ジョセフィーヌさんが始めたビール醸造事業

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Image: WaterAid/Andrew McConnell

ジョセフィーヌさんは、ウォーターエイドのプロジェクトでいつも清潔な水が利用できるようになったことを活かして、ビール作りの事業を始めました。

ブルキナファソのバスベド村で、40歳のジョセフィーヌさんが全く初めての事業をスタートしました。

「これまでも農作物の収穫はありましたが、家計を支えるには十分ではありませんでした。」というジョセフィーヌさん。「ある晩、どうすれば人生を変えることができるかを思いついたのです。私がビール作りを始めたのは、その時です。」 

 

新しい事業の誕生

夫のアンドレさんと4人の子供たちとともに暮らすジョセフィーヌさんのお宅にうかがった時、家族のために暮らしを豊かにしたいという彼女の決意が非常に固いことが分かりました。

2年前、バスベド村でウォーターエイドがプロジェクトを開始した後に、ジョセフィーヌさんのビール醸造事業が始まりました。ブルキナファソのサブサヘルにある他の地域と同じく、バスベド村も1年のうち8か月もの間、乾期に苦しんでいます。乾期には気温が上昇し、川の水が蒸発し、地下水の水位も下がります。

毎年、この過酷な状況下では、みんなが必死で水を探すしかなく、常に生死にかかわるような想像を絶する問題に直面していました。

いつも水が利用できることで、ジョセフィーヌさんは、ビールの製造や販売ができ、そこから家族を養うために必要な収入が得られるようになります。

Sedgaa , 40, brews beer from sorghum at her home in Burkina Faso.
Image: WaterAid/Andrew McConnell

「以前は、水がくめる穴が1つあるだけでした。そこには列ができていて、険悪な争いも起こっていました。」と説明するジョセフィーヌさん。「だれもが本当に困っていました。」

 

「ビールを造ることで、子供たちの面倒をみることができます。」

ブルキナファソでは300万人近くが安全な水を利用できず、5歳未満の子供のうち、毎年12,000人あまりが不衛生な水や衛生設備の不備が原因で亡くなります。ブルキナファソの多くの親が経験しているような悲しい出来事が、ジョセフィーヌさんの「一家の収入を増やしたい」という気持ちにつながっています。

「私には子供が7人いましたが、3人が亡くなりました。亡くなった子供たちは、時々おなかや体の痛みをうったえていました。」

「当時、私にはお金がなく、子供たちを診療所へ連れて行くことができませんでした。しかしビール作りを始めたことで、自由に使える自分のお金ができました。今は、薬を買うことも、子供たちを医者に診せることもできます。」

Red millet.
The red millet Josephine uses to brew beer at home in Basbedo village, Burkina Faso.
Image: WaterAid/Andrew McConnell

画期的な取り組み

試験的にプロジェクトを実施したバスベドと他2つの村での活動が驚くべき成果を上げたことから、この春には「サヘル365」プロジェクトがスタートしました。この3つの村で成果を上げた画期的な取り組みを、ブルキナファソの干ばつ多発地域にある14のコミュニティで実施していくことが狙いです。

 

この取り組みには、インフラや水の利用環境の改善への投資だけではなく、地域の人材から本格的な水の専門家を養成することも含まれており、その専門家は雨量や水位の監視をし、年間を通していつでも水が利用することができるようにその地域を支援します。

政府と協働しながらインフラや人材養成への長期的な投資を確保できればこの取り組みによってサブサヘル地域の暮らしを豊かにすることが可能になるかもしれません。

Josephine with her husband Andre and their daughter Ratba, 8.
Image: WaterAid/Andrew McConnell

新しい井戸は、ジョセフィーヌさん家族の暮らしに大きな変化をもたらしました。赤キビと水とイーストを混ぜ、ビールをつくる醸造行程の仕上げに欠かせない水を、井戸がいつも与えてくれます。

「私は井戸の水をビールの醸造や洗濯、掃除をする時にいつも使っています。井戸は家の近く、ちょうど通りを挟んで向かい側にあり、本当に便利です。井戸があるからこそ、私たちの今の生活があります。」