マタニティバッグに何を入れますか?
出産予定日が近づいたとき、マタニティバッグに何を入れますか?
妊婦さんにとって、出産入院時に用意するマタニティバッグは、それまでに荷造りしてきたどんなバッグよりも重要で身近なバッグと言えるかもしれません。ウォーターエイドが実施しているキャンペーン「Deliver Life(世界の13万人のお母さんとその家族に安全な水を届ける寄付キャンペーン)」の一環で、世界中のお母さんたちに、マタニティバッグに何を入れたのか質問してみました。
以下の写真を見ると、ベビー服、毛布そして水筒等の共通点がある一方で、きれいで安全な水の有無によって出産準備には大きな違いが出るということがわかります。
セアダさん (エチオピア)
第1子の出産を控えたセアダさんのマタニティバッグには、清潔な下着、ゆったりとしたドレスや木綿の肌掛けとともに、赤ちゃんのおむつとして使う布が入っています。赤ちゃんを包むタオルも持ってきました。
「家では、蛇口とトイレは大家さんたちとの共有です。トイレは今にも崩れ落ちそうですが、何とかやっています。」とセアダさんは話します。
「出産前ケアはここで行いました。初めての出産なので不安でいっぱいです。」―セアダさん
ヘイゼルさん (ザンビア)
安全な水が手に入らないので、助産師さんたちは出産の合間に手を洗うこともできません。
病院にとって必需品である寝具類はもちろん、病室や医療機器を清潔に保つことにも多大な労力を強いられています。
モンゼ県にある、安全な水を利用できない診療所で出産予定の妊婦ヘイゼルさんは、マタニティバッグに洗面器を詰めてきました。また、不衛生なシーツから病気に感染するリスクを減らすために、分娩中に敷く黒いビニール製のシートも持ち込んでいます。
「診療所には井戸がありますが、分娩室まで水道は引かれていません。」―ヘイゼルさん
ケイティさん (オーストラリア)
メルボルン在住のケイティさんは、洗面道具、スナック類、リラックス効果のあるマッサージオイル等、病院が勧める出産用リストに従ってマタニティバッグの準備をしました。
「病院から詳しく説明を受けているので、十分心構えができています。」とケイティさん。
「衛生環境を不安に思ったことはありません。オーストラリアではどこにでも衛生設備があるとわかっているからです。病院はとてもきれいで殺菌が行き届いています。」
「女性が、妊娠からくる日々のストレスや出産への期待と向き合うだけでなく、水くみの負担を担っていることは信じがたいことです。」―ケイティさん
貴子さん(日本)
日本に住む貴子さんの場合、入院費の中におむつ、パジャマ、ベビー服代が含まれているため、自分で用意する必要がありません。ベビー服は、退院するときに赤ちゃんに着せるためのものです。
「第一子を出産した時は、これらの品は自分で持ってこなくてはなりませんでしたが、今回は入院費の中に含まれています。洗濯のことを考えなくて良いのでとても助かります。」と貴子さん。
「日本では「妊婦は重いものは持つな」といわれ、仕事でも重い物をもつ仕事は免除されたりします。水くみは妊婦にとって重労働であり、本当に大変だと思います。」
「お母さんたちは出産の翌日から病院でシャワーを浴びることができます。水と衛生の面に関して言えば、日本で出産することができて本当に幸運です。」―貴子さん
ケミサさん(ウガンダ)
カンパラに住む妊婦のケミサさんは、毎週月曜日のマタニティクラスに通っています。
助産師さんからは、出産に向けて何が必要になるのか、明確なアドバイスを受けました。
ベッドに敷くシーツを始めとして、分娩時に用いるかみそりの刃、手袋と脱脂綿を用意し、出産後に部屋を殺菌するための消毒剤や、体を洗ったり非常用トイレとしても使用できる洗面器も持ってきています。
「トイレは病棟の外にあります。きれいですが水が引かれていないので、いつもバケツを使っています。」―ケミサさん
ザイテュニさん (タンザニア)
ザイテュニさんは夫が通院用に借りたバイクでキオンボイ病院に到着しました。彼女が持ってきたのは洗面器とバケツ、そして衣類です。
難産の後、ザイテュニさんは敗血症にかかりました。敗血症とは、安全な水と清潔な環境がないことが原因の感染症から全身に炎症を引き起こし、死に至ることもある病気です。
幸いにも病院のスタッフが抗生物質を投与し輸血を施すことができたため、ザイテュニさんは回復しました。しかし残念なことに、キオンボイで敗血症にかかったお母さんたちがみんなザイテュニさんと同じように助かるとは限りません。
「赤ちゃんは何も身に着けていません。私たちは赤ちゃんを布で包み、布が汚れたら姉妹が洗ってくれます。この病院の水は安全ではなく、ミルクのように濁っています。」―ザイテュニさん
ディアナさん (アメリカ)
ディアナさんは自然分娩を希望しているため、マタニティバッグには音楽プレーヤー、ココナッツオイル、ラベンダーオイル、アルニカジェルなど陣痛の痛みを和らげるのに役立つ品々が詰まっています。
「歩いていける距離に病院があるのでとても恵まれています」とディアナさん。
「妊娠していると、立派な出産施設やきれいな水を利用できることのありがたさが身にしみます。」
「赤ちゃんにはできる限りのことをしてあげたいと思うのに、汚染された水や不衛生な施設がもたらす危険性について考えるとやり切れない気持ちになります。」―ディアナさん
ジョアンナさん(イギリス)
イギリスのジョアンナさんのマタニティバッグの中で特に重要なのは、診察記録帳と、赤ちゃんを家に連れて帰るときに使えるようお母さんがくれた毛布です。
「マタニティバッグの中で一番大事なものは毛布です。母が私を家に連れ帰るときに使っていたものなんです。」
「姉から分娩中に水を飲みやすくするものを持っていくように言われ、水筒も詰めました。空で持って行けば、病院のどこかで水を入れることができるでしょう。」とジョアンナさんは話します。
「荷造りは楽しかったです。赤ちゃんが最高のスタートを切れるよう、贈り物を選んでいるようなものですから。」―ジョアンナさん