【活動レポート・ブログ】バングラデシュ:持続可能な水・衛生のしくみづくりから始まる好循環

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Image: WaterAid/ Fabeha Monir

ベンガル湾に接するバングラデシュ南西部、クルナ県サキトラ州にあるコルバリ村。ここに住む住民は、ムンダ族と呼ばれる少数民族の人々で、民族的な地位のため社会から疎外されてきました。政府から与えられえたわずかな土地に約20世帯が暮らすこの小さな村で、人々の多くは日雇い労働や漁業などに従事しています。長年、安全な飲み水とトイレの確保に課題を抱えており、水を媒介とする病気は子供たちの間では日常茶飯事でした。

ウォーターエイドは、2018年にコルバリ村で水・衛生プロジェクトを実施。安全な飲み水の需要が高いことを考慮して、5万リットルの水を貯えることができる雨水活用設備を地中に設置しました。また、男女を含む住民で構成される管理委員会で雨水活用設備を運用していくしくみをつくることで、長年の水・衛生の課題を解決するに至りました。

コミュニティの住民による設備の維持管理

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雨水活用設備の清掃をするコモラさん
Image: WaterAid/ Fabeha Monir

コルバリ村の雨水活用設備の管理委員会のメンバーであるコモラさん(23歳)は、夫と娘と3人で暮らしています。家事と雨水活用設備の管理の合間に、仕立ての仕事をしています。

「雨水活用設備が設置される前に、設備に関するトレーニングを受けて、手入れの方法、掃除の仕方について学びました。委員会のメンバーで毎日設備の清掃をします。この村に暮らす20世帯が私にこの仕事を任せられると判断し、信頼して私を選出してくれました。なにかトラブルがあっても、研修を受けていたため、対処することができます」と語るコモラさんは、自らの仕事について誇りを持っています。

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Image: WaterAid/ Fabeha Monir

「設備が設置される前は、水をくむために遠くまで行かなければなりませんでした。今ではコミュニティのなかにきれいな水を供給する設備があり、ここで働けることを本当に誇りに思うと同時に、幸せに感じています。小さなコミュニティなので、お互いに助け合って良好な関係を維持するように努めています。

きれいな水が使えるようになり、生活には多くの変化がありました。医療費が減り、家族と過ごす時間が増え、畑で作物の手入れをする時間が増え、仕立ての仕事にもっと時間を費やすことができるようになりました」

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コモラさんと娘のシッパちゃん(5歳)
Image: WaterAid/ Fabeha Monir

コモラさんは雨水活用設備の管理委員会のメンバーであるだけでなく、ジェンダーに関する研修を受け、そこで得た学びをコミュニティのなかで広めることに熱い思いを抱いています。

「地元でよく知られた面々が並ぶ研修に参加し、人身売買、女性と子供たちがどのように不当な扱いを受けているかについて学ぶことができました。男性と女性の間に人権の違いはありません。自分が得た知識をこれからコミュニティに広めたいと思います。なぜなら女の子は男の子ほどよい扱いを受けていません。しかし、女の子は男の子と平等であるべきですし、貧しさのために子供たちが児童労働の犠牲になってしまうこともあるべきではないと信じています。こうした問題の根底にあるのは、家庭では男性が優位であることです。それゆえに、貧しい家では、女の子たちが若くして結婚しているのです。彼女たちは適切な教育の機会を与えられていません。男の子の多くはよい教育を受けますが、女の子はそうではありません。

私の娘はまだ幼いので、まだこうした話を娘にすることはありませんが、私自身は、女の子も男の子も同じように等しく接します。時間が経つにつれてコミュニティが変わると感じています。もっとも大きな夢は、社会から誤った考えがなくなり、コミュニティの誰もがよりよい生活を送ること、誰もが病気を恐れることなく、幸せになることです」

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Image: WaterAid/ Fabeha Monir

コモラさんが暮らすコルバリ村のように、きれいな水がつかえるようになることで、コミュニティには様々な波及効果がもたらされます。ウォーターエイドでは、この冬、社会的な地位や気候変動の影響などを受け困難のなかにある人々に、命の水と希望を届けるため、冬募金へのご協力を呼びかけています。ウォーターエイドの活動にご協力をお願いします。

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