【活動レポート・ブログ】ルワンダ:東部県キレヘ郡ガハラ・セクターで、日本NGO連携無償資金協力の水・衛生プロジェクト進行中
ウォーターエイドジャパンは、外務省の令和4年度日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて、ルワンダ共和国東部県キレヘ郡にあるガハラ・セクターにおいて、水・衛生環境改善プロジェクトを実施しています。2023年11月、ウォーターエイドジャパンの高橋が現地に入り、キレヘ郡長や現地パートナーとミーティングをしたり、建設中の施設を確認したりしてきた様子を報告します。
水・衛生の改善が遅れているルワンダ農村部
ルワンダは、1990年代前半の内戦から復興を果たし、2010年以降、年平均7%以上の経済成長を維持するなど、著しい発展を遂げてきました。首都キガリは、道路も整備され、大型の国際会議場などもあり、しかも都市計画に基づいて緑も多く、清潔で発展した都市です。一方、農村部はこのような発展から取り残されがちで、都市部では、8割以上の人々が清潔な水を利用可能である一方、農村部で清潔な水を利用できるのは人口の56%です。
首都キガリから車で約3時間、山岳地帯に位置するキレヘ郡も、都市部からの距離や険しい地形などが原因で開発が遅れている地域の一つです。住民の多くが、清潔な水を得ることができず、山道を登り下りして、川の水をくみに行かなければなりません。また、農村部では、3人に1人が適切なトイレを利用することができず、さらに多くの学校では、生徒数に対して、トイレの数が足りていませんでした。
このようなルワンダの農村部の状況を受けて、ウォーターエイドジャパンは、2022年度、団体として初めて、外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて、東部県キレヘ郡のキガラマセクター、ニャムガリセクターを対象に水・衛生プロジェクトを実施。16,000人の住民が清潔な水を利用できるようになりました。
今回2023年度は、同じく東部県にあるガハラ・セクターを対象に実施。事業期間は、2023年3月16日から1年間で、給水システムを建設することで、住民8,621人が清潔な水を使えるようにするほか、学校3校にトイレを建設、さらに住民を対象に衛生習慣促進キャンペーンを実施し、地域の衛生環境を改善することを目指しています。
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水・衛生プロジェクト、順調に進行中
2023年11月、ウォーターエイドジャパンの高橋が現地を訪問。まずキレヘ郡庁を訪問し、キレヘ郡のブルーノ・ランギラ郡長にお会いしました。ランギラ郡長より、本プロジェクトを助成している日本政府、そしてプロジェクトを実施しているウォーターエイドチームに対して感謝の言葉が寄せられ、ウォーターエイドチームからは、団体として初となる日本の外務省による助成事業を一緒にキレヘ郡で実施できたことに対する感謝を伝えました。
キレヘ郡庁の建物の前には大きな掲示板があり、そこには、キレヘ郡政府が計画した事業の一覧が掲示されていました。そこには進捗状況も記されており、これを見ることで、住民はいつでも、政府が「ここに給水システムを作る」など約束したことを実行しているのかを確認することができるとのこと。ウォーターエイドのこの事業も一覧のなかに記載されており、キレヘ郡政府の強いオーナーシップを実感しました。
ここから、水・衛生プロジェクト実施現場に移動。首都キガリとキレヘ郡を結び幹線道路は、高台にあって見晴らしがよく、かつしっかり舗装されている一方、キレヘ郡に入ってから、コミュニティに行くまでの道は、幹線道路をはずれ、舗装されていない、崖から車が落ちないかと心配になるほどのでこぼこした細い山道でした。この道を登り下りしながら重たい水を運ぶのは重労働であることは明らかでした。こうした道を移動し、学校のトイレ建設現場、給水システムの貯水槽の建設現場を確認しました。
① 学校のトイレ
ガハラセクターになる学校3校において、8基のトイレ(そのうち1基は手すりなどが付いたインクルーシブトイレ)を備えたトイレ棟を建設しています。トイレを設置した学校には、生徒たちが参加する「衛生クラブ」を立ち上げ、生徒たちが中心となってトイレの適切な維持管理や生徒の衛生意識向上のための活動に取り組むようサポートしています。
今回、そのうちの1つカバゲラ学校を訪問。ランギラ郡庁、ウォーターエイドスタッフ、現地で建設を担当しているアヤテケスターカンパニーのメンバーが学校に到着すると、そこにはこの学校の衛生クラブの生徒たちが、「衛生習慣は大事」というメッセージを込めた歌を歌いながらダンスを披露してくれました。トイレ棟は、すでに建物もできあがり、便器も取り付けられ、あとはドアを取り付けたり塗装したり、という仕上げが残っている、という状況で、順調に進んでいることが確認できました。
② 給水システム
今回、ガハラ・セクターに清潔な水を届けるために選んだ方法は、湧き水を水源とする既存のルボナ給水システムの給水網を拡張するというものです。ルボナ給水システムは、2003年にキレヘ郡政府が建設した10kmのパイプ網を有する給水システムで、現在、16,127人に水を供給しています。一方、山がちな地形によって、これ以上給水網を拡大することができず、ガハラ・セクターの多くの住民が安全な水を利用できない状態が続いていました。
そこで本プロジェクトでは、ルボナ給水システムの100立方メートルサイズの貯水槽から、対象地域に水を届けるためのパイプ19キロを新規で敷設し、給水システムの稼働に必要な貯水槽8基、空気弁室6基、バルブ室14基、ウォーターバルブ室7基、そして17か所に水くみ場を建設することにしました。
2023年11月の時点で、19キロのパイプ網はすでに敷設が完了。貯水槽もほぼ建設作業は完了に近く、仕上げ作業が残るのみ、と順調に進んでいました。
この視察から1か月たった2024年12月末、給水システム建設のすべての工程が完了し、給水システムがついに完成。住民たちは、17か所に設置した水くみ場から安全な水を得ることが可能になりました。安全な水を飲んで健康になり、山道を登り下りして行っていた水くみの時間を他のことに使うことが可能になったのです。2024年2月下旬には、給水システムとトイレの完成、衛生習慣の普及をお祝いする「引渡し式」が開催される予定です。またその様子をウェブページでご報告しますので、ぜひご覧ください。