟
Image: WaterAid/ Bernard Abu. Mutijima

プロジェクトが完了した2021年、ウォーターエイドは、雨水貯留タンクとトイレ棟を設置してから3年たったキブンゴ小学校を訪問し、同校のマメルテ先生に状況を聞きました。

「今や状況は大きく変わりました。清潔なトイレが足りていて、今日の女の子たちには、必要な設備がすべて揃った個室が確保されています。フィルターがあり、各教室に飲料水用の缶が置かれているので、普段から生徒は安全な水を飲むことができます。」

清潔な水と適切なトイレを利用できるようになったことで、マメルテ先生は生徒たちに衛生的な習慣を身につけるよう熱心に指導することができるようになりました。この活動の影響は、学校の枠組みを越え、コミュニティにも及んでいます。
「私が子供たちに衛生について教えたことを、子供たちが家に持ち帰って実践しているんです。衛生習慣が学校だけにとどまらず、コミュニティにも広がっている証と考えて良いでしょう。」

From left: Giramata Angelique, 16, and Mukeshimana Mamerthe, 46, Senior Woman Teacher in Charge of Girls' Affairs at Groupe Scolaire Kibungo, standing in front of a new menstrual hygiene management (MHM) room, Ntarama Sector, Bugesera District, Rwanda ...
月経衛生ルームの前に立つマメルテ先生(右)
Image: WaterAid/ James Kiyimba

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