【プレスリリース】前例のないコレラ感染拡大が続くザンビア、子供たちへ支援が急務

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26 February 2024
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Image: WaterAid/ Cynthia Matonhodze

ザンビアでは、同国史上最悪のコレラ感染拡大が起きています。そのようななか、感染者のほぼ半数が子供たち、また、死亡者の3人に1人が子供たちであり、将来を担う子供たちが、コレラ危機の矢面に立っています。

ザンビアは、アフリカ大陸の南部に位置する国で、人口は1960万人、そのうち70%以上は30歳以下です。同国の平均寿命、教育レベル、所得は向上している面もある一方、現在も高い貧困率や失業率に直面しています。水・衛生の状況も改善が十分進んでおらず、人口の3分の1が、清潔な水を使うことができず、62%が、適切なトイレを使うことができません。

WHOによると、ザンビアにおけるコレラ感染は、全国10州にわたって急速に激化しており、1977年の記録的レベルより悪化しています。感染件数は14,513件、そして死亡件数は545件(いずれも2023年10月~1月27日の数字)、死亡率は3.8%を記録しています。亡くなった人の3分の1は子供たちであり、何千もの家庭に悲惨な打撃をもたらしています。

ザンビアでは、サイクロン・フレディの余波の残る2023年初頭に最初のコレラが発生。雨期の間に、特に清潔な水と衛生設備が整っていない、都市部の人口密度が高い地域で水源の汚染が拡大し、12月に劇的に感染が加速しました。

このような状況に対し、同国では、特に子供の間での感染を防ぐ取り組みが続けられています。ワクチンの展開が進められているほか、ザンビア政府は、学校や高等教育機関の全国的な再開を3週間延期し、2月12日とする決定を下しました。

 子供の感染対策が進められている一方、子供だからこその厄介な傾向も見えてきています。子供の場合、コレラに感染しても、ほとんど、あるいは何も症状が出ないことが多くあります。しかしながら、治療しないままに放置されれば、数時間で死に至ります。コレラが原因で子供が泣いているにもかかわらず、歯が生えるなど、通常の成長に伴う痛みで泣いているものと親が誤解し、子供に迅速な治療手当を受けさせる必要があることに気付かないというケースが起きています。感染した子供がすぐに病院に連れて行かれなかったために亡くなってしまった、という悲劇もありました。

 ザンビアの若者と子供たちの命と未来を守るために、ウォーターエイドは、すべての家庭に対し、家族に体調不良や何らかの症状があれば、コレラ感染の可能性があるととらえて、迅速に治療を受けるよう促しています。ウォーターエイドの現地代表であるヤンコー・マタヤは、次のように警鐘を鳴らしています。

「子供たちがコレラで命を落とすことはあってはなりません。もし子供が軽い兆候を示していたら、ためらってはいけません。手遅れにならないうちに、一刻も早く医療ケアを求めてください」

一方で、感染防止は市民だけの役目ではありません。気候変動による洪水などが原因で、水源が汚染され、コレラの感染拡大が世界中で急増しているなか、各国政府や国際社会による水・衛生への効果的な資金拠出が急務です。

ウォーターエイドは、緊急支援の実施、ならびにコミュニティ、特に子供たちの健康と福祉を守るための長期的で持続的な解決を目指した活動を通じて、政府をサポートしています。その一環として、ウォーターエイドは、首都ルサカのメインのコレラセンターであるナショナル・ヒーローズ・スタジアムで治療を受ける母子を対象に、乳児用の入浴アイテム、洗濯用石けん、おむつ、生理用ナプキン 、ワセリン、消毒用塩素、20リットルのバケツなどの衛生用品が入った支援キット200個を提供しました。また、ウォーターエイドは、コレラのサイクルを断ち切る連携の一環として、若年層・子供たちがお互いに教え合う衛生教育の授業を立ち上げました。これによって、石けんを使った手洗いなど、適切な衛生習慣の実践が、若年層・子供たちの間に根付き、長続きしていくことを目指しています。  

ヤンコー・マタヤは次のように、厳しい警告を発しています。

「すべてのコレラによる死亡は防げるものです。私たちは子供たちの命を救うため、迅速に行動しなければなりません。ザンビアで現在起きているコレラの感染拡大は、不必要に乳幼児と子供たちの命を奪っています。これに対応する鍵は、これまでも常にそうでしたが、清潔な水と適切なトイレ、正しい衛生習慣です。特に気候変動によって洪水と干ばつが頻発かつ激化しているなか、干ばつの時期も洪水の時期も、コレラの発生リスクが高まっています。このコレラ感染の惨事は、警鐘に違いありません。保健医療施設や学校における給水・衛生設備への資金拠出が、緊急に必要です。それによって初めて、私たちはコレラのサイクルを永久的に断ち切り、予防可能な子供の死を止めることができるのです」

ウォーターエイドは、ザンビアでの緊急ニーズへの支援ともに、今後、世界で同様の感染症が発生したり拡大したりすることを防ぐため、各国政府やステークホルダーに対し、家庭と保健医療施設における持続的な水と衛生設備にすみやかに資金拠出を行うよう求めています。

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